百六話土下座にはじまり土下座に終わる
「すいませんでしたーーー!!」
俺は親方と呼ばれる人物に土下座して謝っている
秘宝の巻き物を焼いてしまったからだ
なんの秘宝かは知らないけれど相当大事なものだったんだろう、感覚でわかる
「...」
親方は俺の仲間の滝汗命を救ってもらったがそのかわり秘法を俺に焼かれてしまったので複雑な感情だろう
「なんと言っていいかわからないな...ははっ」
もう笑っちゃってる、すっごいストレスがかかっているようだ
「...」
一応俺のことが心配でついてきた魔王様も暗い表情をしている
なんとあの大土偶が魔王軍アワジ支部をつぶしたそうだ
魔王様をいじめるやつは許せない
いつかやり返してやる
『あの~、一つよろしいでしょうか?』
「なんでしょうか?」
『燃えた巻き物は本当に秘宝だったのでしょうか?』
「といいますと?」
『あの人が燃えるとき違和感を感じたのです』
「え?どういうこと?」
『だっておかしいじゃないですか、ゆうたさんのファイアボールで人が燃え尽きるはずないじゃないですか、弱いことで有名なあのゴブリンだってちょっと焦げて吹き飛ぶだけなのですから』
なんかひどい言われようやけど確かにおかしい気がしてきた
「ということは?もしかして」
『あの燃えた巻き物、偽物じゃないですか?』
俺は無罪だった、よかった
「ありがとう気のせい」
『いえいえ、そんなに褒めても聖水は出ないですよ』
「それは出なくていい」
「それよりすまぬ、わらわがもう少し注意していれば...」
「いいですよ、どっかの宿に泊まりましょう」
「そうじゃな」
「あのぅ、もしよろしければうちに泊まっていきませんか?」
あの紫の髪の少女だ、今はただの街娘の格好だ
「親方さまも歓迎してくれますよ」
「うむ、そうするか...えっと?」
「しのぶでござる」
「しのぶ、頼むぞ」
「はい」
なんかこの子謎が多いよな
俺たちは豆腐屋敷に移動した
「ゆうた!いっぱいまんじゅーもらったー!」
滝汗が戻ってきた、いやまんじゅー多!!
少なくとも百個以上はある
蘇生のお礼でもらったんやろな
「はい!どうぞ!」
「ありがとう」
まんじゅーにはアワジのマークとアワジと文字が書いてある
「ぱくっ、うまー!!」
さすがまんじゅーだ、うまい
それ以上は求めないでほしい、食レポは無理だ
しのぶちゃんがお茶を持ってきたのでそれも飲んだ
お茶ってこんなんやっけ?まあええか
「ぱくっ、天才的なうまさじゃ、力がみなぎってくるぞ、このお茶も独特でおいしいのう」
さすが魔王様だ、うまそうに食べるなぁー
『おいしいですー、これなら何個でも食べられますね』
いや無理やろ、体ちっちゃいし入らんやろ、ってえ?
「気のせい今ちょっと大きくなった?」
『気のせいじゃないですか?』
そんなバカな、いやそんなバナナ
『嘘ですよ、体のサイズ変えるのなんて楽勝ですよ』
俺と同じサイズになった、そんなバカな
いやそんなババババババババババ
「ゆうた!大丈...そんなバナナ!」
「気のせい、びっくりしたって」
「ほんまやで!」
『すいません』
「それでなんでいつもちっちゃい姿なん?」
『大きいと邪魔ですよね?』
「そうかな?」
「うん、邪魔やな」
『あとゆうたさんこっちの姿のほうが好きですよね?』
「...」
「そうなん?」
「...」
「ふーん!」
やめて、そのふーん!
「それで!他になんかできひんの?」
『こんなこともできますよ』
「ぼんっ」
「でっっっっっっか!!」「でっっっっっっか!」
『でもゆうたさんはちっちゃいほうが好きですよね?』
「まあ」
「へー、おぬしちっちゃいほうが好きなのか」
「魔王様どこに食いついてるんですか」
「はっはっはっはっはっはー!!」
俺は地獄でもあり天国でもあるこの空間で癒されていた
その様子を見ている紫の髪の少女がいた
「...」
「どうしたん?」
「なにもないでござる」
「うらやましいん?」
「そ、そんなことないでござる」
「ふーん!じゃあ行くで!」
「え...」
「魔王様...もう食べられないです...」
「おぬしはもっと食べないと、ほらっ」
俺はまんじゅーを消費している、今食べる必要はないが
魔王様のあーんは避けられない
「ゆうた!この子あーんしてほしいって!」
「え?」
なんで?まあいいか
「はい、ゆうた」
「あーん」
「あ...あーん、もぐもぐ、おいしいでござる」
「ゆうた、わらわにもあーん...」
「だからもう食べられませんよって、え?」
「すぅーすぅー」
魔王様が俺にもたれかかって寝てしまった
「...」
なにこれ最高かよ、でも食べ過ぎたししんどい
「お茶飲も!ってこれお酒やん!」
「あー!!間違えたでござる!!」
「ええ?」
味じゃわからんかったが...さすが俺だ
いや魔王様もわかってなかったな、ならセーフか
そして魔王様は酔っぱらっていたようだ、だからあんなかんじになってたのか
俺?俺はお酒に強いだけですがなにか? え?未成年飲酒?わざとじゃないしセーフやろ
「すまないでござるーーー!!」
しのぶちゃんは俺たちに土下座した