百五話ひほう
忍者の被り物をした女の子が血を大量に流して地面に倒れている親方に話しかけている
「親方！！大丈夫でござるか！？」
「最期に言い残すことがある...」
「お前は「駄目でござる！！そんなこと言ったら本当に死んじゃうでござるよ！！」」
「...」
「親方ー！！」
親方はなにも言い残せず息を引き取った
俺たちはこの大きな謎土偶を見ていた
「なんですかね、これ？」
「なんじゃろな？」
「なんやろな？」
『ナンなわけないでしょう』
「...」
ナンだこいつは
「ぐすん、ぐすん...」
気のせいのせいで静かになったがそのおかげか女の子の泣き声が聞こえてきた
「ぐすん、ぐすん...」
紫の服を着た紫髪の女の子が倒れたおっさんの手を握りながら泣いていた
「どうしたん？」
「親方が...」
あーこれは完全に死んでるな
「滝汗」
「わかったでー！生き返れ！」
「しのぶか」
「親方～」
しのぶと呼ばれる女の子が親方と呼ばれるおっさんに抱きついた
「もしかして生き返ったのか？...」
「そうやで！」
「ありがとう、それより」
忍に被り物を被せた
「親方ー！！」
なんやろ？この子なんか変だ
「それより秘宝は！？」
「あのままでござる」
「本当にか？」
俺たちになにも言わず二人はでっかい豆腐屋敷の中に走っていった
なんなんだ一体？
「ゆうた！街の人、生き返らせてくるわ！」
「あーお願い」
急に街が燃えたので犠牲になった人もいるようなので滝汗が蘇生しに行くようだ、頼むぞ
そして魔王様が俺に話しかけてきた
「ゆうた、その鎖であれをつないでくれないか？」
「スキルとるんですか？」
「というよりやってみたほうがはやい」
「カチャ...〈土偶〉自動再生」
「...」
「あっ...」
なんと鎖でちょっとさしただけなのに自動再生が発動してしまった、俺の爆裂...
「なんかすまぬ」
「いえ...」
結局はまるところがなくてスキルはとれなかった、俺の心に無駄に小さな傷がついた
『そんなの気のせいじゃないですか？』
「まあそんな気がしてきた、ありがとう気のせい」
『それよりこの豆腐屋敷の中、気になりませんか？』
お前も豆腐屋敷やと思ってたんか
やっぱそうやんな、豆腐やんな
「まあぶっちゃけ気になるわ、秘宝とか聞こえたし」
『じゃあ覗きましょう』
チラリっ
なんか人がこっちに向かって走ってくるぞ...
「ドンッ」
男が俺にぶつかってきた
「痛えー、おい！！」
ぶつかった男はなにも言わず走り続ける
いらっ
「待つでござる！！」
紫の少女がそれを追いかける、それに続いて親方もやってきた
「なんやねんあいつ」
「はあはあ...泥棒だ、秘宝が盗まれた」
「え？」
ということはやっちゃっていいってことですね
いらついてるしやっちゃいましょう
「気のせい行くぞ」
『え？私も行くんですか？』
そしてあの男に対して弱体化を発動し
どりゃりゃりゃりゃりゃりゃあーーーと走った
しかしステータスが低いので追い付けるわけがない
「ぜえはあ...ぜえはあ...くそが！」
『ゆうたさん大丈夫ですか？』
「もう無理...」
スタミナも尽きている
『とばないのですか？』
「...」
簡単に追い付いた
「【ファイアボール】」
「...」
『ゆうたさん杖』
「あっ」
忘れてた、またやっちゃった
「【ファイアボール】」
逃げる男に命中し男は吹き飛び炭になった
「...」
嘘でしょ、強すぎた
後で滝汗を呼ぼう
そして紫の少女が追い付いた
「はあはあ、巻き物はどこでござるか！？」
「え？巻き物」
やべえ焼いちゃった...
『燃え尽きましたよ』
「...秘宝が」
「すみませんでしたー！！」
まさかこんなやらかしをするなんて
それよりこの杖つえーーー
作戦は成功した
魔王がきたときはビビったが無事巻き物を手に入れられた、でもライダーさんがいればもっと簡単だったんだろうな
まさかスピード土偶が追い付かれるなんて対策してなければ巻き物燃えてたしな
さてあとは燃え尽きたのが偽物だとバレる前に逃げるぞ
土偶くんの作戦はこうだ
まず再生力と大きさ全振り土偶を屋敷の前に設置
それを見ている隙に速さ全振り土偶で巻き物をゲッツ
そしてその巻き物をバレないようにポイっと
それを土偶くん自身が拾い
スピード土偶と再生土偶を海に沈めて証拠隠滅
というのが本来の作戦だった
スピード土偶を燃やしてくれたのは僕にとって好都合だあとは再生土偶を処理しないとな
今回はこけしとかいうやつを滅ぼせなかったから
次来たときは覚えているがいい
全部土偶にしてやる！！
「あー、待つのじゃ！！」
周囲の建物を壊しながら大きな土偶が走っていく
「なんでじゃ、なんで急に走り出したんじゃ！？」
土偶くんが操っていることを魔王は知らない
「あっ！！そっちは魔王軍アワジ支部！！」
「ドンドンドンドン！！」
「...」
魔王軍アワジ支部は瓦礫の中に消えていった
そして「ジャッブーーーン」
土偶は海に沈んでいった
「なんでなんじゃーーー！！」
なんでなんじゃーという戦隊はいない
