mission 39 南の入り江
今日はシアとノア、セオとマリウスと言う珍しいメンバーでカトレア王国の南の入り江に来ていた。
ミッションの内容や相性によって、メンバーが代わる事は良くある。
全員が必ず予定を合わせる事は無理なので、行けるメンバーでどんどんミッションをこなしていくのだ。
ミッションによるレベルアップの意味もあるし、たまに見過ごせないような問題を解決しなければならない時もある。
今日のミッションの場合は他のメンバーに予定があったわけではない。
ミッションがセイレーンと人魚の争いを止めるというものなので、水の宰相令息を連れてきたというだけの話だ。
ちなみに火の魔力が得意なルーカスとアラン王子は、キーン様の「火の魔力は人魚にもセイレーンにも嫌われる。争いを収めるのには向いてないんじゃないかな。」と言う意見によってお留守番が決定した。
フェンリルに覚醒したモモちゃんにはシアとセオが。
ギャビンにはノアとマリウスが乗る。
今日は乗る人数に大分余裕がある。
ノアの後ろに乗り込んだマリウスだったが、移動の間、目立たないようにギャビンのライオンの胴体部分をずっと嬉しそうに撫でていた。
本人は気づかれていないと思っているようだけど、マリウスの精霊獣好きは全員にバレている(シアが乙女ゲームの説明で話してるし)。
特にモフモフ精霊獣好きよねぇ・・。
素直に言えば、モモちゃん撫でさせてあげるのに。
と、シアは常々思っていた。
モモちゃんがフェネックの頃から、周囲に人がいないことをキョロキョロと確かめてから密かに撫でていたマリウス。
契約者であるシアにはバレバレだ。
モモちゃんも撫でられるのが気持ちいいのか、わざわざマリウスの足にスルーッと体をこすり付けながらすれ違ったりして、その度に捕まって撫でられている。
さて、人魚とセイレーンとはどこがどう違うのか。
歌声で人間などをおびき寄せて食べてしまう魔獣がセイレーン。
精霊獣がこの世界に居ついて増えていったと言われてるのが人魚だ。
どちらも見た目は人間の上半身と魚の下半身だが、実は魔獣と精霊獣なのだ。
本来はそれぞれが縄張りから出ないはずの二種が混在して争っている海域。
それがカトレア王国の南の海域。
なぜこの海域だけにセイレーンと人魚が混在しているのか。
この2種族の争いをどうやって止めるのか。
!ミッション
☆☆☆☆☆ 人魚とセイレーンの争いを止めよう
☆☆
南の海域の人魚がセイレーンに襲われて全滅しかかっている!
原因を突き止めて争いを止めよう。
これを見た時は目を疑った。
長い年月共生していたはずの人魚とセイレーンに一体何があったのか。
人魚が全滅しかかっていると聞けば、このミッションをしない訳にはいかないだろう。
*****
「海に着いたわね。なんだか不思議な輝きでとても綺麗。」
南の海域についてみると、その海は普通の海と比べて、キラキラと輝いている。
まるで海全体が真珠のようだ。
しかし海岸からただ眺めていても、人魚もセイレーンも影も形もない。
「どうしようか。セイレーンと人魚に会うには、海に潜らなければならないかな。」
ノアがつぶやく。
「それは危険でしょう。しばらく空と地上から手分けして海を見張りませんか。そのうちどちらかが出てくるかもしれません。」
「そうですね。いくら待っても現れなければ、水中に潜る相談をしましょうか。」
マリウスの提案に、慎重派のセオが賛成する。
「うーん、そうね。マリウスと私で水中に潜れると思うけど、実際にやってみたことないし。しばらくは外から探してみましょうか。」
空中からはギャビンとノアに探してもらう。
シアとセオは地上を歩く。
マリウスは一人で探すということになって、手分けすることになった。