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ブラックボディ・パラレル  作者: 留手歩
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はじめに

あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






と打ってからそれを消すのがどうにもめんどくさくてファイルごとゴミ箱にポイして、そのままの勢いでノートパソコンを閉じると自動再生していた音楽が止まった。


「あら、いかんいかん」


私は音がないと生きていけないタイプの人間なのでもう一度音楽をかけたいのですが…


ただ何かけよう。今聴いてたやつはちょっと飽きたなぁ。

それよりなんかお腹空いたけど、腹の足しになるやつあったかなぁ。


なんてことないことをうだうだ考える火曜日の昼下がり。小春日和でそよ風も吹いて、頭上の窓を開け放っているので差し込む柔らかい日差しが心地いい。

本来なら昼寝を決め込むところではあるが、このまま寝るといつまで寝続けるかわからないのでやめておく。


そういえば。

仰向けに寝っ転がり胸から下をこたつに突っ込んで、肋骨の上にパソコンを置いてカタカタやっているので私の顔は大層ブサイクなのではないのだろうか。


二重顎になることこの上なし。


この体勢で過ごした三十年か四十年後、普通に正面を向いていても顎が二重になっていたらなんか…


(それは嫌だな)


自分の将来を考え出したらパソコンでの音楽探しもなんか萎えてきたのでとりあえずトイレに行く。

壁掛け時計を見ると午後三時。会社勤めの同居人はまだまだ帰ってこない。


パソコンと向き合ってから二時間弱、右を向いたり左を向いたり体勢の試行錯誤はしたものの、一時たりとも起き上がらなかったので背中のかたまり加減が半端ない。


「あいてててて…」


立ちくらみしないようにゆっくり立ち上がる。それはそれはゆっくり。

全身太陽光に照らされた私の格好はボサボサ髪に灰色のトレーナー。なんて家での団欒に適した素敵なスタイル!


そろそろ晩御飯のことを考えつつトイレから出て台所を覗くと、扉の空いたレンジの中にポリ袋に入ったパンを見つけた。


『レンジにおやつ用のパンあるから勝手に食べていーよ』


寝落ちる寸前だったからほぼ覚えてないけど、昨日同居人はそんなことを言っていたような。


「やったラッキー」


中に入っていたのは私が大好きなボーロパン。卵ボーロを手のひら大に拡大したような見た目の、素朴な甘さが特徴のパンである。が、六個。


これはこれは、今この世界で一番幸せが詰まったポリ袋じゃないですか!


早速牛乳を温めて一つ頂く。表面はサラサラ、中はずっしりしっとりの食感のボーロパンは近所のパン屋の名物で、一つ九十円という破格の値段で売られている。


(相変わらず美味しすぎる。ありがとう我が同居人。今日は君の好きな塩鮭焼きにしてやる)


思わずにやけてしまう。


そうと決まればあとは副菜を決めるだけ、スーパーでの品揃えを見て決めることにしよう。

同居人に連絡。


〈今日は鮭の塩焼きだよ:) 〉

〈ほんと?!あとちょっと頑張る〜〉


パンを咥えながらスーパーのチラシを手に取り、目当てのものにマークをつけながら自分の部屋に向かう。


小春を感じる季節だとはいえ自転車に乗ると手や耳が痛くなる。私は手袋をつけなかったことを後悔しながらスーパーに入り、まずは同居人のために医薬品コーナーへ行った。

彼女には左手から手首にかけて大きく火傷の跡があった。既に痛みや痒みはないものの火傷痕がはっきり残っているので、いつも包帯を巻いている。それがボロボロになってきたので、もし買い物に行くならついでに買ってきて欲しいと頼まれていたのだ。


無事いつもの包帯をゲットした後は惣菜を物色したり野菜を買ったりし、中にどっさり食材が詰まったエコバッグを自転車のカゴにえいやっと積む。


「ヒィ、大変大変」

よたよたしながら自転車に乗り、漕ぎ出そうと脚に力を入れた時、地面がぐらっと揺れた。

(地震か?)

様子見で止まってみるも、激しく揺れる様子はない。


大したことないと思った時、とんでもない爆風と共に人の悲鳴が響き渡った。


「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

お読みいただきありがとうございます。留手は小説を投稿するのが初めてなので、今回はお試しで掲載いたします。

本筋に加え過去・番外編も書こうと思っているのでぜひ。

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