愛と恋と悲しみのキャンパス
「友達でいよう」
関係を改善させる真っ黒のペンキを私にぶちまけて
「何かあったときには俺を頼って」
君に依存させる紫のスプレーで線を足して
「この先も仲よくしよう」
未来への希望色の星屑を描いて
握手を求めた長くて大きな温かい手
最後の仕上げのニスを塗り重ねて
「じゃあね、気を付けて帰ってね」
綺麗にしている額縁にいれて
「急にこんなこと言ってごめんね」
打ちつけられた悲哀の釘でそれを飾った
キャンパスは話さない
乾いてしまった絵の具の涙は
もう作者には届かない
キャンパスは離さない
上書きされる前の淡い絵の具の色に
心を奪われてしまったのだから
キャンパスは「 」
作者を傷つけるように出来ていない私では
受け入れることしかできません
なんて建前をずっと守ってきた
残されたキャンパス
残った絵の具
外に出ていってしまった作者
私はどうすればよかったのだろうか?
美しい赤で愛を囁いてほしかったのだろうか?
爽やかな青で導いてほしかったのだろうか?
温かな緑で癒してほしかったのだろうか?
勇敢な黄色で共に戦ってほしかったのだろうか?
『そんなの分かるはずないじゃない!」
ダメなら 不満なら 愛してるというのなら
「友達でいよう」
なんて残酷すぎる色を残して行かないで
窓から入る温かい日差しが
乾いた赤とピンクと青の絵の具だけを
輝かせていた