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ヒーローになりたくて頑張った結果警察から国の敵になりました〜丁度いいので復讐します〜  作者: ねぎマイト
ヒーローさんとラスボスが相まみえるだけのごくごく普通のお話
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3話 ヒーローさんはやくはやく

よろしくおねがいします

「し、死亡フラグだと……?なんのことだ」


「どうせ言っても分かんないでしょ」


「──ひゃはっ!!」


 京介がアンダードッグに飛びかかるも、すんでのところで回避され、京介の(こぶし)は地面へとそのパワーをぶつけた。


「ッ!お前、なんだその力!?警官じゃないのか!?」


 いかにも驚愕(きょうがく)といった表情──仮面でよくわからないが雰囲気──で、アンダードッグは言った。それもそのはず、普通の一般市民、ましてや警官でも拳で地面にヒビを入れることなど不可能だからな。


「ふぇはぁぁ!警官だよ!おまわりさんも正義のヒーローなんだからよぉヒーローや怪人の人外じみた専売特許(せんばいとっきょ)持ってても不思議じゃねーだろうが!?」


 これじゃ、どっちが悪者なのか分からん……ってあれ?今、俺らの方が悪役っぽくね?


「ま、そういうことだ、アンダードッグ。俺らについて知っている情報と、それを教えた相手の名前を教えてくれ。そうしたらここで終わりだ。」


 2発も殴ってしまったから、ここで終わりってなるとは思えないが……。そうなったらそうなったで別にいいか。


「お前ら……フッフフフ、フフフフフフ」


 不敵(ふてき)な笑みをするアンダードッグは俺たちを指差し、


「たかだか、一般人がどうして僕に勝つ前提で話してんだよ?2対1で勝ったつもりか?フフ、笑わせるッ!さっきは油断したが、今は完全に戦闘態勢だ!それに加え、今、僕はアカーキンに擬態しているのだ!つまり──」


 そう言って、落ちていた石を拾い上げ握りつぶした。石は、粉々に……手のひら大の石がバラバラになったのではなく、文字通り粉々になった。砂浜の砂に近い。


「お前らに僕を倒すことは出来ない。ヒーローは必ず勝つのだからな」


 緊張感があたりをしばらく包んだ。自然が超常(ちょうじょう)の生命体()()の戦いを予期したように、風は吹くのを止め、川のせせらぎは静まった。


「──京介」


 張り詰めた緊張の中、俺は京介の名を呼んだ。


「あの女の子を保護しといてくれ。俺はこいつに情報を吐かす」


「俺も戦いたかったな……」


「お前楽しもうとするだろ。今は時間が惜しいんだ」


「へいへい」と、気だるげに返事をして、少女の元へと駆けた。


 それにしても、ヒーローは必ず勝つ、か。その感じだと、今の俺の立場は怪人か。


 アンダードッグ、こいつが女の子を実験に使っていたのは間違いない。警察はそれを見てみぬフリ、国民も正義のためとその事実を見なかったことにして、ヒーローに陶酔(とうすい)する。


 一体、正義は、ヒーローなんてどこにいる。


「ん〜?どうした?ここは俺に任せろって言って、今更怖くなったのかな?」


 嘲笑(ちょうしょう)を含んだ声で話す。


「アンダードッグ、お前ヒーローは必ず勝つって言ったよな?」


「ああ、もちろん。それがなん」


「それじゃあさ、俺の勝ちだな」


「ッ!!」


 怒ったのか、アンダードッグがひょうと空気を切り裂くように俺に蹴りを放ったが、


「………………はっ?」


 微動だにしない俺に驚いたのだろうか。それとも、自分の腹部(ふくぶ)から脳に伝達された、(にぶ)い痛みに対しての驚きなのだろうか。仮面の中から脂汗を吹き出す。


「な、なんで……?」


 その場で膝から崩れ落ちたアンダードッグに答える。


「言ったろ?ヒーローが勝つって」


「なんだ……と?ふざけるな!お前のようなただの人間にヒーロー、ましてやアカーキンのようなパワー型のヒーローに一撃を与えられるものか!」


「実際、一撃もらってるだろ。

 それに……まあ、お前が弱かっただけだ。お前は擬態(ぎたい)をするだけであって、アカーキンのような闘気(とうき)までは再現出来ていない。聞いたことないのか?

 アカーキンの英雄戦技(ヒーローズセンス)は闘気、それによって生み出された破壊力と防御力で怪人を倒しているんだ」


「あ、あれは能力を怪人にバレないように誤魔化(ごまか)すためじゃ」


「──ヒーローはそんなことしない。そして、地面に膝をついているのはお前だ。要するにお前はヒーローじゃないってこった」


 擬態が解け、人間の形状から泥のように溶け、形が再度人間に戻るアンダードッグ。しかし、なんかちっちゃくないか?小学2年生くらい?全裸だし、バベルの塔が生えてるってことは男か。あれ?でもジャングルがな……


「ん?──えッ!?子供!!?」


「なんだよ悪いかよ……」


 いや、悪……くはないけどさ。え、俺、子供殴ってたの?それになんでか全裸だし。これ……はたから見たら俺、悪人なんじゃ……。


「ん”ん”!」


 老刑事の咳払いが背後からした。気配的に、これジュピターも近くまで来てるし。


「ゆ〜う〜り〜!!!」


 怒気(どき)が見なくても伝わってくるほどに大声で老刑事は近づいてくる。こうならないように早めに吐かせてトンズラしたかったのに!


「あ、あのこれには深いわけが……」


「──おーい!ジュピター来んぞ!早く……あッ」


 京介があの少女を肩に担ぎ、草むらから出てくるもんだから言い訳が出来なくなってしまった。なんてタイミングで来てんだバカ!


「てめーら……バカだとは思っていたがここまでとは……」


「これは」


 一から状況を説明しようと(こころ)みたが、遅かったようだ。


 突然、日が完全に落ち、夜の(とばり)がおりた。先程まで静かに戦いの行く末を見守っていたはずの自然も今は、英雄の降臨に歓喜するように騒ぐ。


 来てしまった……。天上天下(てんじょうてんげ)唯我独尊(ゆいがどくそん)、あまねく悪を成敗(せいばい)し、秩序を守る平和の番人。


 ヒーローオブヒーロー『ジュピター』が。




ちな、アンダードッグくんは弱くありません。

ただ、悠里くんが強すぎただけで、ヒーローの中だと中の上くらいのすごいショタです。

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