表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒーローになりたくて頑張った結果警察から国の敵になりました〜丁度いいので復讐します〜  作者: ねぎマイト
ヒーローさんとラスボスが相まみえるだけのごくごく普通のお話
3/31

2話 ヒーローさんこいつ誰です?

よろしくおねがいします

 次の日の昼下がり、どこかに飯屋がないものかと京介と探した結果、うどん屋を見つけたので入ってみたのだが……。うまい。うますぎるぞ、このうどん。店内も親父さんの高倉○みたいな硬派な風貌とマッチしていて雰囲気もいい。


「うっめー!!このタレも美味い。うどんも美味い!なんだよここ。こんな穴場があったなんてよ〜生まれてきてくれてありがとう親父さん!」


 語彙力どうした。


「…………ありがとうございやす」


 硬派だな親父さん。いや、人見知りか?いよいよ健さ……おっとと。


 それはさておき、午前中の成果についてだが、目撃証言が得られるか簡単な聞き込み調査をした。しかし、ロクな情報が得られなかった。


 どいつもこいつも『ヒーローがやるんだろ?じゃあオタクらいらないんじゃない?』だの、『アカーキン様がいらっしゃるの!?きゃーッ!!!』だの……。あいつらが何をしているのか知ろうともしないで……ッ!


「──ひっかしよ〜?にゃんでまた……」


 京介が口に物を詰めながら呟いた。


「ん?なに?」


「ング。いや…そういやお前からあの子のこと、ちょこっとしか聞いてないからよ」


「ああ、そうだったな」


「そろそろ教えてくれよ。正直、ヒーローに連れ去られた女の子なんて少なくともマトモじゃねーぞ。それほど、希少価値の高い何かってこったろ。もしくは、外見目的だな」


 そういうズバッと言うところが苦手なんだよな……。


「そうだな……どこから話したもんかな」


「ああ、別に簡単で良いから。俺、頭あんま良くねーし。ズズズッ!!」


「ん〜簡単に言うとあの子、いいや秡場(はつば)すがるは──怪人だよ」


「んんん!?えっほごほごほ!!」


 うどんが喉に詰まったのか顔を真っ赤にしてむせる京介。まあ当然だよな。言ってなかった俺が悪い。うん。あれ?なんで俺言わなかったんだ?


「おまっ!俺に……俺に怪人の女、探せって言ってんのか?」


「ああ。探すのは俺も初めてだから、嫌なら別に――」


「最っっ高じゃねーか!!?」


 目をうっとりさせ、(ちゅう)を見つめる京介。うん。こういうところも苦手。


「だろうな。お前、俺との組手もにこにこだし、今更やーめたっていうくらいならもっと前の段階でやめてるもんな。ま、それはともかくとして、すがるが怪人と分かった途端、国が動いちまったんだよ」


「ま、あの頃の子供でヒーローの才能、英雄戦技(ヒーローズセンス)持ってるのはかなり珍しいわな」


「そういうことだ。そこですがる確保に投入されたのが『ジュピター』だ。」


「ジュピター……ってあのジュピターか!?なんで!?」


 ――世界No. 1ヒーロー『ジュピター』。当時の俺にジュピターを倒せるわけがなく、あっさりとすがるは連れて行かれてしまった。


「おおかた……あいつらの研究用だろうな」


「相当な子だと見た」


 当たり前だ。あんな英雄戦技(ヒーローズセンス)持った人間はそういない。それにあの子は怪人だが、怪人ではない。まだ犯罪を犯していなかったし、心はまだ幼い、ただのやさしい善良な女の子だったんだ。悪さなんてする子じゃない。ただ、ヒーローってわけでもなかっただけで、めちゃくちゃな事言って、連れ去りやがった。


「俺は今回の事件はあの子がやったものではないと思う」


「だが、監視カメラにはあの子しかいなかったろ」


「逃げるように出てっただろうが!?」


「まあまあ落ち着け。その、すがる?ちゃんって断定はしてないだろ?可能性の話をしたんだ。それに目先の問題は誰がやったかじゃない。あの子の行方、だろ?すがるちゃんさえ見つかればその子の安全確保、首謀者の顔、英雄戦技(ヒーローズセンス)の詳細を知れると、良いことずくめだ。ズズズッ!!」


 京介は真面目な顔で話す。確かに京介の言うことには一理ある。一旦、冷静になろう。すると京介は、あっと、何かを思い出したように、


「そういえば約束ってなによ」


「なんで急に?」


「いや、気になるじゃん?そんな大物の女の子となんの約束したのかさ。ズズズッ!あ、しゅんません、もう一杯お願いしましゅ」


 まず君、食うのやめない?まあいいや。


「河川敷あんだろ?あそこ……で……──あッ!」


「ほぇ?」


 そうだ。なんで気づかなかった……。やっぱりなんか変だぞ。大事な記憶を()()()()()()()()()()()だ。


「ッ!行くぞ!」


「行くって……どこに?ズズズッ!」


「河川敷だ!あそこですがるが待ってる──ってうどん置けや!!!」


親父さんには勘定(かんじょう)をつけておいてもらい、店を出て、車に乗り込む。


「なあ、あそこまた行かね?あの親父さん多分」


「あとで。俺の読みが正しければ──」


 車を河川敷まで走らせるていると、徐々にだが、それでも異常な速度で太陽が沈み始めた。


 やっぱりな。やつが、No.1ヒーロー『ジュピター』が日本に向かって来てる。どうして……アフリカに出張中のはずだろ!?


 河川敷に着き、橋下に向かう。そこは草が鬱蒼(うっそう)()(しげ)ていた。


 昔、この中であの子と遊んでいたのを思い出すな……

 ああ!このテーブル懐かしい〜……わざわざ家から持ってきてここで――って違う違う!感傷に浸っている場合か!


 すがるがいるとしたらあの川辺だ。あそこにはザリガニがたくさんいて、秋にはトンボもいる。


 ――ここだ。この誰が作ったか分からないダンボール小屋。少し形が崩れ、穴も空いているが、あの時のままだ。一体なぜ……?


「っ!?おい京介!」


 ダンボール小屋には少女がうずくまっていただけで、すがるの姿はなかった。少女は……ゴスロリ?いかにもロリっ子って感じ。趣味か?


 見れば、足や腕には痛ましい傷が多く、首筋には意味ありげな弓の絵が──焼印だろうか──深く刻まれている。少女は気を失っているようだ。


「あれま……こいつはひでーな。こいつが例のすがるちゃんか?」


「いや……すがるではない」


「それじゃあこの子って」


草むらの方から音がした。人だ。


「──おーい!お前ら、怪人、見つけられたか?早いとこヒーローに報告して……」


 草むらから老刑事が、……いや誰お前。


「悠里!誰だこいつ!!」


 京介も気づいたようだ。


「な、なにを言ってるんだ私だよわた──ぶるはッ!!!?」


 話しているところ、悪いが殴らせてもらった。川に頭から突っ込んでいく男は老刑事ではない。あの人は手柄を間違ってもヒーローに渡そうなんて言わない。それに、


「お前がなんと言おうと、お前はあのクソ刑事ではなく、英雄戦技(ヒーローズセンス)を持ってるなら怪人、もしくはヒーローだ。そして、怪人やヒーローなら身分を隠したりする必要がない。ってことは、この子には俺らに知られたくない何かがあるってことだ」


 そして、俺らの計画を知っている可能性が高い。危険だ。ここで倒す。


「ふっふっふっふ。バレてしまったようだ──ぶべらッ!!!!!?」


 川から這い上がってきた男を、京介が横から綺麗な右ストレートを繰り出し、また川に吹き飛ばした。


「あ、ごめん。今ダメだった?」


「いんや?大丈夫。──ジュピター来る前に終わらせよう」


 俺たちがツートップと言われる所以(ゆえん)、見せてやる。あ、バカは後で訂正させよ。こいつと一緒にされるのなんか心外だ。


「お前らぁぁぁああ!!人が話している時にぃぃ!許さない!許さないぞぉぉぉぉ!!」


 先程とは違い、川から大ジャンプして上がった男は、体からボコボコと音を立て、人の体から液状になり、やがてまた、人の体に変形していった。


 なんとも不気味な能力だ。骨が(きし)み、肉が服を張り裂かんばかりに膨張し、やつは、ある男の姿へと変わった。


「──アカーキン……」


「そうだ!僕の英雄戦技(ヒーローズセンス)は擬態。触った相手の姿かたちだけでなく、身体能力までも似せることが出来る!」


 自身満々に自分の能力を説明をし始めた男は、擬態ヒーロー『アンダードッグ』。つまり、彼女を探していた依頼人だ。


 ……1つ、言いたい事がある。


「研究者って言うからどんなやつかと思ったら、お前、死亡フラグって言葉知らないのか?」







怪人とはヒーローの才能に目覚めた者のことです。ようは、ヒーローと同じです。

才能に目覚めた瞬間に自分がどちら側か本能で理解します。また、相手が怪人だと判断できます。

すがるちゃんが怪人だとバレたのそういうことです。アンダードッグは詰めが甘かったためバレました。

本来、相手がヒーローかどうかは分かりません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ