◆閑話の2◆ セキヤアカマルのモノローグ
オレは後悔をしたことがない。
子供の頃、親父の大事なツボを割って、ばあちゃんちに捨てられたときも。
ムカつくジャイアンに歯向かって、骨を三本折られたときも。
高校中退したときも。
遠くへ旅に出ていて、ばあちゃんの死に目に会えなかったときも。
闇金に借金したときも。
ヤバい治験に参加したときも。
通算百個目のバイトをクビになったときも。
アーチーに誘われるがまま、ピチピチスーツを着たときも。
戦隊に入ったときも。
怪人の攻撃を、モロに食らって寝込んだときも。
そのせいで就職がふいになったときも。
モモを男と気づかぬまま、そういうことになったときも。
モモに男女合計四人の恋人がいたときも。
ジルにガリア星人の風俗事情を聞いたときも。
アオイの幼い妹が、怪人に襲われたときも。
たまたま行った病院で、余命宣告を食らったときも。
オレはオレを肯定する。
オレはオレを尊敬する。
オレが選び、歩んだ道を、オレだけは愛し続ける。
そう、オレは一度だって、過去を悔やんだことはない。
ただ……、ひとつだけ、いつか後悔しそうだと思ってしまったことがある。
マシロ。
あいつを戦隊に、誘ってしまったことだけは……。
オレは、果たして正しいことだったのか、自信を持てずにいるのだ。