第二話
エラン達は城門に入ってから衛兵が案内するままに進んでいくとかなり町寄りの部屋に案内されてここで少し待つように言われたのでのんびりと待つ事にしたエラン達はのんびりとしていたのだがハトリとイクスはエランの機嫌を伺っていながらもハトリは用意されていた塩気が有る菓子を口へと運んだ。
甘党であるエランは甘味を期待していたのだが実際に用意されていたのは真逆の塩味だったものだから少し,いや,それなりに我慢がストレスに変化してエランの機嫌が少し悪くなったようだ。それでも何も言わないのは環境が良くなったからだ。
あのまま外に居て強くなる日差しの中で行列に並んでるよりかはエランか見て左側に有る窓からは日差しが差し込んでくるが座っている椅子どころかテーブルにまで日差しが届いていないので快適な温度になっている室内に居るからこそエランの機嫌がそこまで悪くはならなかったようだ。
甘い菓子が無い為にエランの機嫌が少しだけ悪くなったのをしっかりと感じ取っているハトリとイクスは甘味不足のエランを刺激しないようにイクスは鞘に収まって黙り込みハトリも黙りながら塩味の菓子を喋る代わりに口の中に放り込んでいた。そんな沈黙が支配する中で耐えられなくなったのだろうエランの背中から剣を抜くときの金属音が鳴るとイクスが喋り出してきた。ちゃんとエランに気を遣って声を荒げないように。
「まったく,そっちから呼び付けておきながらいつまで待たせるつもりだ」
そんなイクスの愚痴にハトリは口の中を空にするとこちらもエランに気を遣いながら口を開いた。
「あの様子から私達が来るのは分かっていたですよ,けどいつ来るかまでは分からなかったから何をするにしても時間が掛かってると思うですよ」
「それでも時間が掛かりすぎだろ」
エラン達がこの部屋に案内されてから,かれこれ数十分は経っているのでイクスにしてみれば文句の一つでも言いたいのだろう。確かにエランとハトリには外の行列に並んでいるよりかは涼しい所で座っていられるのだから楽だと言えるがそれだけに誰もが喋らない雰囲気がイクスに時間の経過が気になって仕方がないように思わせた。だからイクスは時間の事で文句を口に出したのだが出したかと言って何かが変化する訳ではないので仕方ないとばかりにハトリが言葉を返す。
「なんでここに呼ばれたのかは分からないですよ。それでも外の行列に並んでいるよりかは確実に早く町に入れるですよ」
「まあ,そうだけどよ。なら,ちゃんと用事と要件を伝えてから出てけよな」
「そんな文句を言っても仕方がないですよ」
ハトリは言葉を言い終わると塩気がある菓子を口に放り込むとエランへと目を向けた。この部屋に入ってからエランは最初の数分ぐらいは真っ正面を向いて静かに座っているだけだったが今では右肘をテーブルに着けて右手に右の頬を乗せて窓の外をずっと見ている,というよりボーッとしていると言った方が正しいだろう。なにしろここにはエランの好物である甘味は無いし,その他と言えば壁に掛かっている戦争をモチーフにした絵画だけでエランの興味が向くものが何一つとして無いからだ。
殺風景な部屋なだけにここは客室というよりはハツミの兵士達が何かで使う部屋なのだろう。そんな部屋に案内されて待たされているのだからのんびりとしたくなる気持ちも分かる。だからこそハトリも今ではテーブルにもたれ掛かるように姿勢を崩しながら菓子を摘まんでいる。エランとハトリがだらけきっている状況でイクスだけが暇すぎて何もやる事が無いからこそ再び声を出してきた。
「そういえば何であいつらエランとハトリの名前を知ってやがったんだ」
その言葉を聞いて菓子を摘まもうとしていたハトリの手が止まると目を閉じて手に付いた塩を舐めながら何かを考えるとすぐに何かしらの答えが出たのだろう再び目を開いて先程の姿勢でイクスの話に乗ってきた。
「なんとなく分かったような気がするですよ」
「分かったって何がだよ?」
「私達の名前どころかフルネームで呼んだですよ,しかも様を付けてですよ。どう考えても誰かが私達の事を教えたとしか考えられないですよ」
「はぁ,誰だよ勝手にそんな事をした奴は」
「そんなのたった一人しか思い当たらないですよ」
「……あぁ~」
イクスも何かに感づいたように声を上げるがそれを遮るかのようにエランが姿勢を正してきたのでイクスは声が途切れるとエランがハトリに向かって呟く。
「来たよ」
「へっ,なにがですよ?」
突然の言葉に意味が分からないと言わんばかりの表情を浮かべるがハトリの左後ろにあるドアの向こう側から微かに音が聞こえる。静かにしていないと聞き取れない程の音だがそれは確かに鎧の靴が床に付いたときに発せられる足音だ。そして音は本当に少しずつ大きくなっていく,とは言っても静かにしてないと聞こえない程の足音だが音が大きくなるという事はこちらに近づいてくるという事だ。そしてエラン達が居る部屋の前で止まるとドアがノックされた。
「どうぞ」
エランがノックに対してすぐさま返事をしたからなのか,それとも社交儀礼のノックなのかは分からないがすぐさまドアが開いて白髪が交じった髪をした五十代ぐらいの男性が入ってきた。エランが男の方へと目を向けると全身に鎧を纏っているが筋肉質と分かる程に鍛えられている身体だと分かる,そして纏っている鎧がそれなりに豪勢な装飾をしているのと同時に関節部分が細やかに作られている事から男が軍の中で高位の身分だというのが分かるのと同時にエランが男を観察しているのと同じように男もエランを観察していた。
それぞれに第一印象が決まったのだろう男は入ってきたドアを閉めると窓とは反対方向にある椅子に座ってから口を開いた。
「随分とお待たせして申し訳ない。私はマーズ騎士団,騎士団長のベルテフレと申します。それと突然の呼び出しに応じて頂き感謝を申し上げます」
ベルテフレは社交辞令の例文みたいな挨拶をすると少し不機嫌になっているエランがバッサリと言葉で斬り裂く。
「社交辞令としての挨拶は結構なので,ご用件を言ってください」
甘味不足状態のエランが発した言葉は無礼にも聞こえるがベルテフレはまったく気にする素振りすら見せなかった。そんなベルテフレの態度を見ていたハトリが『面倒な事にならないと良いですよ』と心の中では少し不安を感じていた。
エラン達を呼び付けて待たせたのだから文句を言われても仕方ないとも言えるが実際にそのような言葉を聞くとは思ってはいなかったはずだ。それなのにベルテフレは気にする仕草を見せないし気にした様子も無い,ここだけを見てもエラン達が呼ばれた理由が重要でその程度の事を気にしている場合では無いとも取れるからだ。だが実際には話を聞いてみないと分からないからこそハトリは今は黙っているとベルテフレが口を開いてきた。
「それでは用件を伝えましょう,とっ,言いたいところですが何分その用件を話すと長くなりますし,その前に一つだけ絶対に約束をして貰いたいのです」
「その約束とは?」
エランが尋ねるとベルテフレは突然としてエラン達を威圧するような雰囲気を出し始めた。というより実際にエラン達に無言の圧力を掛けているのだろうがエラン達はそんな圧力をまったく気にする事無く黙っているとベルテフレは質問に答える。
「ここでの話を絶対に内緒にしてもらいたいのです」
「よくある約束ですね」
「それでご返答は?」
「ここで交わした口約束に意味と言葉が拘束する力があるのならそうしましょう」
エランがそう返答するとベルテフレは豪快に笑い始めた。それから数秒程だけ笑うと先程までの威圧する雰囲気が消えて今度は真剣で真面目な眼差しに変わると再び口を開いた。
「いやはや,頭の方は私よりも賢いようですな」
「それはどうも」
「そんな事よりも無駄な秤合いはそこまでにして欲しいですよ」
エランとベルテフレの会話に大した意味は無くてベルテフレがエランの思考を含めた力量を試しただけであり会話の内容は無いと言っても良いぐらいだ。だからいい加減に飽きてきたハトリが口を挟んできたのでベルテフレは鼻で笑うと今度も真剣な眼差しをエラン達に向けながら口を開いてきた。
「申し訳ない,なにしろあなた方に頼みたいのはハツミの存亡に関わると言っても過言はない事柄でして,これはマーズ領主からの依頼だと思って頂きたい」
「はんっ! 随分と大きく出やがったじゃねえか。なあ,騎士団長様よ」
突如としてイクスが声を発したのでベルテフレは驚きの表情をエランへと向ける。正確にはエランが背負っているイクスにだが,イクスも自分が言葉を発した事に驚いてるからベルテフレをからかいたい所だがエランが不機嫌なのは忘れていないようなのでそれ以上の言葉を発するのを控えた。するとベルテフレは大きく,そしてわざとらしく咳払いをした。本人としてはその場の空気を変えたかったのだろうがまったく変わっていない現実を無視して話を始める事にした。
「まず簡単に説明しますと今のハツミはたった一つの盗賊団に悩まされるどころか,そのたった一つの盗賊団すら討伐が出来ないのです」
「おいおい,ハツミにはマーズの軍勢が半分ぐらい駐在してるんじゃなかったのか」
「そのハツミの軍を持ってしてもこちらが困る程までに追い込まれているのです」
「単純な軍事力だけでは解決が出来ないって訳か」
「いえ,そうではないのですが,詳しい事は後でご領主から直々に話されるでしょう。なので私からは簡単にお話しします」
イクス,というよりは先程からエランが背負っている剣と話しているベルテフレは不思議というか奇妙とも言える感覚を覚えながらも話す事を話し始めた。
ベルテフレの話はこうだ。ハツミは東西と南に大きな通商路を持っており貿易で成り立っている城塞都市だ。その通商路が有るからこそ盗賊や山に住み着く山賊などが絶えないのだが逆にそれがハツミに留まる駐留軍に盗賊や山賊の討伐を主な任務と為り得意とする任務と為った。なのでハツミの駐留軍は商人達からも絶大な信頼を寄せており盗賊などが出てもすぐに討伐してくれる上に被害に遭った金額を利益に合わせて支払うのでハツミは貿易を生業とする商人達にとってはかなり重要な稼ぎ場所で有り,例え盗賊などに襲われても荷物を置いて逃げれば命だけが助かるだけではなくてすぐにハツミの軍勢が動いて討伐をするだけでは無く奪われた積み荷などが戻ったり,被害額がある程度だが戻ったりとかなり商人達に優遇している町だ。
ハツミはそこまで商人達を優遇しているからこそかなり栄えており,貿易を通じて得られる税金もかなりの金額に上る。だが商人達の優遇が効くのは盗賊達などの討伐に優れた軍隊を要しているからであり,ハツミの軍勢に対する商人達の信頼と信用はかなりのもので有るのでハツミの騎士団としてもその信頼と信用を失いたくは無いし失ってしまうとハツミは貿易で利益を稼ぐのが困難どころか貿易都市としての評価が落ちるのは考えなくても分かる。
主立った産業や生産物が無いハツミにとっては貿易の利益を失うという事は痛手どころか廃退にまで至ってもおかしくはない。だからハツミにとっては騎士団の信用が落ちるという事はハツミの信頼が落ちるという事なのでなんとしても避けなければいけないのだが,最近になって現れた盗賊団がハツミの信頼を落とす程の勢いで暴れ回っている。
当然ながらハツミの騎士団はすぐに討伐隊を編成して向かわせたが何日経っても帰っては来ないどころか次の被害が出たので次の討伐隊を編成して向かわせたがこちらも同じで何度も討伐達を向かわせては帰ってこない,つまり討伐が失敗続きという訳だ。とはいえこのまま討伐が出来ないままだとハツミの騎士団に対する信頼と評判が落ちるのはすでに目の前だ。そこでエラン達をここに呼んだという事になった。
これ以上は騎士団の評判を落とせないので討伐隊を送る事が出来ない,ならばハツミとは関係の無い強者を雇って討伐をさせようという話になった。とハツミの現状を簡単に語ると黙り込んだ。どうやらエランの反応を見たいようだが先にハトリが口を開いてきた。
「ハツミの現状は分かったですよ。けどなんでエランが選ばれたのかが分からないですよ,それを説明して欲しいですよ」
ベルテフレの話を聞く限りでは盗賊団を討伐するだけの力を持っていれば誰でも良いと言えるのだがベルテフレの様子を見ていれば分かる事だが他には目を向けずにエランを指名してきたと言える態度を取っているからこそいろいろと引っかかっているハトリが尋ねるとベルテフレは簡潔に答えてきた。
「イブレーシン=シャルシャ殿から是非との推薦を受けたからです」
その言葉を聞いてハトリは机に突っ伏すの同時にイクスが鞘の中に少しずり落ちた。そして疲れた顔を上げたハトリが思った事をそのまま言葉にして出す。
「やっぱりイブレが関わっていやがったですよ」
「あの野郎,相変わらず面倒で周り臭い事をしやがって」
ハトリに続いてイクスも文句を口に出してきたので理由が分からないベルテフレは首を傾げるのは当然だが何故かエランも首を傾げていた。そんなハトリ達の反応を見たベルテフレは肝心のエランへと目を向けると再び同じ質問をしてきた。
「それでエラン殿,ここまでの話を聞いても今回の件を受けてくださいますか?」
「もちろん」
即答するエランは更に言葉を続けてきた。
「ここにイブレが居るなら断る理由が無くなるし,それにイブレの事だから何かしらの意味が有ると思うから断る方が私達にとっても良くないわ」
エランはかなりイブレという人物を信頼しているようだ。そんな人物がここに居てエランにこの一件を引き受けるように手引きをしたのだろう,だからこそエランにとっては断る理由が無くなったどころかやる意味すらあると思っている。そんなエランの返答を聞いていたベルテフレはエランの言葉だけではなく仕草まで観察していたのだが,話をしっかりと聞いていたエランからは戸惑いどころか躊躇いもしなかった事を見破っていたのだが,ベルテフレとしては嬉しい誤算なのかもしれない。
先程の話を聞いていればハツミの軍勢でも対処が出来ない盗賊団を倒せと言った様なものだから並大抵な者なら戸惑いや躊躇どころではなく間違いなく断る事を考えるだろうがエランからはそのような様子は一切見られない。それだけ自分の強さに自身が有るのかそれとも自分の強さを上に見誤っているのか分からないが,分からないのなら分かるようにすれば良いというのがベルテフレの考えだった。だからエランが引き受けると答えたのだから自分で考えた次の段階へと進める為に口を開いてきた。
「それではエラン殿,城壁に備え付けてある訓練場にご足労してもらいましょうか」
「なんでですよ?」
ベルテフレの言葉にエランではなくハトリが替わりに質問するとベルテフレは自らの考えと意思をエラン達に伝える。
「イブレーシン殿の推薦を領主様が承諾した事に口を出す気は無いのですが我々にも誇りというモノがあります。我らでは遂行が出来ない任務に着く訳ですからエラン殿の実力を示して貰わないと納得が出来ない者が居るのです,私も含めてですがね。なので訓練場でハツミ騎士団との模擬戦をしてもらいたいのです」
「明日にしてください」
最速で返答するエラン。そんなエランに続くかのようにハトリが続いて声を荒げながら口を開く。なにしろここで素直に申し出を受ける事が出来ない理由があるのだからハトリは必死で言葉を声に乗せる。
「私達は今さっきハツミに着いたばかりですよっ! 一日ぐらい休ませても良いはずですよっ! それにハツミに来る前にハツミの西に住み着いてた山賊達を討伐したばかりですよっ! その懸賞金も受け取らないといけないですよっ! そしてこれがその証拠ですよっ!」
懐から出した財布から何かしらの布切れを出すとハトリは叩き付けるようにテーブルに置くとベルテフレに睨みを効かしてからエランの顔色を窺う。相変わらずというべきなのだろうか傍目からみたエランは無表情で何を考えているのかも分からない程だがハトリにはしっかりとエランの瞳の奥に見える物があったので自然とそれがエランの口がから出てくる。
「甘い物,甘味……もう無理」
エランの甘味不足,これこそがハトリを必死にさせてベルテフレの申し出を遅らせようとしているのだがベルテフレから見ればこの申し出を受けたくないと捉えてしまっても仕方ない状況だと言える。だからこそベルテフレは何としても模擬戦をやって貰おうとハトリに向かって礼儀を損なう事なく策を弄してきた。
「なるほど,最近になってハツミの西部にある山間部に住み着いた賊共の報告は受けているので布に施されている印は報告になった物ですから間違いはないみたいですね。だがその程度の山賊は我らでも討伐は出来ますので今回の一件に比べたら大した相手ではないでしょう,それともその程度の相手をしたぐらいで疲れて動けなくなる実力なのでしょうか」
「そんな訳はないのですよっ!」
「あ~ぁ,このクソガキがなに乗せられてるんだよ」
「へっ……ですよっ!」
ベルテフレの言葉に思わず否定の言葉を出してしまったハトリにイクスが呆れたように声を出すとハトリは自分の失言に驚いていた。
ハトリが必死になっている為に興奮状態だった事もあるが,それ以上にエランの実力を見下される事につい怒ってしまったのだからエランもイクスもハトリを責める事は出来ない。まあイクスはハトリを少しだけ小馬鹿にしただけに留めたのはハトリの失言でベルデフレの提案をそう簡単に断れない状況になってしまったからだ。
口調によって尋ねるようにも,確認するようにも聞こえたベルデフレが最後に放った言葉。『その程度の相手をしたぐらいで疲れて動けなくなる実力』と,言葉だけを聞くとエランを見下しているようにも聞こえるが口調と前後に追加した言葉で誤魔化せるからこそベルテフレはワザとそんな言葉を口に出してハトリが否定してしまった。つまり今のエランは戦える程の実力は無いとも聞こえる言葉にハトリが思いっきり否定してしまったので,今のエランでも充分に戦えて実力を発揮できると言ったようなものだ。
自らの失言にハトリは焦りと戸惑いを隠せなくなっていた。すっかり動揺した様子でエランへと目を向けるとエランは俯いていた。そんなエランにハトリは謝ろうと椅子から下りて歩み寄るがエランの瞳を見た途端に足が止まって安堵したかのように息を吐くとエランはハトリの頭を軽く数回程撫でると言葉を呟く。
「甘い物,甘味処」
「……はい?」
突然の言葉にベルテフレは疑問の声を上げるがそんな事に構わずにエランは更に言葉を呟く。
「それに今夜は久しぶりのお風呂に入れるかもしれない」
「……えっと」
「でも,その前に甘い物,甘い物が食べたい。私が甘味を呼んでる」
エランが発している言葉の意味は分からないものの甘い物と繰り返しているからにはそれがエランを模擬戦に引っ張り出すのに必要だと分かるのでベルテフレは思考を巡らしてから言葉を出してきた。
「それではこうしましょう,模擬戦で勝てたのなら私の自腹で思う存分甘味処で奢ります。それにエラン殿の実力がイブレーシン殿の言うとおりなら予定としては今夜からは領主様の城にお泊まりして貰いますのでその辺の宿とは比べものにならない浴槽でくつろげますがいかがなさいますか?」
「では始めましょう」
ベルテフレの言葉を聞いて先程とは真逆に顔を上げて立ち上がったエラン。ハトリはそんなエランの瞳を見てやっと肩の荷が下りたような息を吐いて更に安心すると調子に乗ったイクスが声を出してきた。
「逆に釣られちまったようだな。まあ,その模擬戦を見てから驚いて自分の言葉に責任を取る事だな。これ以上遅れるとさすがのエランも約束を守るとは限らないからな」
「はぁ,それはもちろん」
急に態度が変わったエランと調子に乗ったイクスの言葉に気の抜けた返事をするベルテフレはどうしてこうなったと言わんばかりに意味が分からなかったが,エランが模擬戦に対してやる気を出したのだから良しと思う事にしたようだ。けどエラン達が急に態度を変えた理由はかなり単純だ。
エランが甘い物を食べられる,しかもタダで。先程ベルテフレは甘味処で奢ると言ったのでエランがやる気を出すのは甘い物を食べられるだけで充分で有り,ハトリとしてはエランの甘味代が無くなったので更に路銀に余裕が出来たからで,イクスはタダ単にこの現状を面白がっているだけだ。まあハトリとイクスはベルテフレがエランに対して甘味を約束したのでエランの機嫌がかなり直った事に安堵するのと同時にエランに対して過剰に気を遣う必要が無くなったのも大きいだろう。
何にしてもエランが申し出を受けたのだからベルテフレとしても文句は無いので立ち上がるとエラン達に声を掛ける
「では,訓練場まで案内するので付いてきてください」
ベルテフレの言葉を聞いて頷いたエランを見てからベルテフレは入ってきたドアに向かって歩き出すとエランとハトリがその後に続いた。ドアの向こうは城壁の中というのもあり暗がりを照明で照らしてるが暗い上に細いのは城壁として敵の侵入に対処をしやすくするためだろう。そんな通路をエラン達はベルテフレに続きながら進んでいった。
「ここです」
それだけを言ってドアを開けるベルテフレ。エラン達は数十分ぶりに浴びる日差しが少し眩しかったみたいでエランとハトリは手で目に日陰を作るとすぐに目が慣れたので辺りを見渡すと,ベルテフレが言っていた訓練場は半円形状になっており円の外側には壁のような段差の向こうに数段に渡って座れる場所が出来ている。闘技場を思わせる作りだが訓練場なだけにかなりの広さがあり,数十人どころか数百人は同時に動けるほどで上に伸びてる段差からは訓練の全体が見渡せるのと同時に指示も出せるので実際に軍を編成して指揮官を立てて戦場のような訓練も出来る作りとなっている。
エラン達が訓練場に入るのと同時に数多の視線がエランへと向けられるのはすでに訓練場に待機していたハツミの兵士であり数は百人ぐらいだろう。そんな兵士達が木製の武器を手にしながら待機していたようだ。どうやらベルテフレは最初からエランの実力をこの目で見ようとこれを準備していたようだ。そしてベルテフレには自分が集めた兵士達に自身があるのだろう,かなり得意げにエラン達に紹介をしてきた。
「あの者達がエラン殿の相手です,我が軍の精鋭百人を相手にしてもらいますが文句はありませんね」
さすがにこの数は予想していなかっただろうとベルテフレは勝手に思い込むだけではなくてここに揃えたのは今のハツミでベルテフレが自ら選んだ手練れだからこそ軍事行動にも慣れているし,個人の強さもかなりのモノだ。有る意味では一軍とも言えるのがエランの相手だからこそ思いっきり得意げになっているのだろうし,エランから数の事を言われると勝手に読んだ気をしている。さすがに一対百なのだから文句の一つが出ても不思議では無いのだがエランの口からは別の言葉が出てきた。
「あっちの武器が全部木製だからイクスと戦うなって事?」
「まあ,そうだろうな。せめて刃の無い武器にしてもらえば良かったものを可哀想な奴らだぜ」
「それだけエランだけの実力を見たいようですよ,まあですよ,今のうちに衛生兵なり救護班を出来るだけ多く待機させておいた方が良いですよ」
自分が集めた精鋭達を前にいても文句を言うどころか敵視すらしないエラン達にベルテフレは少し怒りを覚えるのは自分達の誇りを傷つけられたと思ったからだろう,だがこの模擬戦は自分が提案した事だからこそ何も文句は言わないようにしたベルテフレは模擬戦のルールを説明する事にした。そしてさすがにこのルールには驚くだろうと思っているようで笑みを浮かべながらエランに話し掛ける。
「お察しの通りにエラン殿が背負っているイクス殿の使用は禁止させて頂きます。それからあの中には指揮官は居ますがエラン殿にはあそこにいる全員を戦闘不能にさせるか気絶させれば」
「ハトリ,イクスをお願い」
ベルテフレの言葉を遮るかのようにエランは背負っていたイクスを鞘ごと手に取るとハトリに渡すが思いっきり面倒臭いと言わんばかりの顔でイクスを受け取ったハトリが口を開く。
「仕方ないから持っておくですよ」
「相変わらず生意気な口を叩きやがるな」
「なんなら地面に捨てるか,鞘の中に土を詰めるですよ」
「陰気過ぎる嫌がらせをするなっ!」
「ハトリ,イクス,そこまで。甘味が私を待ってる」
「はいですよっ!」
「おっ,おうっ,頑張ってこいよ」
せっかく直ってきたエランの機嫌が悪くならないように即時に返事をしたハトリとイクス。そしてエランは城壁側の壁に向かって歩き出したのはそこに木製で作られた武器が並んでいるからだ。まあ,先程ベルテフレがイクスの使用を禁止すると言ったのと相手の兵士達が木製の武器を手にしているのだから条件を互角にするためにこちらも木製の武器を使えという事は言われなくてもエランは分かっていたからそちらに向かって歩き出したのだが,やはり相手の数はまったくエランは気にしていないようだ。
エランが武器を選びに行ったので取り残されたようになっているハトリとイクスとついでにベルテフレはエランの背を見送るとハトリがベルテフレに向かって話を始めて来た。
「さてですよ,私達はどこで見学をしてれば良いですよ?」
質問にやっと我に返ったように精神状態が安定したベルテフレは答えようとするが,やはりというべきなのかハトリが持っているイクスに目が行った。なにしろ喋る剣という点だけでも普通の剣では無い事は分かっているがベルテフレはそれ以上の事をイブレから聞いているのだろう,だから思い付いた事を口に出した。
「私が案内しますが,その前にイクス殿は私が持ちましょうか?」
「イクスを持つのは不可能ですよ」
即答で拒絶どころか不可能とまで言われたものだからベルテフレは自分が馬鹿にされているようにも感じられたからこそ食い下がる。
「こう見えても私は叩き上げで騎士団長になった身でしてね,自分で言うのはなんですがかなり鍛えておりますのでイクス殿のような長剣を持つぐらいは簡単だと思うのですけどいかがでしょう」
「そういう問題では無いですよ」
「それに預かるだけだというのは重々承知しておりますが」
「それも違うですよ。それに私達もイクスを取ろうなんて思ってないですよ」
「おいおい,こいつかなり頑固だぞ。だったらやらせてやれよ」
イクスがいきなりそんな事を言い出したのでハトリは言葉で説得する事を諦めてベルテフレがイクスに手を掛けやすいように前に出すとイクスが威勢良く声を発する。
「さあ,持てるものなら持ってみな」
「それでは失礼して」
イクス自身が許可を出したのだからハトリは何も言わなかった。というよりイクスが言うとおりにここは素直に持たせてみた方が早いと判断したからこそ何も言わずにイクスを前に出したのだ。そしてベルテフレの右手がイクスを握った。
「なっ!」
重い,いや,それ以前に何かがイクス殿を上から押さえ込んでいるようだ,とイクスを持ち上げようとしたベルテフレが思った。それでもベルテフレは右手でイクスを持ち上げようとするが持ち上げる事が出来ずに両手を使い出した。イクスを両手でしっかりと握りしめてから持ち上げる為の両腕と握りしめている両手に渾身の力を込めてイクスを持ち上げようとするベルテフレだがハトリの手からイクスが離れる事は無かった。
何度か力の限りにイクスを持ち上げようとしたベルテフレだが,持ち上がるどころかどんなに力を掛けても動きもしないイクスに何故と言わんばかりに不思議そうな表情を浮かべるとハトリが口を開いてきた。
「もう諦めるですよ」
ハトリの一言に自分なりに決心が付いたベルテフレが口を開いてきた。
「どうやらハトリ殿の言う通りに諦めた方が良いですね」
「けど残念に思わなくても良いですよ」
「どういう意味ですか?」
「イクスを持てるのはエランと私だけですよ,そしてイクスを使えるのはエランだけなのですよ」
「それはイクス殿がスレデラーズだからですか?」
「やっぱりイブレから聞いていたですよ」
「まあ,それぐらいは予想できるだろ」
ベルテフレの質問にはすぐに答えず文句を並べたハトリとイクス。それからハトリは鍔を上にイクスを持ちやすいように持ってからベルテフレの質問に答えてきた。
「逆なのですよ」
「逆とは?」
「スレデラーズだからエランが持てる訳じゃ無いという事ですよ。その逆だからこそエランはイクスを使えて私もイクスを持つ事が出来るですよ」
「意味が分かりかねますが」
「なら分からなくて良いですよ,誰にも秘密にしておきたい事はあるですよ」
「……」
ハトリにそう言われるとそれ以上の追求は出来なかった。なにしろベルテフレも今現在においてエラン達に秘密にしている事があるのだから,それなのにエラン達の秘密に触れる事はベルテフレの享持と誇りが許さなかった。だからこそベルテフレはイクスを持ったハトリと共に壁と化している段差を上る階段を上るとエランの戦いが見える場所まで案内するのとハトリに適当な場所に座るように言うと同時に自分もハトリの隣でエランの戦いを見とける為に腰を下ろした。
ハトリ達がそんなやり取りをしている頃のエランは模擬戦では審判役をする兵士から木製の武器を選ぶように言われており,エランは何を選んでも良い事は確認済みだからこそイクスの代わりに,そして自分の戦い方に合った武器を手に取ると兵士は驚いて思わずエランに手にした武器の詳細を告げる。
「それは騎馬に対する為の長槍ですよっ! 普通の槍みたいに振るう事は出来ないし歩兵が相手では突くだけでも無理と言わざる得ない程の長さを持つ槍ですっ! そんな物で戦うつもりですかっ!」
エランが手に取った武器は兵士が言った通りの物だが槍の長さはエランの身長に対して五倍ぐらいはあるのだが,エランは長槍の重さを確かめるように上下に軽く振った後に兵士向かって言葉を返してきた。
「これぐらいじゃないとイクスの代わりにならないのよ,それに私の戦い方も出来ないから」
「ですが……」
兵士から見れば確実にエランには使えない武器なのは確かだ。だがエランが武器を手にして立っているだけで兵士は不思議な雰囲気を感じていた。エランの表情は相変わらず無表情と言っても良いが眼だけは少し鋭くなっており眼光からはしっかりとした殺気が籠もっており,明らかにエランとは不釣り合いの武器を手に取りながらもその武器が相応しいように思えたからこそ兵士は不思議な雰囲気に呑まれて何も言えなくなった。
そんな兵士を脇目にエランは踵を返すと手にした長槍を両手で持って真横になるように構える。普通なら自分の身長より五倍の長さをした武器を持つだけでも無理があると言えるがエランは構えるだけなら無理があるどころか自然と言える程にまったく身体が揺らぐ事は無かった。そしてエランは思いっきり長槍を真横に振り出した。そこからは兵士達が予想した通りに振り出した長槍の勢いに負けてエランは体勢を崩した。
体勢を崩してもバランスを失わなかったエランは上手く振り出した長槍の勢いを身体全体で止めると再び両手で真横に持つ形になるがすぐに長槍を縦に持ち直したエランが審判役の兵士に向かって声を掛けた。
「武器は決まったわ,後はどの位置から始めるの」
「へっ,えっ,あの,本当にその長槍で戦うつもりですか?」
「さっき確かめた通りにこれがこの中では丁度良いのよ」
「ですが」
「武器は何を選んでも良いはずよね,だから私が良いと言えば良いのでは?」
軽く悪戯心が籠もった言葉に兵士は何も言えなくなってしまった。そんな兵士を見てエランはほんの一瞬だけ微笑むとすぐに表情が元に戻ったのは自分でも意地悪が過ぎた事が面白かったようだ。そんなエランの表情すら見ないまま戸惑っていた兵士は遠くで座っているベルテフレの方へと視線を向けた。その視線の意味をしっかりと理解しているベルテフレは隣に座っているハトリに向かって話し掛ける。
「あの様な武器でエラン殿は我が騎士団の精鋭と本当に戦うつもりなのでしょうか?」
「もちろん本気で戦うつもりですよ,けどですよ,あれはマズイですよ」
「だな,俺様の代わりなんて絶対に存在しないがあえてあれを選んだって事は相当ご機嫌が急斜面だな」
イクスが続いて声を発してきたのだが言葉の意味がいまいち理解が出来なかったベルテフレは再度ハトリに向かって尋ねる。
「何がマズイのでしょうか? それに機嫌が悪いとは?」
「今のエランは甘い物が大好きな大の甘党ですよ,そんなエランが今は甘味不足になっているのですよ。誰しも大好物がまったく食べられない状況が続けば不機嫌にもなるというものですよ」
「それは先程の会話で理解したつもりですが」
「確かにこの模擬戦に勝てばあなたの奢りで甘味を食べ放題ですよ。けど今はまだ一口たりとも甘い物を食べてないですよ,それだけでエランにとっては不機嫌になる理由としては充分ですよ。そして不機嫌なエランは危険すぎるですよ……一切手加減をしないで叩き潰すつもりですよ」
「その方が良いのでは?」
ベルテフレから見ればエランの実力を見たいのだから手加減を加えるどころか本気で戦ってくれればイブレの推薦を領主が認めた理由がはっきりと分かるどころか自分でもエランを認める事が出来るし,今回の一件を任せても良いと思えるからこそ並大抵の傭兵や剣士などでは太刀打ちが出来ない程の条件を出してきた。それなのに手加減が出来ない状態が危険と言われてもベルテフレには理解が出来なかった。それよりもエランが手にした武器だ。
武器というのは普通なら自分の身長や体重や筋肉量などの身体に合わせて選ぶ物なのだが,エランが選んだ武器は明らかにエランの身体に見合ってはいない。それは先程エランが長槍を一振りしただけで体勢を崩した事で分かりきっている事だ。だからベルテフレは逆に落胆するのと同時にイブレの推薦が間違いだったと思う程だ。だからと言って今更ながら模擬戦を中止には出来ないのでベルテフレは改めてハトリに尋ねる。
「改めて伺いますがエラン殿はあの武器で我が精鋭を倒す事が出来ると考えているのでしょうか?」
「倒す程度で済めば良い方ですよ,エランが手にした武器なら全員が怪我を負うのは確実ですよ,下手をすれば病院へ直行で入院ですよ。それぐらいエランが甘味に対する執着は凄いですよ,だから甘味不足のエランが相手の事を考えていない事ぐらいは見ただけで分かるですよ」
「えっと……要約するとエラン殿は甘い物を食べたいが為に相手の事を考えずに最速で模擬戦を終わらせる為にあの武器を選んだと,そう考えてもよろしいのでしょうか?」
「よろしいもなにもその通りですよ」
イクスを抱えながらはっきりと言い切るハトリにベルテフレは引きつった笑いを浮かべるしかない程になんとも言いがたい状況になっている事をやっと理解した。それから癖なのだろうか少し混乱気味の頭を整理する為に咳払いをしてから,こちらが申し出た模擬戦なのだからどんな結果になろうと文句は言えないし,ハトリの言う通りの実力なら期待が出来ると考えたベルテフレは行動に出る。
審判役の兵士に向かって大きく手を上げるとあちらからも見えるように大きく頷いて見せた。このまま模擬戦を開始しろという意味でそのような行動を取ったベルテフレをしっかりと見ていた審判役の兵士が長槍を手にしているエランへと身体ごと向けた。
エランに模擬戦の開始位置と開始の合図を説明したのでエランがその場所に歩き出すと審判役の兵士は城壁に備え付けるようになっている木製の高見櫓に上ると訓練場の全体を見渡す。外側の長座席とは違ってこちらは数人程がやっと立っていられるだけの広さだが高さは座席とは比べ物にならない程に高いので訓練場の隅々までよく見渡せる作りとなっている。
審判役の兵士が櫓に上った頃にはエランは既に開始位置に立っており,相手のベルテフレが言っていた精鋭の兵士達は既に動けるように陣組をしていた。なにしろ一対百なのだから兵士達は指揮官の兵が出した指示に従って両翼を前に出して中央を少し下げる陣形を取った。まあ,これだけ数に差があるのだから当然と言えば当然でこの陣形を上から見ただけでも相手の意図が分かるし,対峙しているエランも兵士達の動きを見ていたのですぐに分かった。
両翼,右翼と左翼,右側と左側に集まった兵を一気に進ませる事で一気にエランを取り囲んでから攻撃を仕掛けようというのだろう。エランもそれが分かっているからか,または甘味不足なのか,まったく動きを見せなかった。そんなエランとは正反対に兵士達は陣形が完成すると動きが止まったのを見るとやっとエランは長槍を両手で持って軽くだが身構えた。
陣形の形成も戦いにおいては準備の一つなのだからエランはあらかじめ両方の準備が整ってから開始すると聞かされていたので兵士達が陣形を組んでも何も文句を言う気配は無いし言う気もまったく無かった。なにしろこんな事はこれからまっている甘味に比べれば甘味をより美味しく食べる為の運動に過ぎなかったのだから。そしてこれで両方の準備が整った事になるので櫓にいる兵士は備え付けてある大きな笛の吹き口を咥えると思いっきり息を吹き出し甲高い音がなり響いたのが開戦の合図だ。
模擬戦開始の合図が鳴り響き一斉に両翼の兵士達が我先にと走り出すのとは正反対にエランはただ黙って立っている。
なんだかんだ有りながらもエランの実力を示す模擬戦の幕が上がった。
さてさて,お久しぶりの方はお久しぶりです。初めましての方は初めましてです。さてはて,なんか半月ぐらいでの更新となりましたが私としてはもっと時間が掛かると思っていただけに少し自分でも驚いて良いのか,マグレだと思えば良いのか迷っております。それから最後の方ですが……。
なんか次回に引っ張った感が思いっきり出てますが逆でした。私の予定としては今回で模擬戦を一気に終わらせて次に向かう部分で終わるはずでしたが,なんか知らんけど……文字数がかなり長くなってしまいました。ってか!! もう以前の連載でもこんな様な事が有った気がするのは私だけでしょうか。
まあ,それはそれとして少し落ち着き……瞑想……座禅……妄想……と落ち着いた所で一つお知らせと言いましょうか通知しておきたい事が有ります。この小説のタイトルである『白銀妖精のプリエール』ですが……やっぱりいちいち正式名称を書いてると長いしめんどいので『白プリ』と略称でこれからは行こうかと思っております。なのでこれからも白プリをお願いします。と,一通りの挨拶が終わった所でそろそろ締めますか。
ではでは,ここまで読んでくださり,ありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。
以上,何故か季節の感覚が無くなって,何っ! この温度っ!! と夏に慣れる気配がまったくない葵嵐雪でした……なにゆえっ!!