第二章 第十一話
ディアコス軍の中央第二陣へと向けて駆け出すエランはイクスを左下に構えたままに駆け続けた。フェアリブリュームで軽くなった身体と通常なら誰もが出せない程の跳躍力を使って一気にエランは第二陣へと迫る。
ただ一人で突撃してくるエランに対してディアコス軍の第二陣はしっかりした迎撃態勢を取っていた。なにしろエランが第一陣を切り崩す切っ掛けとなったところをしっかりと見ていたからこそ油断などしない。お互いに距離を詰めて盾の両端を重ね合わせると強固な防御となり,どんな攻撃でも受け止められるようにしてエランを待ち構える。
鉄壁とも言える防備を固めている第二陣へと駆け続けるエランだが,突如としてエランの姿が消えたようにディアコス兵達には見えた。その事に驚いてると肉を切る音が聞こえるのと同時に最前列に居た数人の兵士が血飛沫を上げながら倒れたら,すぐ後ろに居た兵士が上から強い衝撃を受けたように後ろに倒れかけるところを後ろに居た兵士の数人が慌てて受け止める。驚きが消えない状態に成るディアコス軍側に,またディアコス兵が血飛沫を上げながら倒れる。
実際に人が消える訳もなく,真実がもの凄く簡単な事もある。エランは只単に前方上空に向かって跳び上がっただけだ,だが跳び上がる瞬間も跳んだ後の速度も通常では考えられない程の速度だった。強弓で放たれた矢のように跳んだエランは一気に第二陣の最前線に達するとイクスを振り抜き跳んだ時の勢いを殺し,着地する場所が無い程に密集している事は充分に推測が出来ていたので,エランは斬り捨てた兵のすぐ後ろで槍を構えていたディアコス兵を蹴りつけるように踏み台にして再び空中へと舞い上がった。というだけの事だ。
ディアコス兵が驚いている間にもエランは次々と第二陣の中央最前列に居る兵達を減らしてく。それを後方で見ていたレルーンとメルネーポが口を開く。
「それじゃあ,そろそろ突撃だね」
「あぁ,第二陣も一気に突破するぞ」
お互いに同じ意見なのを確認するとそれぞれが率いている部隊へと声を掛けようとした時,別方向からレルーンとメルネーポに向かって言葉が飛んで来た。
「待ちなっ! まだ行くんじゃないよっ!」
突如として轟いた声にレルーンとメルネーポは同時に行動を停止するのと同時にレルーンは,後方からゆっくりと歩み寄ってくる人物に向かって戦争中だとは思えない程の呑気な声で呼ぶ。
「だんちょ~う」
愛用の両刃斧を右肩に担ぎながら,しっかりと力強く歩み寄ってくるカセンネ。そんなカセンネがレルーンとメルネーポの所まで歩みを進めると,まずはレルーンに向かってカセンネは口を開く。
「レルーン,ご苦労だったね。ここからはあたしが指揮るよ」
「は~い,って事は全員集合ですか~?」
「あぁ,その通りだよ。それから二人ともしっかりとエランが突入した場所をよく見てみな」
カセンネがそんな事を言ってきたのでレルーンとメルネーポは改めてディアコス軍の中央第二陣へと目を向ける。遠くから,そしてエランの戦い方を見てきたからこそ,エランが空中を舞い踊るかのように次々と敵を斬り伏せていく光景が瞳に映るが,それだけしか分からなかったメルネーポがカセンネに問う。
「何か問題でも生じているのか?」
そんな事を言ってきたメルネーポにカセンネは呆れたかのように溜息を付いてから口を開く。
「ほら,もっとよく見てみな。エランが戦ってはいるけど,まだ陣形を崩せる程じゃないよ。そんな時に突撃してもこちらが迎撃されるのとエランの邪魔に成るだけだよ」
「あぁ~,言われてみればその通りだね」
「レルーン,あんたも部隊を率いている身なんだからしっかりとしな」
「あははっ,ちょっと調子に乗ってたみたいなんで大目に見てもらって許してくださ~い」
「まったく,あんたは……」
レルーンの呑気さ,というよりかは明るさにカセンネはレルーンの強さを見るのと同時にまだまだ未熟なところがしっかりと見えた。それからカセンネは二人の前に出ると右横に居る人物に向かって口を開く。
「やれやれ,士気が上がるのは良いけど調子に乗り過ぎるのは良くないね。ハトリもそう思わないかい?」
「その答えは同感とハッキリ答えるですよ」
「えっ!」
「へっ!」
ハトリの声を聞いて驚きの声を挙げるレルーンとメルネーポ,どうやら二人ともエランと一緒にハトリも突入したと思っていたようだ。そんな後方での声を聞いてカセンネは再び溜息を付いてから口を開く。
「どうやら二人ともハトリが居る事にすら気付いていなかったみたいだね」
「まったく失礼な事ですよ」
「まあ,それに関してはあたしから謝っとくよ。それにあたしが二人を止めなかったらハトリが二人を止めてただろう」
「当然ですよ。エランは前を崩してから突撃してと言ったですよ,それなのに崩れる前に突撃しても邪魔にしかならないですよ。ついでに言うとさっきカセンネが言った通りに今突撃しても迎撃されてエランに負担を掛けるだけですよ」
「すまない」
「あははっ,ごめんね~」
ハトリの言葉を聞いて謝罪の言葉を出してくるメルネーポとレルーンの声を聞いて,ハトリは自分の存在を示すかのように大袈裟に溜息を付いた。そして後ろ目で二人の態度を見ていたカセンネは振り向くとレルーンとメルネーポに向かって口を開く。
「まったく,二人ともまだ未熟だね。そんな訳でここからはウチだけじゃなく,エランを援護する二部隊をあたしが指揮るよ。二人とも異存はないね」
「は~い,私達は元から団長の指揮下だからね~」
元からヒャルムリル傭兵団に属しているレルーンからはカセンネの指揮下に入るのは当然として,ハルバロス軍に属しているメルネーポとしては隊長として任せられた部隊だからこそ最後まで自分で指揮を執りたいという気持ちがあるが,先程までの失態を考えるとこのままではエランに迷惑を掛けるのではないかという考えも浮かんできてメルネーポを悩ませる。そんなメルネーポの葛藤を感じ取ったのかカセンネがメルネーポに向かって口を開く。
「自分の意思を貫く事に同意するけど,今エランと一緒に戦うという事は大局を動かすという事だよ。あんたは自分の判断だけでエランに付いて行けるのか,しっかりと考えな」
カセンネの言葉がメルネーポの心底にあるモノを貫いて壊す。それを感じたメルネーポは自分の未熟さを感じるのと同時に不甲斐ない自分が笑えるモノで少しだけ静かに笑うとカセンネに向かって口を開く。
「分かった,これよりヘルメト隊は貴方の指揮下に入ろう。皆もそう心得よっ!」
『はっ!』
カセンネに承諾の言葉を出した後にヘルメト隊員達にも自分の判断を轟かせたメルネーポ。そしてヘルメト隊員達もメルネーポの気持ちを察しながらも,その判断を信じてメルネーポと共に戦う為に一斉に返事をした。そんな事もあり,エランの後方が一つに固まると再び振り返って戦況を見るカセンネ。そしてある事に気付いたカセンネが隣に居るハトリに向かって問い掛ける。
「ところでハトリ,ディアコス軍の両翼は動きを見せていないのかい?」
「今のところは全く動いてはいないですよ,どうやら中央の救援には来ないようですよ」
「こっちは中央の第一軍を中央突破して第二軍への侵攻待機をしている状態だからね,それを阻止しようと動いても良さそうなものだけどね」
「それは敵の総大将に問いてみないと分からないですよ」
「う~ん,あたしはてっきりレルーン達と合流したら両側から攻められると思っていたんだけどね。完全に当てが外れると敵も何を考えているのか分かったもんじゃないね」
「敵の思惑が分かれば苦労をする人はいないですよ。それよりもですよ」
「あぁ,分かってるよ」
「なら良いですよ」
ハトリの言葉を聞いてカセンネは両刃斧を両手で持つと後方の二人に向かって前を向いたまま大きく声を放つ。
「二人とも準備しな,そろそろ第二陣の最前線が崩れるよ。あたしの合図で一気に突撃しなっ!」
「了解」
「分かった」
カセンネの言葉を聞いてレルーンはヒャルムリル傭兵団に突撃準備をさせるように指揮して,メルネーポもヘルメト達に突撃準備をするように指示を出した。その間にもカセンネ自身も突撃が出来るように両刃斧を握り直しながら,その瞳にはしっかりと戦況を見据えている。そして……機が熟した。
「突撃っ!」
カセンネの号令と共に一気に第二陣へと突入するヒャルムリル傭兵団とヘルメト隊,その先陣を切るかのようにハトリも駆け出していた。そして突撃命令を出したカセンネも両側から先方が突撃するのを目にすると,両刃斧を右上に構えて第二陣へと突撃して行く。
第二陣への突撃が始まる前,ディアコス軍の最後方にある本陣内にある本営ではカンドと共に知将達が揃っている所に一人のディアコス兵が駆け込んできた。
「伝令っ! 中央第一軍が突破されましたっ!」
「なんだとっ!」
「どうなっているっ!」
「中央が突破されるとはどういう事だっ!」
カンドと共に居る知将と称される者達が驚きの声を次々と上げる。なにしろ今日のディアコス軍の布陣は早々と突破される訳がないと言える程に守りに徹した布陣だ。それなのに易々と,しかも中央が突破されるとは誰も思っていなかったからこそ驚きの声が出続けた。そんな中でカンドが声を轟かせる。
「静まれっ!」
カンドの一声で一気に静寂が本営の天幕内に広がると,カンドは完全にハルバロス側の出方を理解していたので悔しさを現すかのように膝に置いた手で裾を握り締める。カンドの声で静まった本営が静けさに包まれるとカンドは目を閉じて思考を巡らす。
ケーイリオンめ,遊走騎馬隊が撤退した事で騎馬隊の戦力が大幅に低下した事と数で劣っている事に乗じて中央突破を仕掛けてきたか。どうする,この状況を覆す手は……無いな。ここで両翼を中央に向かわせてもケーイリオンの事だ,しっかりと備えているからにはこちらの兵が更に削がれる事になる。数で劣っている我が軍の兵を更に減らす訳にはいかない。となると……打つべき手は一つか。
目を開いたカンドは周囲に居る将達を一通り見回すと,顔を前に向けて眼前を睨みつけるかのようにカンドの目はまるで敵陣の奥深くに居るケーイリオンを見ているかのように周囲の者には見えた。そんな風に見えていたカンドだが頭ではしっかりと考慮していた。
昨日から戦いの流れが完全にハルバロス側に成ってしまった。これがケーイリオンの力が,それとも昨日の一騎打ちでスフィルファを打ち破った白銀妖精の力なのか。両方だとしたら最悪だな……だが,その最悪な事態を想定するのも私の仕事だ。それに予定を少し変えて前倒しするだけだ,それだけで一気に流れを取り戻せるかもしれないし,上手く行けばモラトスト平原での戦いを終わらす事が出来る。そこまで上手く行くとは思えないが,やる価値は充分にある。だが私にも意地があるからな,ここでの戦いはすんなりとくれてはやらんぞケーイリオンっ!
カンドは勢い良く立ち上がると揃っている知将達に向かって命令する。
「予備戦力と両翼を直ちにゼレスダイト要塞にまで撤退させろっ! モラトスト平原での勝利はケーイリオンにくれてやるが,ゼレスダイト要塞を背にして戦えば次に勝利を手にするは私だっ!」
自らの負けを断言して次の勝利を断言したカンドに知将達も驚きの表情を見せる。だが素直に自軍の負けを受け入れられない者も居るのも確かで,カンドの周囲に居る知将達から一人が立ち上がるとカンドに向かって進言する。
「それは早計かと思います。確かに敵軍は一気に中央突破をするつもりでしょうが,前に出て来た中央を我が軍の両翼を前に出して後ろから叩けば充分に勝機はあります」
進言をしっかりと聞いていたカンドはそれは無いとばかりに頭を横に振ってから口を開く。
「それは無理だ。確かに騎馬隊を中心に突出してきた敵の後背を突いても敵軍の予備兵力に挟まれて挟撃されるだけだ。その程度の備えはケーイリオンならやっている事ぐらいは分かるだろう」
「それは……」
カンドによって完全に論破された知将は続く言葉が無く,黙り込むと改めてカンドは号令を出す。
「このモラトスト平原で下手に兵力を少なくするぐらいなら撤退して,ゼレスダイト要塞の前に出来るだけ多く兵を置いた方が勝機が確実になる。その為には素早い撤退が必要だ。各将ともすぐにゼレスダイト要塞にまで撤退が出来るように手配しろっ! 撤退が遅くなればなるほど我が軍が不利になると思えっ! いいなっ! では各将はすぐに行動に出ろっ!」
『はっ!』
流石に総大将であるカンドがここまで言うからには他の将も従うしかないうえ,他の名案とも言える策が無いからにはカンドの意見に従うまでと今まで座っていた各将達が一斉に立ち上がって本営の天幕から慌ただしく出て行く。すっかり人気が無くなったディアコス軍の本営でカンドは隣に居る副将を呼ぶと命令かのように言葉を出す。
「いいか,私は最後に撤退する。お前はすぐにゼレスダイト要塞に行きファウビスに伝えてくれ」
「カンド将軍っ! まさかっ!」
「急くな,私とてここで討ち取られるつもりはない,充分に備える為にやってもらうだけだ。それに私が直に出した伝令を他の者に任せる訳にはいくまい,だからこそお前にやってもらうのだ。更に言うと私にはスネテのユニコーンが加護を与えてくれる,その加護がある限り私は死なん」
「……はっ,承知しました」
カンドの副将はカンドの言葉を聞いても胸の奥底には不安があったが,それでもカンドの意思を重んじようと一息ついてから返事をした。そんな副将を見てカンドは一度だけ満足げに頷いてから言葉を続ける。
「もし私がゼレスダイト要塞に行けなかった時には兵力を外には出さずに要塞内に引き込んでから迎撃した方が良い,敵はケーイリオンだけではなく噂に名高い白銀妖精まで居る可能性がある。だからこそ騎兵を使わずに要塞を最大限に活用した作戦を取れ,そうファウビスに伝えよ」
「はっ,承知しました」
「それと発つ前にやってもらいたい事がある」
「はっ,何でしょう」
「うむ,この手が通じるかは分からんがな」
そう言った後にカンドは小さな声で副将へ命令を伝えると,カンドの副将はゼレスダイト要塞で待っています,と言ってから本営の天幕から出て行く。副将を見送って天幕内にはカンド一人になると振り返って後ろに飾るように置いてあるカンドの兜,その上に乗っているスネテのユニコーンに向かってカンドは膝を付いて手を組み合わせると祈りに言葉を乗せる。
スネテのユニコーンよ,どうか我が軍にご加護を。その輝かしき角と力強い蹄を我らに授けて次なる勝利を我が手に,ケーイリオンと白銀妖精にうち勝つ後押しを。敵は強大なケーイリオンと白銀妖精なれど,私はスネテのユニコーンを信仰する者として私にどうか加護と武運を。
傍から見れば熱心に祈りを捧げてると言えるカンドの姿だが,今この時だけは誰しもが,そんなカンドの姿を目にすれば勇気づけられる程にカンドが祈りを捧げている姿と兜の上で輝くスネテのユニコーンは瞳には映らない輝きを放っていた。
このような事があり,カセンネとハトリからは見えないものの撤退を始めていたディアコス軍は両翼から中央への救援を出す事をせずに撤退に専念していた。そんなディアコス軍の思惑は分からないものの,両翼が動かないからこそハトリはともかくカセンネも自ら第二陣へと突入して行った。
カセンネ達がエランと合流して第二陣を突破しようとしていた時,ハルバロス軍の総大将であるケーイリオンは数人の護衛を連れて戦場が見渡せる丘の上にまで登って戦場を見下ろしていた。そんなケーイリオンはエラン達の活躍を見て思う。
流石は白銀妖精の噂は伊達ではないという事か,この展開を作り出したのは儂だとしても,ここまで速い展開になったのはエランの力が大きいと言えよう。それにカセンネとメルネーポも良くやっておるが,流石はカンドと言うべきだな。儂の思惑をいち早く察知して両翼と後方に控えていた戦力が撤退を始めておる,敵の撤退が速過ぎるとさしもの白銀妖精でもスネテのユニコーンを討ち取る事は出来ないだろう。エランの力が劣っている訳ではない,他がエランに追い付けんか。
戦況を見て的確に分析するケーイリオン,そんなケーイリオンが周囲の護衛に向かって言葉を放つ。
「本陣に戻るぞ」
『はっ』
ケーイリオンの言葉を聞いて一斉に返事をする護衛達は馬を翻してケーイリオンを取り囲むようにハルバロス軍の本陣へと戻った。そしてケーイリオンは本陣に戻るなり,馬を世話係に預けるなり命令を出す。
「すぐに馬に武装を取り付けよ,それと儂のハルバートと鎧一式を用意せよっ!」
ケーイリオンの命令を聞いていた護衛に付いていたハルバロス兵が驚きのあまりにケーイリオンに向かって尋ねる声を挙げた。
「まさか将軍自ら出陣するのですかっ!」
そんな問い掛けの声を聞いてケーイリオンは豪快に笑う。
「がはははっ,それも面白そうだが今回は違うぞ。ちとラキソスの奴が困っておりそうだからな,その手助けに出るだけだ。だが戦場では何が起こるか分からんからな,出るからには充分に備えるだけだ」
ケーイリオンの言葉を聞いて安堵の息を出す護衛の兵士達。それと同じくケーイリオンの側近達が一斉に動き出すと,ケーイリオンも戦場に出る準備をする為に自分の天幕に向かって歩みを進める。そして天幕が目の前にまで歩みを進めると既に待っていたイブレがケーイリオンに話し掛ける。
「自らご出陣ですか?」
「うむ,エラン……白銀妖精が噂に違わない活躍,いや,それ以上の活躍をしているのでな,他の者達が困りそうになるので儂が自ら出るだけの事よ」
エランの事を白銀妖精と言い直したのはハルバロス軍には最近になって噂になっている白銀妖精が居る事を強調し,周囲の者達にも認識を強める為にケーイリオンは言い直した。その理由として白銀妖精の噂が噂以上の真実だと認識させて士気を上げる為,それに間者が居ても居なくても話は広がるもので白銀妖精の噂を最大限に活用する為だ。
ケーイリオンの言葉を聞いたイブレもまるで納得したように頷いたので,ケーイリオンは天幕内に入る為に歩み出そうとしたが,突如として足を止めてイブレに話し掛ける。
「それはそうと,イブレ殿は敵将であるカンドをどう見ている?」
「耽美に値する人物かと」
「がはははっ! 随分と芸術的な表現をするものだな」
「恐れ入ります。そういう人物だからこそケーイリオン将軍が自らご出陣を?」
「うむ,カンドが賞賛に値する人物だからこそよ」
「その表現だと私には分かりかねますね」
「だろうな,これは武人であり将軍である者にしか分からない解釈だ。軍師を本質しているイブレ殿には共感は出来ぬだろう」
「では勉強させていただきましょう」
「がはははっ! 勉強と来たか。まあ,儂を見ていても何も得られぬだろうが,この戦いが儂の思い通りに終わったのなら少しは知る事が出来るやもしれんな。がはははっ!」
豪快に笑いながら自分の天幕へと入って行くケーイリオンを見送ったイブレは,いつもの微笑みを周囲に見せながら本陣の入口に向かって歩み出し,何事も無かったかのように振る舞うような足取りでいろいろと考える。
どうやらケーイリオン将軍は戦場に出ても出過ぎる事はしないようだね。それだけエランが将軍の信頼を得られたと捉えて良いかもしれないけど,あまり深く関われるとエランに届いてしまうからね,それだけは何としても避けないとだね。まあ……僕が借りた斥候がそろそろ戻って来るみたいだからね,期待通りの情報が得られたのならエランは必ず自分の意思を貫き通すから心配はないんだけどね。とはいえ情報が無い今では何も出来ないからね,ひとまずはここでの戦いに勝つように専念しよう。
そんな結論を出すとイブレは本陣から出ると与えられた仕事をやる為に戦場へと向かう。
それぞれに思惑と策略を巡らしながらモラトスト平原での戦いは続いている。将,軍師,傭兵,それぞれに意思と思惑があり,それぞれがモラトスト平原のように広がりタイケスト山脈のように複雑な形と成っている。そんな中で戦い続けるエラン達は第二陣を突破して第三陣へと突入していた。
さてさて,第二章もそろそろ中盤の佳境に入りそうな感じに成ってますね~。今回は戦闘シーンがあまり無いものの,戦争を行えば様々な思惑が飛び交うモノだという事をしっかりと書けていたら良いなと思っている次第でございます。
それにしても,大体五千字を目安に更新をして行こうと思っていたんですけど,なんか書いていると一万字未満ぐらいに成っていますね。ちなみに今回の文字数は八千字とかなり五千字を上回る文字数と成りました。まあ,そんな訳で,次からは一万字未満を目安に書いて行こうと思っております。まあ,私自身の感覚で短く切れば自然とそれぐらいの文字数になると思うので,こちやも予定ですが大体周一ぐらいで更新が出来たら良いなと思っている次第でございます。
さてはて,こうして再び書き始めたモノは良いけど……暑いっ!! 特に私の部屋なんて風通しが悪いモノだから早い時期からエアコンに頼らざる得ない。ちなみにエアコンを付けていても室温が27度って,どういう事よ。まあ,PCの近くに温度計を置いてあるから仕方ないと言えば仕方ないけど,更にエアコンも古いからね~。出不精の私にますます拍車が掛かっております。
さてさて,それなりに書き終えた所でそろそろ締めますか。
ではでは,ここまで読んでくださり,ありがとうございます。そしてこれからも気長なお付き合いをよろしくお願いします。更に感想もお待ちしておりますし,宣伝してくださるとありがたいです。
以上,久しぶりにモンハンワールドにハマった葵嵐雪でした。




