第一話
ブレールースと呼ばれる世界には三つの大陸と四つの地区に分けられていた。そして世界の国々や地区では魔法と剣を使って争いをしている為により良い魔法と剣を誰しもが求めていた。そんな時代にとある鍛冶師の名前が世界中に広まった。その名はスレデラーレ=ディング,魔法の源となる魔力を使って様々な力を持った剣を作っては各地にばらまくように売り払って生計を立てていた。
だがスレデラーレの晩年は誰も知らないと言われおり,スレデラーレの最後の弟子と言われているイブレーシン=シュルシャでも知らないと言われているがスレデラーレはどこかの地で自分自身の最高傑作と言われる剣を30本を作って世界中の誰かに売ったり譲ったりしたという話しが世界中に広まり今ではその30本の剣をスレデラーレにちなんでスレデラーズと呼ばれている。
今ではどこにあるのか誰が持っているのかも分からなくなったスレデラーズだが見分ける方法は簡単だ。なにしろスレデラーズはたった一本で一万の兵を相手にしても勝てると言われる程の力を持っている剣……という話しが世界中に広がり今では戦いに関わる者はスレデラーズを求めていると言われる程だ。まあ噂として広まっている部分もあり誰しもが頭から信じている訳ではないがスレデラーズが強力な力を持っている剣である事には間違いはない。
噂でいろいろと付いているにしろ,それだけ言われているのだから争っている国々や騎士に剣士から傭兵まで戦いの中でスレデラーズを手に入れようとしておりスレデラーズを持っているを持っている陣営が必ず勝つとも言われるようになってからは国から個人の単位でスレデラーズを手に入れようとしている。
なのだがスレデラーズ探しに本気を出している国が一国として無いのはスレデラーズを探すよりスレデラーレの弟子が多数居るのだからその者に剣を作らせているからスレデラーズを探すよりもその者達に剣を作らせた方が早いからだ。個人としてもどこにあるのか分からないスレデラーズを探すよりもより良い剣を求めてスレデラーレの弟子に剣を作って貰う方が多額の出費を出すだけで済むのだからそちらを求める者が多い。とはいえ一度でもスレデラーズの力を見た者は誰しもが口を揃えて言うのだ。
スレデラーズは一本でも手に入れれば最強になれると。そのためスレデラーズにこだわる者も居るが未だに争いが絶えない世界だからこそスレデラーズにこだわる事が無くて新たな剣を求める者が多い中でスレデラーズにこだわる者も居る。そして……スレデラーズの宿命を背負う者も……。
ブレールースの世界では魔法の力を宿した剣が数え切れない程も存在しているが求める者はやはり求める……スレデラーズを。そしてここにもスレデラーズを探している者達が旅を続けている……スレデラーズを全て集めて祈り願う先を求めて……。
ブレールースの中央北部にある広大なアクロライト大陸は北部の半分は死の大地と呼ばれており連なる山脈を越えた先にある死の大地は木々どころか草一本も生えない荒野が広がっている。ただ『大地がある』としか言い様がないほど地面しか無くて植物どころか生物すら存在が出来ないからこそ死の大地と言われており,そんな所に住居を構えるような酔狂な者は今では誰も居ないような場所である。
そんな死の大地から山脈を挟んだエアリス国マーズ領のとある道を全身をマントで包んだ二人の人物が歩いていた。フード付きのマントであり顔すら見えないけどマントの大きさから一人は子供だと分かってもう一人もマントの肩幅から細身な人物だと分かるが背中から顔辺りまでマントを押し上げているので何かを背負っているのが分かる。細長くマントを押し上げているので棒状の何かを背負っているのだろうがマントの中に隠れているので何を背負っているのかも分からない。そんな二人が南から風でマントを揺らされながら道を歩いている。
道は両側が深い森に覆われており薄紅色の花を付けた木々が道を彩っている。そんな道の前と後ろしか見通しは良くないが馬車も通れる通商路となっているのだろう,道幅はかなり広く小柄な二人が歩いていても馬車が二人の両脇を通れる程の広さがある。そんな道を歩いていた二人だが細身の人物がふと歩みを止めると子供の方も止まる。
風が一瞬だけ強く吹くと木々を揺らしたので細身の人物はマントから腕を伸ばして手を開いた。見えた腕から白い服を着ているようであり肘から上は白銀の手甲を身に付けており手は透き通る程の白さから肌が白い事が分かる。そんな白い手に花から落ちた薄紅色の花片が舞い落ちると自らの手に落ちた花片を見詰めるように俯くと子供の方が細身の方に向かって話し掛けてきた。
「本当に出てきたですよ。まったくどうやってこんな情報を手に入れたですよ」
「けど,おかげで次の町ではゆっくりできる」
「確かにこいつらが結構持っていたら少しは贅沢が出来るですよ」
「甘い物とお風呂」
「分かっているですよ。本当にエランはその二つが好きですよ」
二人とも女性の声なので少女と幼,ではなく二人とも少女であり子供の方は細身な少女をエランと呼んだのだからそれが細身な少女の名前のようだ。それからエランは手にした花片を地面に落とすと顔を上げて周囲を一回だけ見回す。
「五十人ぐらいかな,ハトリ,これで全部ぐらい?」
ハトリというのが子供の方の名前みたいなのでハトリは頷いてから答えた。
「はいですよ,貰った情報だとそれぐらいの人数ですよ」
「まだ様子見してる?」
「値踏みだと思うですよ。けど釣れる事は間違いないですよ,その為に前の町では奮発して上質のマントを手に入れたですよ」
「ならもう少し先かな?」
「この手の輩は襲撃場所を決めてる場合が多いですよ,さっきから様子を窺ってると自分達に都合が良い所まで待つつもりですよ」
「そう,なら行くよ」
「はいですよ」
風が木々を揺らして花から欠片が舞い落ちる中で再び歩き出したエランとハトリ。マントを揺らす風は少し暖かくて心地良ささえ感じる道の両側に注意を向けながらも風の心地良さに微笑みを浮かべたエランだがすぐに感情の無い顔,無表情とも言える顔をして歩き続けた。そして先程の話しに出てきた通りに少し進んだ先でそれは起こった。
突如として両側にある森の下に密集している茂みが荒々しく動くと人影が一気に飛び出してきた。男女が入り交じった集団は剣や槍といった武器を手にしながらエランとハトリを取り囲んだ。エラン達を何重にも大人数で取り囲むと一人の男がエラン達の前に進み出て口を開いた。
「ここは俺達のシマだ。通りたければ」
「はいはい山賊なのは分かっているですよ,だからそれ以上言わなくても分かりきっているから大丈夫ですよ」
「なっ!」
お約束の決まり文句を途中でハトリに強制中断させられてしまった山賊は驚きと戸惑いの声を上げるがすぐに他の盗賊が替わりにエラン達に言葉を発する。
「分かってんなら話しが早い,さっさと置いてく物を置いていってもらおうか」
「残念ながら丁重では無く無礼に断るですよ」
「分かってんなら断るとどうなるかも分かってんだろうな」
剣をエラン達に向ける山賊をハトリは鼻で笑うとフードを取って山賊に笑顔を向けながら答える。
「もちろん分かっているですよ。最もそっちの予定とは真逆ですよ」
「逆ってなんだ逆って,それに変に笑うんじゃねえ」
「変とは失礼過ぎるですよっ!」
そこに怒るのね,とエランが思っていると背中から金属音が鳴り響くと少しだけエランのマントが押し上げられる。
「ぎゃはははっ! はっきり言われてるな。まあお前の顔が変なのは昔からだけどな」
「イクスは黙ってるですよっ!」
突如として響いた金属音と男の笑い声に山賊達は言葉を出せない程に驚く。それも仕方ないだろうなにしろエランとハトリの二人だけなのにもう一人居るかのように声が聞こえて来ただけではなくて自然と会話に入ってきたのだからどう考えてもエラン達と一緒に居るのは間違いは無いのだがそれらしい人物は居ない。どう見てもエランとハトリの二人だけなのに姿が見えない三人目の声が聞こえて来たのだから大いに驚くのは当然とも言える。
イクスと呼ばれた何かは更にハトリに向かって言葉を放つ。
「まあ,ここは変なのを素直に認めろよ」
「なんでそんな事を認めないといけないですよ。どちらかと言えばイクスの方が変過ぎるですよ」
「変過ぎるとはなんだっ! 変過ぎるとはっ! このクソガキが華麗で気品があって強さも兼ね備えてる俺様に対して失礼過ぎるだろっ!」
「はっ,イクスは自分を持ち上げ過ぎですよ。そもそもイクスに気品も華麗さも無いですよ」
「なんだとっ! 常日頃から俺様の姿を拝みながら何を言ってやがる」
「拝んでなんかないですよっ! エランなら華麗で気品もあると言えるですよ。けどイクスは……ぷっ」
「このクソガキっ! 笑うとは何事だっ!」
「これは失礼ですよ。でもイクスに華麗と気品と言われると……どうしても,ぷっ」
「そこまでかっ! そこまでの事なのかっ!」
「そこまでだからこうなるのは当然ですよっ!」
「泣かしてやろうか,クソガキ」
「やれるものならやってみるですよ」
「ハトリ,イクス,そこまで」
言葉を発してからエランは自分の背中に手を当てると更に言葉を続ける。
「これ以上はお仕置き」
「ごめんなさいですよ」
「すまん,悪かった」
二人が素直? になったところでエランは改めて山賊達に目を向けるとハトリとイクスのやり取りに驚きを通り越して呆然としているように見えた。だからいまのうちに次の行動をすぐに始められるように身に付けているマントを脱ぐとエランの全身が誰の目にも映った。
背丈や顔立ちから十六歳ぐらいの少女のようだがなによりも目を引くのが光が当たるとうっすらと紫が混じったように光る白銀色の髪が腰まで伸びて綺麗に切り揃えている。そんな髪に合わせたかのように真っ白な服は短めのワンピースだがスカートの下から膝上まで太ももに密着するズボンのような物を履いている。そして服の上に防具……と言ってもエランはかなりの軽装だ。
肩当てと胸当てに手甲と膝が曲がるように作られた脛当に靴,そして腰の両脇にある垂れるような形をした腰当てと防具だから全てが金属で作られているが目を引くのは見事な装飾と髪とは違って光が当たると少し灰色が混じったように光る白銀色の防具だという所だ。
白銀色の髪と防具,そして白い服と肌に金色の瞳をしているので幻想的な姿をしているようでもあり自然と雰囲気も幻想的に見えて同じ人間だとは思えない程だ。その為に山賊達の動きが止まって呆然としているうちにハトリもマントを脱ぎ去る。
背丈と顔立ちから十歳ぐらいに見えるハトリは綺麗な金色の髪を少し後ろでツインテールにしてまとめている。そんな髪と合わせるように黄色のワンピースと黄色よりも鈍い山吹色のゆったりと膨らんでいるズボンを履いている。それから青い瞳である碧眼をエランへと向けると背負っていたリュックを地面に下ろしてエランからマントを受け取って自分が纏っていたマントと一緒にリュックへと仕舞い始めた。
エランとハトリの姿を見てから少し呆然としていた山賊達だがハトリが何事も無いかのようにマントを仕舞うという身の回りの整理を始めたものだから山賊達もやっと自分達の意識と欲望を思い出したから山賊の一人が剣をエランに向けて口を開く。
「随分と良さげな防具を着けてるじゃねえか,そいつも金と一緒に置いて行ってもらおうか,それとその背負っている剣も高く売れそうだから置いて行け」
「素直に俺達の言う事を聞いておいた方が良いぜ,それでも嫌だって言うならお前らみたいなお子様達に世の中の常識を教えてやるよ」
未だにマントを仕舞っているハトリの後ろからも山賊が追い打ちを掛けるような言葉を掛けるがハトリは何も聞いていないように作業を続けてエランは……何を考えているのかも分からない程に無表情だ。それだけでも山賊達の脅しがまったく効果が無いのが分かるので山賊達は更に脅迫に使える言葉を考えるがその前にエランの背中から声が響いた。
「おっ,俺様に目を付けるとは少しは見る目があるようだな。けどお前らの装備が貧乏臭くてこっちとしては少し当てが外れた気分だぜ」
「貧乏臭いだとっ!」
その言葉に過剰な反応を示す山賊達だからこそ自分達でも言われた事を気にしていたようだから山賊達に火を付けたとも言える。そこに作業をしながらハトリが口を開いてきた。
「どの鎧もくたびれてるですよ,それに何本もの剣が刃こぼれしてるですよ。これだけを見ただけでも装備を調えるだけの資金が無い程の貧乏だと分かるのですよ,だからこちらとしてもかなり期待外れですよ」
「お前ら黙って聞いてれば言いたい放題言いやがってっ!」
火に油を注ぐなんてものではなくて火に油壺を投げ込んだように山賊達を怒らせる発言をしたのにも関わらずハトリは山賊達には目を向けずに地面にちょこんと座ってエランとハトリのマントを丁寧に畳んでリュックの中に押し込もうとしている。そんなエラン達に痺れを切らした山賊達の一人が大声で叫ぶ。
「もういい,お前らやっちまうぞっ!」
その言葉を合図に山賊達が一気に大声を上げるとエランは静かに呟く。
「イクス,行くよ」
「おうっ!」
エランが右手を斜め上に上げると背負っていたエランの身の丈と同じぐらいはありそうな剣が勝手に鞘から飛び出すように抜けると半回転してエランの右手に握られると今度は剣から山賊達に向かって大声で叫んだ。
「耳の奥までしっかりと聞いて脳みそに焼き付けやがれっ! 俺様達こそスレデラーレが最後に作った剣,そして俺様の名前はイクスエスだっ! 地獄で自慢が出来るようにスレデラーズのイクスエスに斬られた事をよく覚えて沈んで行けっ!」
スレデラーズという言葉を聞いてさすがに山賊の一部が怯むように動きを止めるが既にエラン達の後ろを取っている山賊達の数人がハトリに向かって剣を振り下ろせる程に距離を詰めており,何人かの山賊だ同時にハトリに向かって剣を振り下ろすがハトリのツインテールが風も無いのに揺らぐと金属音が鳴り響く。
光で描かれた複数の丸に魔法言語が丸の間に並んで中央には大きな八芒星が黄色味を帯びた光で輝いてハトリに振り下ろされた剣を止めていた。
「マジックシールドだとっ!」
山賊の一人が自分の攻撃を止めた原因に驚いて声を上げた。その間にもハトリは着々とマントを畳んでいるが山賊の声を聞いてから呟くように言葉を発する。
「防ぐだけでは無いですよ」
突然金色の何かがハトリに襲い掛かった全員の胸を貫いた。それが何なのかは見ていた山賊達にはまったく分からない,なにしろそれはハトリに襲い掛かった全員を一撃で仕留めるとすぐに消えて次にはハトリがマジックシールドを押し出して山賊達を弾き飛ばしたからだ。するとエランの右手に収まっているイクスがエランに向かって声を飛ばす。
「おいおい,ハトリにだけやらせるつもりかよ。せっかく俺様が威勢良く名乗ったっていうのによ」
「イクスがいきなり大声を出したからビックリした」
「うっ,すまん」
エランとイクスがそんな会話をしていると山賊の一人が何かに気付いて仲間に注意を知らせる為に声を大きくして口を開いた。
「白銀の髪と鎧に長い剣,おいっ! こいつもしかして最近になって噂になってる白銀妖精じゃないか」
「あんっ,なんだそれは?」
「知らないのかっ! 最近になって傭兵や賞金稼ぎとして凄腕の剣士だよ。白銀の鎧と髪をしてるから白銀妖精とも呼ばれてる奴でなんでもたった一人で数千人も斬り伏せて雇った側に勝利をもたらしたとか,そんな信じられない噂を撒き散らしてる奴だよっ!」
「す,数千人って」
あまりにも信じられない数に疑いながらも必死になって話してきた山賊に圧倒されているようだ。そんな話しを聞いて調子に乗ったイクスが声を放つ。
「はははっ,俺様達も少しは名が広まったようだぜ,なあ白銀妖精」
「イクス,誰かが付けたのか分からない異名で呼ばない。それと調子に乗り過ぎ,あとはそろそろ飽きてきたから……行くよ」
「あぁ,分かったよ,エラン」
その会話を最後にエランは山賊達に向かって走り出してイクスを振るうと数人の山賊が一気に斬り飛ばされた。そしてエランの姿が消えていた,それから最後まで山賊達はエランの姿を目にする事は出来なかった。
周囲を微かに血の臭いが漂い地面には先程までエラン達を襲ってきた山賊達が自分の血溜まりに倒れ込んでいる。そんな中でイクスに右肩を預けて立って辺りを見回しているエランと死体に何かをしているハトリの姿があった。このような光景は戦争をやっている世界では当然で驚く事も無い,そんな中でエランがハトリに向かって話し掛ける。
「何人か逃げて行ったけど追わなくても大丈夫?」
「追い掛けても大して持ってないですよ,そんな事をするよりも倒したこいつらから有り金を全て拾った方が効率的ですよ」
そう言いながら死体から硬貨の入った袋や財布を探しては自分の財布に入れていくハトリ。死人に口なしならぬ死人に金は必要無し,と言った所だろう。それにエラン達の目的はこれなのだから当然と言えば当然だ。
山賊退治という賞金稼ぎと討伐した山賊からも死体を漁る事で路銀を得られるという一つの行動で二つ美味しいというのがエラン達の目的だ。人によっては人道,道徳に外れているという行動と言われるだろうがそんなのは平和な生活をしている平和な頭をしている連中が言っている事で戦争や戦いを生きる糧としている者としては平和ボケした呑気な連中の戯言と言い切れる。
戦争や戦いの本質は弱肉強食,強い者が弱い者を食いものにするのが当然だ。後は強さや力を誰に向けるかの違いでその人物の見方や評判というのが変わってくる方式が成り立っている。現にエラン達が倒した山賊達は人間としての評価や評判は落ちる所まで落ちているのでそんな山賊達を食いものにしているエラン達の行為をどう評価するかだがエラン達から言わせれば誰かに何も言う権利は無いと言える。なにしろ戦争や戦いに命を懸けて戦っているのに命を危険に晒していない者に何かを言われる筋合いは無い。それがこの世界で戦いの中に生きる者の言い分であり,常識となっている概念だ。
武器を手にして戦うからには命を懸けるのが当然であり命を取り合う事こそ戦いと言えるのだから負ければ命を失うのは当たり前だ。このブレールースでは戦いや戦争という行為が跋扈している世界なのだから逆に平和で平穏に生きている者は少ないと言える程に戦いが繰り広げられて命を失った身体が地面へと転がり死体となる。そしてこのまま死体を放置しておいても結末は変わらない。
死体が腐って土に帰るなんて事が絶対に無いからだ。この世界には人間を喰らう獣,魔獣とも魔物とも言われる生物も多く生息しているから血の臭いを嗅ぎつければエラン達の周囲にある死体は魔獣達の腹を満たすだけであり,ハトリが死体から硬貨を回収しなければ死体だけ消えて地面に残っているか,または魔獣の腹に入るかの二択しかないのだから有効活用するのが利口と言える。そしてそれは硬貨だけではなく山賊達が持っていた武器も同じ事が言える。
エランが周囲を見回して既に生きている山賊が居ない事を確認するとエランも死体から金を頂こうとするがイクスが声を発してきた。
「それにしてもしょぼい連中だったな。けど中には少し良い剣を持っていた奴も中には居たぜ」
イクスがそんな言葉を発するとハトリは手を止めて溜息を付いてからイクスに向かって言葉を放つ。
「また出たですよ。そもそも基本としてイクスには必要が無いですよ」
「良いじゃねえか,嗜好品だ,嗜好品」
「駄剣のくせにですよ」
「何か言った,クソガキ」
会話を聞いていたエランが立ち上がって右肩に預けていたイクスを下ろして切っ先を地面に向けるとイクスが歓喜の声を上げた。
「さすがエランだな,よく分かってるよな」
「イクスにそこまでする必要はないですよ」
すぐさまハトリが文句のような言葉を放つがイクスが文句を文句で返す前にエランが口を開いてきた。
「イクスも頑張ってくれたから,少しは見返りがないと」
「そうだそうだ」
調子に乗って囃し立てるイクスにハトリの顔に少しだけ怒りが見えるのだがエランがイクスの主張を認めてしまったものだからこれ以上は言い様がない事を悟ったハトリは黙って死体から金を拾い上げる作業に戻って行った。そしてエランはイクスを手にして地面に転がっている剣を見て回る。
地面には槍や弓なども落ちているがエランはそれらには流し見るだけで剣にだけは注意して見て歩き回っている。なにしろイクスが求めているのは上質な剣なのだから他の武器に興味と意味は無いので地面に数多く転がっている剣を見て回るエラン,それに対してイクスは少しだけ調子に乗っているのを示すかのように鼻歌? のような声を適当なメロディーに乗せて発している。そのまま死体やら武器やらが幅広く転がっている場所を満遍なく見回したエランはある所に戻ると地面に転がっている一本の剣を左手で持ち上げた。
「これでどう?」
イクスに意見を求めるとイクスも分かりきっていた事だからこそ思っていた言葉を声にして発する。
「まあ,あいつらの身なりからあまり期待していなかったけど,こいつならそれなりに美味そうだ。だからエラン,これで決まりだ」
「分かった」
短く答えたエランがイクスを上に向けてから左手に持っていた剣と右手に持っているイクスを近づけるてエランの両肩よりも内側部分でイクスが光り出すとエランは手の動きを止めてイクスと左手に持っている剣の距離が決まる。
光り出したイクスは溶けるように上下に広がるとエランが左手に持っている剣を包み混むように覆い被さる。そのまま投網を引き上げるかのようにイクスは元に戻っていくとエランの左手に掛かっていた重みはすっかり消えていた。そしてイクスが完全に元の形状に戻るとエランが左手に持っていた剣は消えていた,というより刀身の部分だけが綺麗さっぱりと消えている。残っているのは木製の柄と鍔だけでそれ以外の金属部分は跡形もなく消えた。それからエランは左手に残った部分を地面に落とし捨てるとイクスが少し満足げに声を上げた。
「あいつらが持っていたやつにしてはなかなかだな。雑味がかなり多いがそれでも切れ味がある辛みがありなめらかな食感が辛みを邪魔せずに良いバランスで補い合って丁度良いアクセントになって」
「はいはい,イクス達にしか分からない食事の感想は要らないですよ」
「何を言いやがるっ! せっかく俺様が」
「イクス」
「お,おぉ,なんだエラン?」
イクスの言葉を切るようにエランに呼ばれたものだから,さすがのイクスも少し動揺しながら返事をして尋ねるとエランは無表情のままイクスを顔の真正面に向けて口を開いてきた。
「今は私もこれ以上は聞きたくないかな,だからイクス」
エランがそう言った後にイクスを手にした右手を斜め上に上げた。
「あぁ,分かった,分かったよ」
エランの右手からイクスの重みが消えると手を広げた。するとイクスはエランの手から離れて半回転してエランが背負っている鞘の中に入って行き少し拗ねたみたいで大きな鍔鳴りを響かせて完全に鞘に収まる。それからエランはハトリの元へと歩いて行くとハトリは丁度一つにまとめた袋を服の中に仕舞っている途中だ。
「終わった?」
エランが短く質問をするとハトリが元気良く答える。
「はいなのですよ。あいつらが持っていたお金は私達の路銀になったですよ。これで次の町では少し贅沢が出来るですよ」
「甘い物,甘味」
「以外と持ってたですよ。だからエランが満足するだけ買えるですよ,ついでに宿はお風呂付きに泊まれるですよ」
「うん,良かった」
ハトリの言葉に今まで無表情だったエランの顔が微笑みに変わった。どうやらエランも見かけ通りの女の子とした一面をちゃんと持っているようだ。そんなエランが微笑みながらハトリの仕事を労うように頭を撫でるとハトリは少し恥ずかしがりながらもエランにが満足するまで頭を撫でられていた。エランの手がハトリの頭から離れるとハトリは手早く荷物をまとめていると気になったのでエランに尋ねてきた。
「ところでエラン,このマントはどうするですよ?」
その言葉を聞いたエランは周囲を見回し肌に風を感じると周囲の木々は青々とした葉を多く茂らせており南から来る風は心地が良い暖かさをエランに感じさせたのでエランはハトリの問いに答える。
「少し荷物になるかもしれないけど仕舞っておいて,また使う機会があるかもしれないから」
「はいですよ」
答えたハトリは手慣れた速さでマントを荷物の中に仕舞い込むと背丈の半分ぐらいはある荷物を背負う。一方のエランはイクスを背負っているだけで荷物のような物はまったく持ってはいないので時々だがハトリの立場が勘違いされるのだがハトリはエランの従者では無いので上下関係ではなく役割の上で荷物は全てハトリが持っているだけでエランにとってはハトリも大切な存在なのは間違いない。そんなハトリがいつでも出発が出来ると顔に出しながらエランを見るとエランも道の前に目を向けると口を開く。
「じゃあ行くよ,ハトリ」
「はいですよ,手筈通りに手早く済んだから昼頃にはハツミの町に着くはずですよ」
頷いたエランが歩き出したのでハトリも横に並んで歩き始めた。
エアリス国マーズ領ハツミの町はアクロライト大陸の中部にある町だが北に数十キロも進めば死の大地を隔てる山脈があるので大陸の中部と言っても実質的には最北部ぐらいにある町とも言える。そのため北回りに進む路では重要な通商路や旅路の商業地や宿泊地となっているのでハツミの町は大きく栄えるだけではなく領主の城をも置かれている城塞都市とも言える町だ。そして重要な路だからこそそこを訪れる人も多い。
エラン達も予定ではハツミの町に到着をして町の中でゆっくりとしているはずなのだが何故だか町の中に入る事は出来ずに町に通じる門の前に出来ている行列に並んでいた。しかも行列は進むのが遅い為にエランは無表情でただ列に並びハトリは少しぐったりとした表情でエランの隣に居るとエランの背中から金属音がなるとイクスが刀身が少しだけ見える部分だけが出てくると次にイクスから声も出てきた。
「おいおい,なんだよこの行列は,なんでこんな所で行列なんて出来てんだよ」
「さっき聞こえたですよ,どうやら門の所に関所が出来て身分や荷物なんかを厳重に調べてるみたいですよ」
「なんで関所が出来てんだよ?」
「私に聞かないでですよ」
先程も述べたようにハツミの町は重要な旅路や通商路となっている。なので当然ながらハツミを行き交う人の数は必然と多くなるのは当然であり,その人々を関所で止めているのだから行列が出来るのも必然なのだがエラン達が聞いた話ではハツミは関所なんてモノはなくて誰でも自由に出入りが出来たはずだが,現実では関所が出入りの自由を禁止しているのは確かであり,そのためにエラン達が未だに休めていないのも確かな事である。
ハトリとしても先程の事があるから早くハツミでゆっくりと休みたいが,それよりも心配になっているのがエランの事だ。今は何も言わずに列に並んでいるがこれが続くとハトリも少し心配になっていた。そしてハトリの心配をまったく気にしない気配りが出来ないのがここに居て声を出してきた。
「か~,大体なんなんだよこの行列は?」
「知らないですよ」
ハトリはそう答えながらも周囲の話し声に耳を傾けるとエラン達が並んでいる西門だけではなく他の門でも関所が設けられて厳重な取り調べが行われているようだ。
ハツミの町は東西と南に町へと出入りする門があり周囲は高い城壁で囲まれている。重要都市だから城壁で囲まれているのではなく,この世界では魔獣が人を襲ってくるので町や都市から村に至るまで城壁や囲む壁を作るのが常識となっている。壁がないのは絶対に魔獣が出ない限られた村だけと言える。そしてハツミは最北端の町に数えられる一つである当然ながら北門は存在しない。北に行っても村もなくてただ深い森が続いて死の大地を隔てる山脈にぶつかるだけなのだから。そして先程ハトリが盗み聞きした話しでは東門と南門でも同じような状況になっているのが分かった。
行列が少し進んだので何人かあるいは商隊が町に入ったようだが本当に少し十歩程度歩いただけで行列が再び止まるとイクスがいい加減にしろとばかりに声を上げる。
「さっきからなにちんたらやってんだよ,ちゃっちゃかやって終わらせろよ」
「こんなところで愚痴を言って仕方ないですよ」
「うるせえな,愚痴だろうが文句だろうが言わねえと気が済まねぇんだよ」
「イクスの気分なんて知った事ではないですよ」
「言いやがったな,このクソガキッ!」
「迷惑だから怒鳴るなですよっ!」
「お前だって怒鳴ってるだろっ!」
「焚き付けるイクスが悪いですよっ!」
「あぁ,勝手に俺様を悪い方に持って行くんじゃねえっ!」
「それこそ知った事ではないですよっ!」
行列に苛ついてきたハトリとイクスの喧嘩みたいな言い争いは当然ながら目立って周囲の目がエラン達に向けられるが目を合わせる事は無い。まあ,誰かの言い争いに巻き込まれるのは誰しも嫌だろう,それだけでは無くてこれだけ騒いでいるのだから行列を監視する衛兵にも目を付けられるのも確かだからこそ誰も何も言っては来ない。そんな周囲を目にしながらもエランは二人の言い争いを止めようとはせずにいつもながらの無表情のまま行列が進むのを待っているがふとエランの口が呟く。
「甘い物」
「ですよっ!」
「何っ!」
エランが呟いた言葉に思いっきり驚きを示すハトリとイクスは言い争いを止めるとイクスは黙り込みハトリはエランの顔色を窺うが無表情のエランはいつも通りに見えるが常に一緒に居るハトリにははっきりと分かったからこそイクスに歩み寄ると小声でイクスに向かって話し始める。
「まだ大丈夫ですよ,けど少し不機嫌になっているですよ」
「そうか,なら俺達も気をつけないとだな。さすがにエランが不機嫌になるのだけは避けたいしな」
「その通りですよ。完全に不機嫌になったエランには何も言えないですよ」
「何も抵抗が出来ないの間違いだろ」
「いちいち小さな指摘をしなくて良いですよ」
「細かい事を気にすんな,それよりもどうするんだよ?」
イクスが尋ねるとハトリは頭を右手の中指で押さえながら口を開く。
「今のエランは甘い物に飢えているのですよ。だから少しでも早く町に入って甘味処に行くしか手は無いですよ」
「それは分かっているけどよ」
そう言った後にイクスは鞘から更に刀身を乗り出すかのように引き出して行くと前方を確認するかのように少しだけ前に刀身が傾いた後にイクスの刀身が再び元の位置へと戻って来るとハトリに向かって小声を発する。
「この状況だと町に入るまで結構掛かりそうだぞ」
「そんな事は分かっているですよ。それでどうしようかと考えているですよ」
「っで,何か思い付いたか?」
「何か思い付いてればイクスと話しなんてしてないですよ」
「ちっ,使えないガキだな」
「その言い方はなんですよっ!」
「使えない奴を使えないと言って何が悪いっ!」
「ならイクスはこの状況で使えるのかですよっ! 喋る事しか出来ない駄剣のくせしてですよっ!」
「優雅で気品がある俺様に対して駄剣とはなんだ駄剣とはっ!」
「ふっ,思ったまま,違うですよ,現状と性能を冷静に判断した結果ですよっ! だから素直に認めるですよっ!」
「何をだっ! 俺様は品性がまったくない意見を認める気は無いっ!」
「イクスが認めなくてもそれが現実ですよっ!」
「なんだと,この」
イクスが大声で怒鳴っている途中でエランがハトリの方へと振り向いたので自然とイクスの言葉は遮られハトリも騒ぎすぎた事にエランが不機嫌になっていないかを心配するが,エランはイクスの柄に右手をハトリの頭に左手を添えてから口を開いてきた。
「二人とも騒ぎすぎ,周りに迷惑だし警備に付いてる衛兵もこちらに来ているから」
その言葉を聞いたハトリは慌てて行列の横側から顔を出すと二人の衛兵がこちらに来るのが瞳に映った。そんなハトリの反応を見ていたイクスは自分は知らないとばかりに鞘の中に収まりきってただの剣に成り切る。そんな一人と一本に対してエランは仕方ないとばかりにイクスの鞘とハトリの頭を数回だけ撫でると衛兵達が来るのを待つ事にした。そして衛兵がエラン達のところに来るとすぐさま注意を口にする。
「そこの二人,さっきから騒々しいぞ」
「ここから遠くに居た私にも聞こえる程の声で怒鳴り合っていましたからね。何か問題でもありましたか?」
衛兵の一人は高圧的に言葉を口にしたがもう一人は丁寧で優しい口調で逆に尋ねてきたのでエランが答える。
「すみませんでした。旅で疲れているみたいでつい大声を出してしまいました」
社交辞令的に謝罪をするエランに対して高圧的に出てきた衛兵は気を付けるようにと更に注意をしてきたがもう一人の方は何かを考えているような顎に親指を付けて唇に人差し指を付ける体勢で立っていると何かを思い出したかのような声を上げるとエラン達に静かに待っているように言うと優しそうな衛兵はもう一人を連れてエラン達から離れていった。
「どうしたんですよ?」
「さあ」
ハトリの問い掛けに短く答えるエラン。そんな問答をしているうちに衛兵達の話が済んだみたいで高圧的だった衛兵が慌てた様子で城門に向かって走り出すともう一人の衛兵がエラン達も元へと戻ってきた。
「すみませんがお二人とも並びながら待っててください」
そう言うと衛兵は笑顔を向けながらエラン達と共に居るのでハトリが口を開いた。
「もう一人はどこに行ったですよ」
「只今確認をしているのでお待ちください」
「何の確認ですよ?」
「すみませんがそれは答えられません」
急に事務的な対応になった衛兵にハトリは訳が分からないとばかりにリュックを背負い直して大きく息を吐くがエランは先程とは全く変わりない,というよりも何も無かったし今も何も起こってないとばかりにまったく関心を示さなかった。
衛兵が急に自分達を見張るように立っている状況でもまったく動揺しないエランとハトリ。普通の精神を持っている者ならこの状況に戸惑うところだがエランとハトリは衛兵を無視するかのようにいつも通りというよりハトリは退屈な表情を浮かべながら行列が進むのを待っているとこちらに駆けてくる甲冑の音が聞こえたのでハトリが行列から顔を出すと先程の衛兵が急ぎながらこちらに走ってくるのが確認できた。そしてエラン達の所に居た衛兵が走ってきた衛兵と合流すると二人は口早に何かを話す。
エラン達が居る所では衛兵が何を話しているのは分からないが先程まで近くに居た衛兵がこちらに走ってきた衛兵と話をしているのだから自分達に関係してると考えたエランはハトリの肩に手を添えてから口を開いた。
「何を話してるのかは分からないけど,私達が関係しているみたいだから待とう」
「はいですよ」
自分達が関係していると口に出しながらもエランはどちらでも良いと考えていた。衛兵の勘違いなら自分達は関係は無いし,自分達が何かに関係しているのなら衛兵の方から話してくると考えていたからだ。そして話が終わったのか再びこちらに駆けて来た衛兵が再び城門に向かって駆け出すともう一人の方がエラン達の所に戻って来て口を開く。
「間違っていたらお詫びしますが,エラン=シーソル様とハトリ=シーソル様でしょうか?」
衛兵から自分達のフルネームがいきなり飛び出したのだがエランとハトリは平然と答える。
「はい,そうです」
「その通りですよ」
名前の確認をした衛兵が退いて行列から外れるように手で促すと言葉を続ける。
「大変お待たせしてしまって申し訳ありません。エラン=シーソル様,ハトリ=シーソル様,突然の事で驚かれるでしょうが私がご案内しますので城門の内までお越しください。そこでの要件が済みましたらお二人の入門許可を出しますのでご同行をお願いします」
突然に衛兵が来いと言ったようなものなのでエラン達の周囲がざわめくがエラン達は平然としている。先程の口調から何かを咎められる訳ではないようだがいきなり衛兵から来いと言われれば動揺して理由を聞きたくなるものだがエランは真逆の反応を示した。
「分かりました,案内をお願いします」
「承諾をして頂いてお礼を申し上げます」
「構いません,それよりもハトリ,行くよ。では行きましょうか」
「はい,ではこちらへ」
衛兵とは終始とも社交辞令的な話し方をしていたエランはハトリにだけはいつも通りの話し方をして衛兵の後に続いて歩き出したのでハトリもエランの横に並んで衛兵の後ろを歩く。まるでこれから何が起こるか分かっているようにも見えるエランだが実は何も分かってないし何も考えてはいなかった。
理由としては衛兵の言葉を聞いて自分達にしか話したくない話をしたいという事だけははっきりと分かっていた。その後は話を聞いてみないと分からないから話を聞きに行くだけで判断はその後で良いと判断しただけだ。まあ,それだけはなく,ここで衛兵に付いて行けば行列に並ばずに済むという理由が一番大きい。
行列に並んで時間を過ごすよりは行列に並ばずに目的を果たした方が良いと思うのはエランだけではない誰しも思う事だ。そんなチャンスではないが,なにかしらの理由があるにしても行列に並ばなくて済むのだから見逃す手は無いという心理が大きく働いても不思議ではないし,それが出来るならエランでなくても誰しもやりたいだろう。
こうしてエラン達は行列を脇目に城門に向かって歩いて行った。城門の向こう側にある甘味処に期待しながら,ゆっくりと漬かる事出来るお風呂を想像しながら,その期待が通る為にはもう少し時間が掛かる事を知らずに。
さてさて,お久しぶりの方はお久しぶりです。初めての方は初めまして,これからもよろしくおねがいします。
そんな訳でここ数年程ですが休止状態に入っていましたが,なんとか,いよいよ,辛うじて,連載を始める事が出来ました~。まあ,他の連載を読んでくださった方には分かっているとは思いますが何かいつも通りに一話が長くなりましたね~。まあ,これからもこれぐらいの長さでいくと思いますのでその辺は適当によろしくお願いしま~す。
さてさて,再び連載を始めたとはいえ休止期間が長かったですからね~。次の更新がいつになるかはまったく予想が付きませんっ!! ってか,かなり長引いてもそこは大目に見てくださいな。という言い訳を通させて貰いますので,その辺も含めてよろしくお願いします。
そんな訳で,まだ一話目ですからね~。特にここで書く事も無いですからね~。それに後書きも久しぶりなのでリハビリレベルまで落ちてるので,もう書く事が思い浮かばなくなってきたので,そろそろ締めますね~。
ではでは,ここまで読んでくださりありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。更に次の更新までは気長に待ってください。
以上,書きかけのエレメンタルロードテナーについてはあれで終わりです,ってか作者の都合で終わりとさせてもらいます。まあ,あの作品は私的には実験と勉強を兼ねた作品でしたからね~。そこでの経験や得たものをこちらに出していきたいと思ってます。なのでエレメを楽しみにしていた方には申し訳ありませんが中途半端な形で終わった事をお詫び申し上げるのと同時にこちらの作品で頑張りますのでよろしくお願いします。……と,長々と言い訳をしてみた葵嵐雪でした。