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白銀妖精のプリエール  作者: 葵 嵐雪
第一章 フレイムゴースト
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第十一話

 火の粉よりも大きい火の雪とも言える様なものに包まれるように立ちながら右手に持っているフレイムゴーストから火柱とも言えそうな程に炎を燃え上がらせるカイナスに対してエランはイクスを左下に構えた。カイナスが本気になり,フレイムゴーストにはまだ未知なる能力を秘めているからこそエランは追い詰められたと盗賊達やストブルさえも思っていたが,そうではない事をハトリとイブレはしっかりと理解していた。だからだろう,本気になったカイナスに声援とも歓声とも言える声を上げる盗賊達にイブレとハトリの後ろですっかり盗賊達の気迫に飲まれているストブル。そんな中で異質過ぎる冷静さでハトリとイブレはエランの戦いを見続けていた。

 燃え上がるフレイムゴーストだけでも厄介だというのに正体不明の燃える雪に取り囲まれては普通ならば警戒なり萎縮してしまうものだが,エランはどちらでも無く一気に動いた。

 先程とは一段早い動きで一気にカイナスとの距離を縮めたエランはイクスを振り上げるのと同時に自らも右上に向かって跳び上がった。

 時を同じくしてカイナスがフレイムゴーストをエランに向けて振り下ろしてきた。そんなフレイムゴーストの炎が邪魔をしてイクスの刃が深くまで食い込む事はなかったうえ手応えすらなかったのだからイクスはただ炎を斬っただけにすぎなかった。だが,この程度はエランも承知しているからこそすぐに次の行動に出る。

 宙に舞い上がったエランは完全にカイナスの後ろを取っていた,そしてフレイムゴーストを振ったばかりだからこそカイナスはすぐには動けないだろうと判断したエランはイクスを縦に一回転させるとその勢いのままにイクスを振り降ろした。ここまでの戦いからでも分かるように,この程度の攻撃ならばカイナスは避けてしまうだろう。それはエランも予想していたから更に次の手を打ち続けようとしたがカイナスはエランの攻撃を少ない動きでイクスからそんなに離れる事無く避けた。これにはさすがにエランの瞳に驚きが表れる。

 簡単に言ってしまえばカイナスは左に一歩だけ動いただけでエランの攻撃を避けて見せたのだ。そして動きが少ないという事はそれだけ次の行動が早いという事だ。イクスを振り降ろしたエランに向かってカイナスはフレイムゴーストを振り上げると一気に振り降ろしたが,エランはすぐにイクスを右横に振り出したので半回転しながら後方へと大きく跳び,更に半回転して体勢を立て直すとエランが居た場所には既にフレイムゴーストはなくカイナスが右手に持って構えていた。さすがに予想外な展開に成ったのにもかかわらずエランは平然とイクスを前に構えると余裕の笑みを浮かべたカイナスがエランに向かって大声で言葉を放ってきた。

「どうだっ! 俺の本気はっ!」

 そんな言葉がエランの耳に届くとエランも声を張って言葉を放つ。

「驚いた」

 相変わらずの短い言葉にカイナスが苛立っているのがエランの瞳に映るが,カイナスはそんな苛立ちを掻き消すかのように話を続ける。

「おいおい,驚いただけかよ。他にもっと感想とかねえのか」

「無い」

「ぐぬぅ……」

 ハッキリと断言されたのでカイナスは唸るような声を上げるしかなかったが,これまた調子に乗りやすいイクスが声を発して来た。

「ぎゃはははっ! さすがはエランだな,見事なまでに言葉がありゃしねえや。それとそっちのカイナスさんよ,本気ってんならドンドンやろうぜ。なあ,エラン」

「確かに休憩の必要は無いし,話すだけ時間の無駄」

「うっせぇっ! せっかく俺が死ぬ前に俺を本気にさせた感想を聞いてやろうとしたのに相変わらずの減らず口とはなっ! 聞いて損したぜ」

「こっちも時間を無駄にして損した,だから……おあいこ?」

「ぎゃはははっ! さすがエラン,笑わせてくれるぜ」

「もういいっ! 死ねっ!」

 エランとイクスの言葉に完全に理性が切れたカイナスがフレイムゴーストを振り上げてエランへと迫って来る。フレイムゴーストが大きく燃え上がっているのでイクスの長さへの利は無い,エランもそれが分かっているからこそ身体一つ分だけ右に跳ぶとすぐにイクスを左下から斬り上げた。

 イクスを斬り上げた事で再び一回転しながら宙に舞い上がったエランはすぐにカイナスの姿を捉えるのと同時にイクスを振り上げた。この時にカイナスの目はしっかりとエランを捉えていたので空中で行動が制限されているエランが一見すると不利に思えるがエランはそんな事をまったく気にせずにイクスを振り降ろす。

 エランが落ちてきたところをカイナスのフレイムゴーストが焼き払うと思えたが,そうはならなかった。何故ならエランはイクスを振り降ろした時に反動制御で貯め込んだ力を勢いに変えてイクスの速度が速くなるのと同時にエランはイクスが重いまま更に一回転して降下速度を一気に上げると,そのままカイナスに目掛けてイクスを振り降ろす事でカイナスの眼前に着地するように体勢を整える。ここまで速く,そして間近に落下してくると成ればカイナスにとってはフレイムゴーストを振るうだけの時間と隙間が無い事まで計算してエランは攻撃を仕掛けてきていた。

 イクスがカイナスに目掛けて常人では追い切れない速度で斬り落ちてくるが,カイナスは右後方へ跳んで避けるとフレイムゴーストを横に構えてすぐに振り出した。素早いなんてものではない速さで攻撃してくるエランに対して普通に目で捉えてから攻撃していては遅くなって攻撃がいつまで経っても当たらないと判断したからだ。イクスが空を斬り,フレイムゴーストがエランに迫った時エランは既に肘を曲げて引いてあったのでイクスの切っ先をカイナスに向けると思いっきり突き出した。

 着地した状態から突いてくるとは思わなかったカイナスは攻撃を中断すると更に右後方へと大きく跳び,エランも後ろに大きく跳んでお互いに距離を取った。

 ちょっとおかしい,さっきまではあれだけ大袈裟に避けてたのに今だと少ない動きで確実に避けてる。だから今でも体勢は崩れてない,これが本気なのか,フレイムゴーストの力か,どっちだろう。と,そんな事を考えるエラン。何にしてもカイナスの反応速度が飛躍的に上がっているのは間違いない。その理由が分からないくても次の手を打たない限りはフレイムゴーストに焼かれるだけだからこそエランはイクスに話し掛ける。

「イクス,上下の速度を上げる」

「はいよ」

 短い会話でしっかりと意思疎通が出来ているみたいでエランはイクスが返事をするとすぐに左下にイクスを構えると未だにエランの様子を窺っているカイナスに向かって一気に駆け出した。

 カイナスが後手に回った訳ではないが本気を出したからには早めに決着を付けたいと思っているカイナスなだけに,かなりの速度で攻撃をしてくるエランの先手を取るよりも確実にエランを仕留められる瞬間を作り出す為にカイナスはあえてエランの攻撃を避け続けながらフレイムゴーストで確実に仕留められる瞬間を狙う事にしたようだ。

 エランが動き出したのに対してカイナスが動かずにエランの動きを見ているからにはカイナスの意図がエランにも読めたが,それでもエランはカイナスに向かって行き,距離を一気に詰めるとカイナスがフレイムゴーストを叩き付けるように振り降ろしてきたのでエランもほとんど同時にイクスをほぼ真上に向かって振り上げる。フレイムゴーストの炎がエランが居た場所に燃え広がるのをエランは上空で一回転した後で目にしたのでこの時点でエランは既に次の攻撃を振り出せる状態に成っていた。

 上空でイクスを右横に構えていたエランはそのままイクスを下に向かって振り出すとエランの身体も剣閃を追うように横になりながらも急降下していく。イクスの刃がカイナスに迫るがカイナスは右に大きく跳んでイクスを避けようとするが,カイナスの動きを見ていたエランが横になっている身体を右側に大きく振り出すと一回転しながらイクスの軌道が変わってカイナスを追撃するように襲い掛かるがイクスの刃は届かなかった。それでもエランの動きは止まる事はない。

 身体を右に大きく振り出した事によりエランは着地した時に曲げた左足を軸にしながら右足を伸ばして体勢をしっかりとさせながら半回転しており,カイナスに背を向けている状態に成っていた。そして振り降ろしたイクスがエランを追うように右回転を始める頃にはエランは更に回転しており,真っ先に顔を向けてカイナスの姿を瞳に映していた。そして伸ばしている右足がカイナスの方へ向いた途端に地面を踏みしめると今度は右足を軸にしながら回転をしつつ,イクスをカイナスに向かって振り上げた。

 速すぎる二撃目にカイナスは反撃が出来ないままにイクスを避けるしかなかった。そしてエランは再び空中へと舞い上がる。



「……凄い」

 思わずそんな言葉が出て来てしまったストブルにイブレは軽く笑い,ハトリは溜息を付いてからストブルに向かって口を開く。

「凄くなかったらエランは白銀妖精と呼ばれないですよ」

「はははっ,確かにね。あれほどの実力を持っているからこそ白銀妖精との異名を持つようになったけど……」

「エランはまだ本気を出していないしですよ,全力も出していないですよ,とイブレは言いたいのですよ?」

「えっ」

 ハトリの言葉が理解が出来る範疇を超えて信じられないという気持ちが通り過ぎるとストブルが思わず声を上げてしまったのでイブレは軽く笑ってからハトリの質問に答えてきた。

「ハトリの言っている通りだけど,僕の意見としてはエランはカイナスに決定的な弱点があると考えてるんじゃないかな。そう考えればエランが未だに全力を出さない事にも納得が出来るからね」

「なるほどですよ。他の言い方をすればですよ,エランは決め手となる一撃を入れる為にフレイムゴーストを見極めようとしてるですよ?」

「まあ,そうだろうね。ここで見ていても何となくだけど僕にもフレイムゴーストの,というよりはカイナスの弱点が分かるような気がするよ」

「確かにですよ,そう言われれば何となく分かる気がするですよ」

「そうだね」

 ハトリとイブレがそんな会話を聞いていたストブルは改めてエランの戦いに目を向けると何かが分かる気がしないのは自分の実力がその程度なのか,エランの実力がかなり上過ぎて分からないのが頭の中が迷走するストブルを余所にハトリとイブレはしっかりとエランの戦いを見守り続ける。



 エランが着地と同時に攻撃態勢に入っているものだからカイナスは避けるだけで反撃の機会がまったく見付けられなかった。そんなカイナスとは正反対にエランは素早い上下からの攻撃を繰り返すが決め手が欠けているのではなくてカイナスの避ける時の反応速度が異常とも言える程に速くなった為にエランがどれだけ速く動いてもイクスの刃は届かなかった。とはいえ,ここで何かしらの手を打たない限りはいつまでも同じ事の繰り返しだからこそエランは更なる手を打つ。

 カイナスに背を向けながら着地するエランは今までと同じようにカイナスの姿を瞳に映しながらイクスと身体を回転させる。そしてイクスを斬り上げる時に身体をひねって跳び上がるのとすぐに身体を横にしながら空中へと舞い上がった。斬り上げる時に身体をひねって横にするだけでもかなり無理がありそうだが,エランは易々とやってのけた事がエランの空中での姿勢制御がしっかりと出来ている証だろう。そして身体を横にする事によって跳び上がる高さを最小限に抑えた。

 跳び上がる時に身体を横にしているからこそ上空ですぐに回転する事が出来るうえ,すぐに回転が出来るという事はすぐに次の攻撃に入れるという事だ。だからこそエランは跳び上がる高さをフレイムゴーストの熱がギリギリ届かない高さまでしか跳ばなかった。そうする事でイクスを振り降ろす地点が低くなり,先程より一段階速く攻撃を繰り出せるようにした。つまりエランは攻撃の速さを更に速くしたのだがイクスの刃がカイナスに届く事は無かった。そしていつまでも防戦一方のカイナスでもなかった。

 エランが跳び上がるとカイナスは燃え上がるフレイムゴーストの炎をかなり小さくするとカイナスを取り巻く炎の雪が数を増して,かなり広がり領域を増やした。まあ,さすがにここまでエランにやられるとフレイムゴーストの炎が大きすぎて邪魔に成っている事にやっと気付いたのだろう。それでもフレイムゴーストが放つ炎は刀身が見えない程に燃えていたが先程よりはかなり視界が広がったのは間違いない。

 エランも上空でカイナスの変化を目の当たりにしていたがイクスを既に振り降ろしていたので,エランでもここからの動きを変化させるのは無理だ。だからこそエランはそのまま回転しながらイクスを振り降ろし,身体も回転させてカイナスに背を向けるがこの瞬間にエランは気付いていた。カイナスが先程よりもいち早くイクスの軌道を読んでいた事に。既に着地して回転しているエランはいち早くカイナスの姿を捉えようと身体と頭を動かした。

 エランがカイナスに背を向けている瞬間,そこに反撃の糸口を見いだしたカイナスがエランの背中に向かってフレイムゴーストを振り降ろす姿がエランの瞳に映った。

 考える間もなくエランは体勢を保つ為に外に振り出していた右足を思いっきり踏みしめるとイクスを真横に向かって振り抜いた。回転しながら後退する形と成った為になんとかフレイムゴーストを避けたエランだがイクスは空を斬るだけだ。そのうえカイナスは追撃をしてきた。再び踏み込んでフレイムゴーストを斬り上げてきたカイナスに対してエランは更に後ろに回転しながら跳ぶとイクスを斬り上げる。

 エランからしてみれば咄嗟の攻撃だった為にイクスとフレイムゴーストの炎が並んで斬り上がる。そして体勢を立て直したエランはすぐに反撃に出た。斬り上げたイクスと同じくエランは前に低く跳び上がると上半身だけを横に向けるとイクスを身体の動きに合わせて回転させるとカイナスとの距離を詰めたエランが再びカイナスに向かってイクスを斬り上げるがカイナスは見事と言える程の小さな動きでイクスを避けた。

 再びフレイムゴーストがエランを横から薙ぎに来るが,エランは着地するとカイナスに向かって踏み込むと回転してエランに右下に来ていたイクスを斬り上げるのと同時にカイナスに向かって後方回転するように跳び上がった。ここでイクスが迫って来るとは思ってなかったカイナスの体勢が横に崩れた為にフレイムゴーストが一気に低くなったので空中で回転しているエランの下を一気に横切って行った。そして空中で一回転したエランが追撃に掛かる。

 空中で回転を止めるエランを補助するかのようにイクスが反動制御で回転を止めるとエランはイクスを右上に構えて身体を左にひねり回転を掛けるとイクスを右上からカイナスに向かって横に振り出す。体勢を立て直していたカイナスは少しだけ後退すると上半身を後ろに反らす,イクスがカイナスの眼前を通り過ぎて行く。

 完璧に避けられてしまったエランがすぐに体勢を整えるのは,カイナスが身体を横に向けてフレイムゴーストを胸元近くまで引いて突き出す準備をする姿が瞳に映ったからだ。そしてカイナスは反撃とばかりにフレイムゴーストを燃え上がらせると一気に突き出してきた。

 エランにフレイムゴーストの炎が迫る,だがエランが右に回転を始めると距離は縮まらずにエランにフレイムゴーストの炎が襲い掛かる事は無かった。それもそのはず,エランが着地するとイクスを勢いのまま振り続けるのと同時に後方へと跳んでいた。そこでイクスと共に身体を回転させる事によって後方へと跳ぶ距離を稼いでいたからだ。

 エランが距離を取った事でカイナスも後方へ跳んで一度お互いに距離を取った。お互いに紙一重の攻防が続いたのだからカイナスとしても乱れている呼吸を整えたいところだが,エランはカイナスが距離を取ったから,あえて追撃をしなかっただけだ。そんなエランにイクスが声を発してくる。

「どんなカラクリがあるのか分からねえが,エランとここまでやるとはな。それでエラン,どうするつもりだ?」

 イクスがそんな問い掛けをしてくるとまったく呼吸が乱れていないエランが問い掛けに答えてきた。

「次は最初から接近戦をやる」

「それで相手を疲れさせるつもりか?」

「違う,確かめたい事がある。それに思っている通りなら,あのフレイムゴーストには決定的な弱点がある」

「決定的な弱点ときたかよ。それを含めて接近戦に持ち込もうという訳か」

「そう,だからイクス,お願い」

「はいよ,言われるまでもねえよ」

「うん,ありがとう。じゃあ,行くよ」

「おうよ」

 エラン達がそんな会話をしているうちにしっかりと呼吸を整えて今ではすっかり平常の呼吸に戻ったカイナスがフレイムゴーストの炎を小さくして邪魔に成らないように前に構えながら打つ手を考えているというところだろう。そんなカイナスに対してエランはイクスを前に沈めるように構えるとカイナスに向かって一気に駆け出した。

 先にエランが動いた事でカイナスは動きの少ない迎撃を選んだのであえて立ち止まってエランが攻撃を仕掛けてくるのを待つ。そしてエランが突っ込んで行きイクスの間合いに入る前にエランは思いっきりイクスを突き出した。

 今まで回転を軸とした攻撃ばかりをしていたエランだけにカイナスにとってはいきなりイクスを突き出して来るのは予想外だった。それでもカイナスは左に避けるとエランを迎え撃つ準備をする為にフレイムゴーストを振り上げた。そんなカイナスに対してエランはというと。

 イクスを突き出した事でエランの身体は伸びきっているのですぐには動けないと思えるがエランは更に踏み込んで伸びきった身体を縮めるのと同時に握っているイクスを持つのではなくて包み混むように広げるとイクスが刃をカイナスの方へ向けた瞬間に再びイクスを握り締めて右手だけでカイナスに向かってイクスを振り出した。それと同時にカイナスがフレイムゴーストを振り降ろした。

 間合いとしてはお互いに斬り合える距離に居るだけあってイクスの間合いにカイナスが入っているがエランもカイナスの間合いに入っているので振り降ろされたフレイムゴーストを避ける為にイクスを振り出した勢いを利用して右前方に向かって数歩程の距離を一瞬で跳ぶとイクスがカイナスに迫るがフレイムゴーストを振り降ろした勢いを使って一気に身体を沈めてイクスをかろうじて避けるカイナス。その動きはまるでイクスがどのように迫って来るのかが分かっているようだった。そして接近戦を仕掛けたからにはエランは次の攻撃へと移る

 右手だけでイクスを振っただけあって,エランの動きは更に早くなったが軽くも為っておりイクスの刃が当たっても胴体を真っ二つに出来るか分からない程に落ちている。……まあ,軽くなったといってもそれだけの切れ味を持っているのもイクスがスレデラーズだからだ。それはさておき早くなったのは攻撃だけではない。

 エランの身体を動かす速さも速くなっておりイクスがカイナスの頭上を通過するのを確認すると軽く跳ぶのと同時にイクスを右肩の可動領域に沿って横から縦の動きに変えると上に挙がったイクスを両手で握って今度は右上から斬り下げた。

 イクスの刃がカイナスに迫るがカイナスは身を沈めていた事を利用してそのまま前方に何度か転がってエランとの距離を取ろうとしたが,カイナスが身体を起こして体勢を立て直すとエランが既に次の攻撃を仕掛けていた。

 振り降ろしたイクスが半円を描くように振るわれると左上に上がったイクスを両手で持ち続ける事は出来ない。いくらエランでも身体の可動領域以上には動けない。だからエランは途中で左手を離すとすぐに逆手で握り締めると右手を離し,左手だけで持っているイクスをカイナスに向かって投げた。

 確かにカイナスはイクスの間合いから完全に出ていたが,まさかイクスを投げてくるとは思いも寄らなかっただろう。だから咄嗟に後ろに避けてしまった。その間にエランが距離を詰めてくるのと同時に地面に刺さったイクスを右手で拾い上げて,そのままの勢いで前に出ながらイクスを横に振るう。だがカイナスが予想以上に遠くに退がった為にカイナスは上半身を後ろに反らすとイクスがカイナスの胴体から紙一重だけ離れた場所を通過して行く。そして,この目測の違いがカイナスに反撃の機会を与える事になった。

 最小限の動きで避けたカイナスが上半身を起こすとそのまま踏み込むとエランに向けて右手に持っているフレイムゴーストを薙いできた。だがフレイムゴーストの炎は大きく成らなかったのはカイナスがエランの反撃に対処をしやすくする為だろう。エランはそこまで読んでいるからこそ止まる事無く動き続ける。

 左から迫って来るフレイムゴーストに対してエランは左手にあるイクスをそのままに一気に前に跳び出した。カイナスのフレイムゴーストがエランを焼き斬る前に左手にあるイクスでカイナスの胴に当て斬ろうとしたが,そんなエランの攻撃は阻止されてしまった。

 エランの左手に痛みが走るのと同時にエランの身体にもカイナスとは反対がへと向かう衝撃が走る。それもそのはず,カイナスは途中でフレイムゴーストを止めると上半身を右に逸らして左足でエランの左手を思いっきり蹴っていたからだ。

 突然の蹴りにエランの身体はカイナスからと遠ざかるように吹き飛ぶが,エランはすぐにイクスを地面に突き刺すと飛んで行く身体を制止させるのと同時に再び攻撃に出る為に両足が地面について,まずは身体を詰めるとイクスを引き抜いてカイナスに向かって跳び出すとイクスを思いっきり突き出した。

 突き出されたイクスからかなり距離を取る為に何度か大きく後ろに跳んで距離を取ったカイナスは呼吸が乱れていた。執拗過ぎるエランの攻撃に耐えられなくなってきたようにも見えるがエランはそんな風には考えていないからこそカイナスとの距離を詰めずにイクスを構えるだけだった。

 エランはイクスを前に構えるが動きはしなかった。そんなエランにイクスが声を発してくる。

「おいおい,蹴ってくるとはな,それだけ追い詰めたって事か」

「それならそれで良いけど」

「良いのかよ」

「うん,全力を出してくれるのなら」

「なるほどな,けど,あいつまだ出し惜しみをするつもりだぜ」

 イクスがそんな事を言ったのでエランがカイナスに目を向けるとカイナスが大声でエランに向かって怒鳴ってきた。

「よくもやりやがったなっ! この野郎っ!」

「野郎じゃないのは確か」

 エランも声を張ってカイナスに言葉を届けるが言葉の内容が内容なだけにカイナスは更に怒鳴りつける。

「相変わらずとぼけた事を言ってんじゃねえっ!」

「とぼけた事は無いと思うけど」

「もういいから燃え尽きろっ!」

 カイナスがそう叫ぶとフレイムゴーストから一気に炎が噴き上がる。エラン達が居る広場がかなり広い為に天井もかなりの高さになっているが,その高さの半分ぐらいにまでフレイムゴーストの炎は燃え上がっていた。そんな光景を見たイクスが声を発してくる。

「おぉ,随分と燃え上がらせたな」

 かなり燃え上がってるフレイムゴーストを見ても呑気な事を言っているイクスだが呑気なのはイクスだけはなかった。

「さすがに少し暑苦しい」

「そんな事を言いながらも本気には成らないんだろう」

「うん,これがフレイムゴーストの基本攻撃ならこっちも同じ事をやる」

「あいよ,なら行くか」

「うん,イクス,行くよ」

 エランはイクスを左下へと構え直した。そんなエランにカイナスは更に苛立ちを覚えた。まあカイナスとしてはこれだけの炎を見せればエランが怖じ気づくと思ったのだろうが当のエランは普段と同じく無表情でカイナスを見ていたからだ。だからカイナスは感情のままに燃え上がるフレイムゴーストをエランに向かって振り降ろして行った。

 フレイムゴーストが振り降ろされると膨大な炎が地面へと広がり,文字通りに火の海になったがカイナスは油断をする事はなかった。なにしろその火の海にはエランの姿が無かったからだ。そしてエランはというと。

 フレイムゴーストが振り降ろされた瞬間にイクスを右上に向かって思いっきり振り上げるのと同時に右上前方に向かって跳んでいた。その為にフレイムゴーストの炎を横に見ながらエランは一回転して上空に舞い上がっていた。そして今度はこちらから仕掛ける為にイクスを軽く横に振りながら身体を少しひねって反転すると上空でカイナスの後ろを取ったのでエランはイクスを左上に構えて一気に右下へと振り降ろした。

 上空から一回転して更に加速したイクスがカイナスに襲い掛かるがカイナスは左に三歩分だけ避けただけでイクスの攻撃を避けた……つもりだった。

 一気に降下してきたエランはイクスを振るうが当然のように空を斬るだけだ。だがここで終わらないのがエランとイクスだ。着地をする前にイクスを振るったのでエランは先程よりも地面に近い場所で一回転すると着地した時には既にイクスを右下に構えていたのでカイナスに向かって再びイクスを振るう。

 ここまで速い二撃目が来るとは思っていなかったカイナスだが身体を横にひねるだけでイクスの攻撃を避けて反撃をしようにもエランは既に空中に舞い上がっていた。そんなエランにカイナスは落ちてきたところを焼こうとフレイムゴーストを構えるが,その程度の戦術が通じる程にエランは甘くない。

 再び上空に舞い上がっていたエランはカイナスがまったく動いていない事に気が付いたので考えている事もすぐに理解したが,エランが使っているデスティブが本領の半分を発揮するのはこれからだ。

 イクスを真上から振り降ろしたエランは落下していく,燃え盛っているフレイムゴーストを目指して。それを見た瞬間にはカイナス並びに盗賊達やストブルまでも驚いたが,エランはフレイムゴーストの炎に触れる前に一回転すると今度は左下に向かってイクスを振り出すとエランが落下する軌道も変化してエランはフレイムゴーストの炎を右にしながら少しずつ炎から離れて落下していく。そんなエランに驚きのあまりにカイナスの動きは止まっている。

 エランはそんなカイナスを目指して落下していくが途中でイクスを握る手を緩めるとイクスが反転するのと再び握り締める。これでイクスの刃が反転したので落下しただけではカイナスを斬る事は出来ない,刃とは逆の峰がカイナスの身体を思いっきり叩き付けるだけだが,そこにデスティブの深さがある。

 落下してくるエランにカイナスはすぐに動きが取れない着地の瞬間を狙うが,そんなカイナスの考えを遥かに超える攻撃をエランは仕掛けてきた。

 カイナスに向かって落下していくエランだが着地する一瞬前にイクスを左下から一気に斬り上げた。思っていたよりも早く繰り出した攻撃にカイナスは避ける事しか出来なかった。そして着地した瞬間にはイクスが右上に振り上がる手前だったので着地して膝を曲げるとすぐにイクスと同じに右上へと跳び上がった。

 着地寸前の攻撃,そこからの着地と跳躍,これらの動作を確実に一瞬と言える時間の中でやってみせたものだからカイナスは避けるのが精一杯でフレイムゴーストすら振るう事が出来なかった。そして,それらの動作を見事にやってのけたエランは再び宙高くに舞い上がっていた。



「あれは……いったい」

 広場が広すぎる為にフレイムゴーストの熱が届く事が無い場所でストブルは自らの目で見たものすら理解が出来ずにいた。そんなストブルに対してハトリは溜息を付くと口を開いてきた。

「あれがデスティブの一歩手前ですよ」

「えっ! あれでですか!」

 ハトリの言葉がすぐに信じられなかったストブルはそんな言葉を返した。まあ,それも仕方ないだろう。それだけストブルにとっては思い掛けないどころか常識外れの攻撃に見えたのだから。そんなストブルに対してイブレが声を掛ける。

「少し心を落ち着かせたらどうだい,ストブル君」

「えっ! あっ,はい」

「ハトリが言った通りに,あれがデスティブと呼ばれている攻撃方法だよ。けどエランが本気を出していないからこそ一歩手前という訳さ」

「サラッと解説権を持って行かないでほしいですよ」

「なら,ここからはハトリが説明するかい?」

「別に構わないですよ。これ以上説明する事があるならですよ」

「はははっ,そうだよね」

「……えっと」

 ハトリとイブレの会話にすっかり遅れたストブルが声を上げるとハトリが一度だけストブルを見てから再びエランの方へ視線を戻すと口を開いてきた。

「話で聞くより見ていた方が理解が出来るですよ」

「はぁ」

 短いハトリの説明にストブルは拍子抜けした声を上げるが頭を動かして考えてみるとハトリが言った通りにデスティブというのは戦術であり戦い方だ。それを口頭で説明されても理解の度合いは薄いだろう。こうした技術とも言えるものは見ていた方が理解が出来る,とハトリの言葉を理解したストブルが視線をエランへと戻した。



 再び落下してくるエランだがイクスを振り降ろしただけではなく,少しだけ振り抜いて今ではエランの左下にある。そこでエランが再びイクスを握る力を緩めると再びイクスが反転,刃の向きを変える。そんなエランにカイナスは翻弄されているように見えるのは気のせいではない。

 実際にエランの攻撃には変化があり,それに対応が出来なくなってきてるのは確かなのだから。そして今も落下してくるエランに対して集中して対処が出来るようにするがエランはそのまま攻撃をせずに着地,すぐにイクスを左上に向かって斬り上げるのと同時にエランも再び空中に舞い上がる。まさか攻撃をここまで遅らせるとは考えもしなかっただろう。その理由はエランの戦いを見ていれば分かる。

 一回転して最頂点に達したエランが再び落下してくる。今度は右手だけでイクスを握り締めて空中で身体を横にしながら一回転をすると一気に加速して舞い降りてくるエランは空中で体勢を再び入れ替えて身体を立てると右手に握っているイクスを右後ろに構えながら地面に辿り着く瞬間にイクスを横に薙ぎ払った。だがカイナスが一歩程退がったのでイクスの刃は届かなかったが,それで止まるエランではない。

 イクスを横に振り抜いた体勢で着地したエランはすぐにイクスを両手で持つと未だに回転している勢いを落とさないままに回転しながらイクスの切っ先を下げる。そのまま回転して左足をカイナスに向かって大きく踏み込むと下げたイクスを思いっきり振り上げる。横から縦への連撃ながらもカイナスは上半身をずらすだけでイクスの刃を横にして見送るだけで反撃の隙をエランが与える訳がないのでカイナスが避けた時にはエランは既に空中に舞い上がっていた。

 空中に舞い上がったエランは更に一回転して加速するとすぐに最大限に跳び上がった場所に到達していた。そこでエランはイクスを左手だけで持つと更に一回転して一気に落下していく。その時にエランは左手を思いっきり伸ばしていた。そしてイクスの間合いにカイナスが入った瞬間にエランが一気に攻撃を仕掛ける。

 左手に持っていたイクスをそのまま右に振り出すと,そのまま一回転,二回転 三回転と回転しながら連撃を繰り出した。

 カイナスもこの攻撃には避けるだけで精一杯だ。なにしろエランが回転しながら攻撃を繰り出す度に攻撃が低くなって行くのだから。その為に最後には大きく後退したカイナスだがエランが更なる追撃を加える。

 連撃を繰り出した直後に着地したエランだが回転を止める事なく着地しながら右に一回転すると既にイクスの切っ先が下がっており,エランは再び左下から一気に斬り上げて再び上空に舞い戻るとカイナスと盗賊達も思ったが,エランは跳び上がるとフレイムゴーストの炎が熱しか届かない場所を一気に通り過ぎて,そのまま前に向かって飛び進みながら振り上げたイクスを反動制御で右横に落とすとイクスを横に振り抜いたのでエランの身体も自然と一回転半ほど回転して距離を稼いだエランはカイナスの背後を見事なまでに取った。

 カイナスの背後からイクスを振り上げるとエランは下に向かって一回転するように一気に力を掛ける。そしてイクスを思いっきり振り降ろすとカイナスにイクスの刃が襲い掛かったが,またしてもカイナスは一歩だけ横にずれてエランの攻撃を避けた。

 そこでカイナスは反撃の機会だと思ったのだろう。カイナスは反転しながらエランの姿を捉えずにフレイムゴーストを横に薙いできた。だが手応えは無い。

 カイナスの行動にいち早く気付いたエランはイクスを横に振り出して勢いを付けると迫って来るフレイムゴーストの炎をまったく気に止めずにイクスが背後まで回るとエランは身体を回転させながら後方へと跳んでいた。そしてカイナスにもまっとうな学習機能があるのだろう。エランを追撃をする事はせずにフレイムゴーストの炎が邪魔に成らないように右手だけで持つとエランに向かって怒鳴ってきた。

「さっきから虫みたいに飛び回りやがって鬱陶しいんだよっ!」

 そんな事を言ってきたカイナスに向かってエランも声を張って反論する。

「さすがに虫に例えられるのは酷いと思う」

「そりゃあ仕方ねえだろ,どう見てもこいつの頭に知識が詰まっているとは思えねえからな」

 エランの言葉に調子に乗ってきたイクスがそんな言葉を付け加えるとフレイムゴーストが更に燃え上がってカイナスの頭では理性の糸が切れていた。だからこそ燃え盛るフレイムゴーストを手にしながらも表情が静まると見開いた目の奥ではフレイムゴーストと同じく怒りという炎が燃え盛っているのをエランの瞳に映すとゆっくりと体勢を立て直す,というよりは立ち易いように身体を揺らして止まった。それを合図にした訳ではないのだがカイナスが再び声を張り上げながらエランに向かって口を開く。

「ここまで来たなら全力だ。先に言っておくがな,俺が全力を出して生き残れた奴なんていねえぞ」

「つまり,それだけ自分より弱い者にしか全力を出した事が無いって事で良いの?」

「ぎゃはははっ! エランよ,こんな時にまで俺様を笑わせるなよなっ!」

「別にイクスを笑わせたつもりはないけど」

「それでもさっきの言葉は笑えるぜ,なあ,カイナスさんよ」

 調子に乗りに乗ってるイクスがそんな言葉をカイナスに浴びせるが,当のカイナスはイクスの言葉にすぐには答えずに集中しているかのようにも見える姿をエラン達に晒している。するとフレイムゴーストの炎が先程とは違った形で燃え上がるのと同時にカイナスが言葉を発して来た。

「いい加減に,その減らず口を黙らせてやるよ。これが俺の全力,そして……フレイムゴーストの炎だっ!」

 カイナスがそう叫んだ瞬間,フレイムゴーストの炎が一気に変化する。まるで蛇のように一筋の炎となって跳び出すとそのままカイナスの足下で大きく一周して,そこから徐々に上がりなら炎の輪が小さくなる。それは炎の大蛇がカイナスを包むようにとぐろを巻いたようにカイナスを包むと先程までカイナスの周辺にあった炎の雪も炎の大蛇が吸収するように一体化していく。そんな光景を見てイクスが声を発する。

「おぉ,おぉ,随分と派手になって来やがったなっ! それでエラン,どうするよ?」

「何となく分かってきたからもう少しだけ確かめる」

「その後はこっちも本気で行くって訳だな」

「うん,そうだけど……イクス,楽しそう?」

 エランがそんな質問を発するとイクスは少しだけばつが悪い声で答えてきた。

「あ~,なんだ,さすがにこれだけ燃え盛る炎を見ると祭のようで心躍るというか,炎につられて笑うしかないというか,そんな感じだ」

「分かった,ほどほどにね」

「さすがエラン,分かってやがるな」

「それじゃあイクス」

「あぁ,分かってるよ」

「うん,行くよ」

「おうよ」

 全力を出してきたカイナスの姿を見ても平常運転と言っても良い程のエランとイクスだが,この戦いは確実に向かっている。決着という終局に向かって……。




さてさて,お送りした第十一話でしたけど如何でしたでしょうか? まあ,これだけ戦闘シーンが続くと途中でこんがらがって戦闘シーンが分からなくなっていないかちょっと心配です。ちなみに私は最終チェックの時に時折こんがらがります(笑) まあ,こういう事が有るから最終チェックをしているんだけどね~。

 さてはて,何にしてもなんとか一ヶ月も開ける事無く,無事に更新が出来てなによりです。まあ,この時点で第二章のプロットが未だに前半の終わりに差し掛かった所なので,このペースだと確実にプロットが書き終わらないまま第二章に突入する事になりますね~。それだけは避けたいのですが,私の身体と精神にもいろいろと事情がありまして,その辺も含めて長い目で見てくださいな。

 ともあれ,第一章もそろそろ佳境に突入する所なので,まあ次回の次回ぐらい。つまりは十三話ぐらいで戦闘が終わる予定なので第二章のプロットを考えながら次の更新を考えて書いていこうと思っております。……まあ,ここまで来ると行き当たりばったりになるよね~。ってか,もう成ってる気がするけどねっ!! まあ何にしても無事に更新が出来てた事と次の更新がいつになるのか分からない事をしっかりと告げたのでそろそろ締めますか。

 ではでは,ここまで読んでくださり,ありがとうございます。そしてこれからも長いお付き合いをよろしくお願い致します。気長に大目でお願いします。

 以上,PSVRを買ったけど思いっきり3D酔いをした葵嵐雪でした。

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