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その頃…

ーベルン視点ー



「ご報告します。地下都市及び畜産・農産,加工で3チームに分かれ各地域へ派遣。

『火の魔石』の設置及び『無限大』による粗方の雪はほぼ回収終了。

人的被害はほぼ無いかと。」


オーランドの報告に、続けとばかりにザィラードが報告。


「ギルドでは各街道の確保完了。現在各地に散らばる仲間からの報告では、既に峠は越えたとの報告。」

確かにこの街でも既に雪はやんでいる。


「商業部も同じく。おお、そうだ。獣人国からも同じ報告があったぞ。」

ルルドの御大だ。


あの脅威の大雪から数日経ったがようやく完了というところか。

ふー。

ため息にも似た安堵の息を吐き出しながらも、ロダインへ向かったエドとグレタの事が頭の隅から離れない。

何も出来る事とてないが…


「大丈夫じゃよ。あの二人に任せておけば問題は無い。」

ふっ。さすがは年の功。ルルドの御大には胸中が駄々漏れなのだろう。

苦笑いでかえしながらも『冬の国』の影響が止まった事に安堵を覚える。



ラル。

そちらは大丈夫だったのだな。と。





その晩は久しぶりに自室のベットで休んだ。

ところが翌朝伝令が自室のドアを叩いて事態は一変する。


ドンドンドン!!


「た、大変です!各地でまた異変の報告です!」

伝令の声に一気に目が覚めた。


「突然気温上昇。各地で一気に干ばつへと発展し被害多数。

特に農産・畜産が壊滅的被害との報告。」


慌てて窓の側へと走る。


なんと!!

窓から眺めるいつもの風景がまた奪われた。

畑の作物は枯れ果て街路樹まで立ち枯れている。

信じられない。

その景色は、既に砂漠化のそれであった。


急いで部屋を飛び出す。

途中でザィラードやプリモナ。ルルドの御大にも出会う。

だが、皆無言のまま。

それはそうだ。

もう既に言うセリフとてない。


話し合いの最中に次の伝令が飛び込んで来た。

それは意外な場所からの報告であった。


「大変です。植物研究室で爆発があり研究室は大破。

更に、ジェルド殿・ラース殿行方不明との事!」


ガタン!!


椅子を倒して立ち上がったプリモナの顔色は蒼白だ。プリモナにとってジェルド殿は頼りになる親代わりのような上司。


オーランドがプリモナを支えて退出する。

その間にも次々と悪化の一途を辿る報告が続く。


「とにかくギルドに動いて貰おう。

今こそ『無限大』で昨日まで集めていた雪を解放して各地の飲み水の確保に務めてくれ。また『火の魔石』を回収、替わりに『氷の魔石』を配置」

躊躇ってる暇はない。今は先に進まなければ。


「『氷の魔石』とは?」思わず質問が飛ぶ。


「ラルの新作だ。何やら『夏の国』のエンジョイライフの道具とか言ってたが、今こそ役立つ時だろう。植物研究室には俺が行く。」



各々が自分の仕事に走る。

こう言う時に、そのチームの実力が分かると言うものだ。

笑みを浮かべて、仲間達を見送ると俺も研究室へと急ぐ。

あの穏やかなジェルドの笑みを浮かべて思わず眉間にシワが寄る。

あのジェルドに限って心配はいらないと思いたいが不安が募る。

頼む。無事でいてくれ!


ラルは規格外だが、ジェルドの力添えがなければ今の発展はあり得ない。

彼は天才なのだ。





ーエド視点ー


バイロンの街中に入りまずは驚く。

蛇の穴にいた頃の面影がない。

人々の顔には、疲労感が募り他の街とはまるで違うのは何故だろう。


隣のグレタも無言の様子を見ると多分同じ結論なのだろう。



何か我々の知らない深刻な事態が起こったのだと。





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