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救い主現る!

ーエルドの植物研究室 ジェルド視点ー



二人で顔を見合わせ呆然となる。

この危機的事態に誰かに知らせる術もないとは。

暫しの沈黙の間にも事態の深刻さ増す。


「あぁジェルド殿こんな筈では。こんな危機的状態の収拾すら出来ないままとは。私はこの世界を破壊するものを持ち込んでしまった。何と言って詫びれば良いのか…」


ラース氏の言葉に自分も頷くばかり。

自分も同罪だ。

もう、誰にも止められないだろう。

このまま、このエルドの街だけでなくこの世界をも飲み込んでいく。

でも止める術も自分達に見当たらないなんて。

後悔しかないがなす術もない。


ラル殿。すみません。

天井を見上げてその時を待つしかない。

後悔しかない二人を飲み込むその時を…




ー『夏の国』テント内ー



翌朝目覚めると何やら皆んながジオラマを見て唸っている。

どうしたんだろ。

上手くいったと思ってたのに。


「あっ、ラル殿。大変なんです。

大きな問題が起きました。」とライナス。


むっ?何の事?


「順を追って説明します。

まずは、このジオラマです。

中央の泉後を見ていたら、中央部分に穴を発見。

更に地形をよく吟味したところ、この世界の全ての水は最終的にこの泉に集まります。

即ち、ラル殿の配った水はこの穴に落ちてまた、冬の国へ。

このままでは、根本的な解決にならないと相談していました。」


さすがコーティー、説明上手いね。

うーん。泉の穴を塞ぐ方法はまだ思いつかないから、当座水を撒いたけど冬の国へ行くのは不味いぞ。どうしたら…


「ラルよ。気がついてないのかも知れぬがこの世界の植物も生き物も何も戻ってないぞ。

その事も関係してるのではないか?」


ヤーンの言葉にカエルの方を見る。

うん?脂汗かいてるぞ。これ確か薬になるんじゃなかったかな。


「やめよ。

どうしてお主はそんな変な考えばかり巡らすのじゃ!

この世界に生き物がいないのは、たぶんワシの責任じゃ。」


カエルの神さまがため息と共に告白した事は。

怒りが嵐を呼び、水不足と神さまの怒りにこの世界の生物が避難をしてしまったらしい。


どこに?


「それが分からんから困っとる。

ワシを恐れておるのに、隠れ場所へ行けば更に混乱をすると思おてやめておる。」


他のメンバーには、ヤーンが通訳してる。

見えない聞こえないこの状況も同じなのかも知れないなぁ。


「ラル。ここを見てくれ!」


先程からジオラマをガン見していたハロルドが指を指すのは泉から少し離れた山らしきもの。


本当だ、穴が!!


「まさか卵生にかえっているのでは?」

カエルの小さな独り言。


卵生って何だっけ?


「成る程、こんな乾燥状態では卵状態になるのは有効です。もしかしたら地中のどこかに固まって卵状態でいるのでは?

俺が見てきましょうか?」


ゴウライの言葉に成る程と頷く。

卵状態か。鳥や爬虫類と前世でも様々な生物がいたよな。


だけど地中はまだ危険では?



「やめておけ。この状態は仮の姿だ。

それが証拠にこのカエルの姿がまだ解けぬ。」


えー。力を取り戻すとカエルから脱皮か?


「あのなー。蛇じゃあるまいし」

カエルの言葉の途中で、俺の胸元から草が飛び出す。



えーーー!ど、どうしよう!!

涙目になるよ。だって植物生えるって何かに寄生されたんじゃないの?

ど、どうしよう。

ヤバイよ。ヤバイよ。万能薬で治るかな。


「落ち着け。ラルの体から生えてはいないではないか。ほら、胸の中にくっ付いていた種からだ。」


慌てて懐に手を入れて取り出すと、種から双葉を出している植物発見!

どこから来たのか?冬の国かな?


『お父さん!聞こえる?

また、解決しないうちにめちゃくちゃしたでしょ。このままだと冬の国に洪水が起こるよ。

だから、助けを送るね。

僕の兄弟だからお父さんの役に立つと思うよ。

早くしてね!』


この双葉は、間違いなくあの『種』から生まれた少年の声だな。

洪水になるなんて思ってなかったからちょっと不味いな。


でも助けとか兄弟とか言ってたような?



「ラル!ラル!」

ハロルドの叫び声に外へ出ると、クネクネした巨大な植物に巻きつかれたジェルドとラースがいた。


「おい、二人を離せよ!」

苦しそうな二人を見て思わず叫ぶと、クネクネはポトリと二人を落とした。


「おい、大丈夫か?」


ジェルドと目が合うと号泣をしているし。

ラースもジェルドに抱きついて「良かった。良かった。」と繰り返していて何の事やら。


「「ラル殿。あ、ありがとうございます。」」


見上げると、クネクネが俺の横にピッタリ寄り添っていた。



「またか。」

ヤーンの独り言は、俺の耳には届かなかったけど。



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