巨木を偵察に。
干からびる!!
喉が渇いたよーー!!
ん?
何かいる??
「この度は水の精霊をお救い下さりありがとうございます。」
これは!!
ハーレムか?
いや、パラダイスだな。
水の精霊に囲まれてのお礼の嵐に、異世界転生の醍醐味を初めて味わう。
これだよ。
だが、長くは続かない。
ふー。
「ラル殿。急がなければ。」
コーティの声に断腸の思いでその場を離れて地表へと。
先程から感じるこの魔力の放出は異様なものだから。
仕方ない…でも戻って来るぞー!
慌てて地表に出てまた、固まる。
これ、どしたの?
そこは草花が咲き乱れ、差し込む光が葉の間からキラキラ輝く。
なんて美しい風景なんだ。
だけど…
あまりの変化に戸惑ってたらハロルドに突っ込まれた。
「ラル。ここに『万能肥料』使っただろ。それだよ。」
どれだよ。
いや、それにしたってこの変化は無いだろう。
「いやいや、ラル殿なら全然有ります!」
ライナスの大声のツッコミに皆んなが頷く。
うーん。何か納得出来ないがとにかく先を急ぐ。
この変化もあの魔力の責任か?
巨木の横をすり抜けて洞窟へと向かうが、あまりの大きさに先へ進む隙間すらなくなる。
これ以上進めない場所で立ち止まっていると
俺の服を誰かが引っ張る。
「なに?」
振り返ってみると、それは少年だった。
あれ?
。。
この世界は、ランド族と水の精霊の世界だよな。
。
人間の少年なんてあり得ないような…
すると少年は、緑の目で一途に俺を見つめて
なんと『お父さん』って言ったぞ!
違うよ!
ち、違うから!
だって経験もないのに作れないし!
焦って訂正する俺の横でハロルドがしゃがみ込んで少年に聞く。
「ラルがお父さんなんだな。」
頷く少年。
首を振る俺。
「もしかしてラルがいなければ産まれては来れなかった。そうだろ。」
また頷く少年。
もっと激しく首を振る俺。
「そうか。それで助けを求めてきたんだな。」
今度は笑顔で頷く。
今度は首を傾げる俺。
助けって??
それを見ていたコーティが断定する。
「やはり。
ラル殿。
こちらは『巨木の精霊』です。
そうですね?」
少年が嬉しそうに頷くのを見て目が点になる。
皆んななんで分かったんだ?
巨木の精霊??
俺は、う、産んでないからーー!!
「言葉の比喩だよ。ラルの魔力があの『種』から芽吹かせてこの巨木まで大きくしたんだ。
だから彼からすれば『お父さん』なわけだ。
それより助けを求めにってところが重要だ。」
ハロルドの言葉にハッとする。
確かにそうだ。
あー、良かった。疑惑は晴れたな。
ホッとして少年を見ると
少年が困った様子でモジモジする。
そうか。助けてを求めて来たって。よーし!
「少年。何に困ってるんだ。俺で出来る事があれば何でもしてやるぞ。」とニッコリ微笑む俺。
「「「「あーー!!!」」」」
何?
叫び声に振り向くと頭を抱える集団が。
え??
「ありがとう。じゃあ宜しくね。」
少年の声を聞いた気がした。
でも、景色が歪むのが先でそれを確かめる事は出来なかった。
歪む景色の中に少年がいたが、段々と気が遠くなりつそれも覚束なくなる。
少年の緑の目が光ったような気がしたのが最後の風景だった。
ひび割れた大地。
暑い。
あまりにも暑いよ。
強い太陽の熱が容赦なく身体から水分を奪う。
身体中から噴き出る汗はひっきりなしに滴る。
だが、ポツポツ落ちる汗は土に着くや否や一瞬で消え失せ後すら残らないとは。
呼吸すらし難い燃えるような空気に耐えながら皆んなに聞こうと振り向いた。
「おい、大丈夫か…」
しかし言葉は途中で途切れた。
それもそのはず。
全員がバタ!と音を立てて倒れ込んだのだから。
その全員の中にはヤーンすら入っていた。
や、やばいぞ。
そう言えば獣人は極端に暑さに弱いって聞いた事がある
不味いぞ。
急いでテントを設営。
皆んなを中に入れ込んで『万能薬』を与えた。
サーチをかけると、『弱』まで体力が下がってはいたが生命の危険はないようだ。
安全と判断して、俺だけ再び表に出る。
『無限大』から収納されてる膨大な数の雪を辺りに蒔きながら、水魔法ヴォークを最大値使用。
目の前が見えなくなる程の靄が出る。
お次は、風魔法リーフェルで靄を上空に飛ばす。
靄が雲になるまで何度も何度も繰り返す。
やがて雲は、かすみのようなものから分厚い雨雲に変わり、そこから雨が降るまで続ける。
やがて…
ぽつ。
ぽつぽつ。
弱いが確かに雨だ。
雨が降ったのを確認してテントへ急いで戻る。
皆んなはすでに起き出していた。
良かった。
皆んな意識が回復して。
コーティからお礼の言葉が。
「突然のこととは言え、対処が遅れてご迷惑をおかけしました。ラル殿は我らの命の恩人。
改めてお礼申し上げます。」
か、固いぞ。コーティ。
「ところでラル。その手に持ってるのは何だ?」
ヤーンの問いかけにそう言えばと思い出す。
カエルっぽい何かを拾ったんだ。
ちょっと干からびかけてたけど。
おっ、ちょっと回復してるような?
テーブルにカエルっぽい何かを載せと起き上がって話し出す。
何と!!
喋れるカエルだった。
「ありがとう。正直もうダメかと思ってた。
祈りは通じたのか助けが、こんな化け物みたいな奴とは有り難い。」
凄いぞ!喋れるカエル!!
しかし、化け物とは酷いだろ。
でもここはカッコつけて一言。
「まあ困った時はお互い様って言うだろ。」
笑顔で答える俺にライナスに問いかける。
「そこに。そのテーブルの上に何かいるですか?」
頷く仲間たちに目が点になる。
えーーー。見えてないの?
か、カエル!
ニヤリと笑うな!!
背筋にゾクリと何かが走るだろ!




