ジャックと豆の木なのか??
います。
山姥が…
俺帰っていいかなぁ。
現実逃避したくなる光景が目の前にあるんだけど。
次元の裂け目と思われる大きな口を開けた恐ろしい岩場の側に、山姥らしき者達が呻き声を上げているなんて、聞いてない!!
うぉー、うぉーーー!!
唸ってます。
山姥の集団が唸ってます。
何でだーー!!
水の精霊と言えば、美女と相場は決まってるだろ。なんで泥色の髪を振り乱す身体中が干からびた山姥集団が水の精霊なんだよ!!
こんなトコだけ異世界転生のシナリオと違うとか。マジで帰りたい。
「どうしたのだ。
あれが水の精霊だぞ。このままでは次元の裂け目に彼女達は落ちてしまうだろう。」
変容した姿だと理解している。
あっ。ゆらりっと一人大きく揺れた。
危なー。落ちる寸前だよ。
仕方ない…怖がってる場合じゃないな。
「ヤーン。あの裂け目はどうすればいいんだ?」
ヤーン頼りだな。
とにかく神頼みは得意なんだからな。
「いや、知らん。ラルが考えてくれ。」
えーー!!!
ヤーン…それはないよ。
俺だって分からないし。あっ、またゆらゆらしてる!!
えーい。ヤケクソだ。
『創造』
大量の岩と土をとにかく投入して様子を見る。
いや、見てる場合じゃなくなったよ!
裂け目が巨大化したような…
なんで吸い込むと裂け目が大きくなるかな。
入れるのはダメかぁ。
もう分からん。
んーーー。
。。。
。。
そうだ!
あれを試すのは今しかないな!!
俺は空間魔法から『種』を取り出すと、ポイっと投げ込む。
そして『万能肥料』も投入。
どうかな?
やっぱ、無理かな。
。。。
おっ、ちょっと裂け目から二葉が見えるような。
と、思ったら地面が揺れ出した!!
グラグラグラっと揺れたかと思ったら、裂け目から巨木がグングン伸びる。
いや、そんな生易しいものではないか。
そう!ジャックと豆の木の。あれ!
いや、訂正します。もっと大きいかも。
「に、逃げた方がいいよな。だけどあの水の精霊も連れて行かなきゃ!」
ヤーンの唖然顔も面白いけど、じ、時間がない!!
俺は、水の精霊達を捕まえると、転移魔石で洞窟の入り口へ。
まだ揺れてる。
ちょっとヤバいかも。
「ラル。これは何だ?緊急事態で間違いないか?」ハロルドの怒り顔に何度も頷く。
ちょっと、ヤバいかも。
退避!!
それぞれが地中への転移魔石で、一気に跳ぶ。
跳ぶ寸前に、俺の後ろに見える生きた腕のような枝と葉が襲っていたような気がするのは、気のせいに違いない。うん。
地中に着くと、ランド族の質問責めに合う。
この揺れは何だ?水の精霊はどうなるのか?
あっ、山姥忘れてた。
ちょっとグッタリしたいる山姥(水の精霊)に『万能薬』を渡す。
「水魔法ヴォーグ。』
大量の水が降り注ぐと、山姥に変化が。
あの枯れ果てた身体が瑞々しいる肌を取り戻し、
泥色の髪の毛は水色の美しい輝く髪に。
まるで童話の魔法使いになったような錯覚に陥るほど劇的な変化が訪れた。
山姥は、美女に。それもとびきりの美女!
とは言え感動の暇はない。
揺れが治らない。
困ったな。
やっぱ、あの『種』だからな。
あっ!止まった。
「ランド族の皆さんが偵察から帰られました。」
コーティの言葉に驚く。いつの間に?
「大変な事が起きています。地表の雪も吹雪も無い代わりに、あの洞窟のあった方向に超巨大な一本の木が。いえ、既に木なのかどうか疑問です。
半径が数キロにも及ぶもので、高さも天に届く勢いで。ただ、地表の植物は一斉に芽を吹きその姿を取り戻しています。」とランド族。
誰も無言の中、ヤーンが一言で決めた。
「次元の裂け目は無くなった。あの木の力は既にこの世界そのものになったからだ。
あの木が、この世界を崩壊から救ったのだ。」
皆んな顔を見合わせ、笑顔が溢れた。
次の一言までは。
「だが、あれは意志を持った特別なもの。
暴走しない為に何かしないとな。」
おー、一斉に俺を見たよ。
いやぁ、俺もこうなるとは思わなかった。
ちょっとは危ないかなぁと思ってたけど。
やっぱりジェルドの言ってた通りだったなぁ。
「ラル。あれには絶対に触らないと約束して下さい。異世界の種にラルの力が合わさって、偶然出来た本当にお化けなのです。
聞いてますか!」




