ヤーン連れて帰りました!!
取り敢えずエルドの街に戻って、ベルン達を交えた報告会を開いた。
「で、なぜアガタ一派は『春風の鉾』を返さなかったんだ?」ベルンの質問にエドが答えた。
「ゼン様の脅しを真面目に受け取ったからだ。
『もし盗んだのならこの国は終わる』と。
認める訳にはいかず、疑心暗鬼なところへヤーン様の『返してくれ。』の一言で無謀な作戦を当時の魔導師が実行したんだ。」
「な!だから俺は別の道具を作って渡した後ゼン様に謝った方がいいって言ったんだよ。間違いを認める事は、神さまでも大事だって。」
えー?なんで諦め顔なの?
そこへヤーン様が一言。
「絡まった糸は、当人同士では解けない事が多いのだ。まあ規格外のラルがいたからこそ出来た事だがな。
今後私の事はヤーンと呼び捨てで良い。
これからよろしく頼む。」
ヤーンの呼びかけに全員が頭を下げた。
やっぱり神さまだしな。
しかし小型化したヤーンはシベリアンハスキーに似て可愛いからちょっと嬉しい。
「では、こちらから報告だな。
『大森林』は今は一部草原となった。
ラル達がこちらに戻ったとほぼ同時だったろう。
本当にいきなりでこちらは小さなパニックが起きた。」とベルン。
獣人国でも同様の確認が取れたらしい。
お互いに街道を通す話で協議中らしい。
その後、色々な話し合いをして解散となる。
帰り際にドルーがエドと話し込んでいた。
俺もララのところへと急ぐ。
今回の功労者がいるとすれば彼女だからな。
ヤーンを紹介したかったし。
「ララ!ただいま。新しい仲間が増えたよ。」
おー、これはカレーの匂いでは??
「おかえりなさい。会議は終わったの?
まさかまた、抜け出してご飯食べに来たんじゃないよね!」
ララのいつものお説教を聞き流して鍋を覗く。
おー、やっぱりカレーだ。
すげーよ。
「ララ!天才だよ!カレーが出来てるなんて!!」俺の叫びにヤーンが。
「確かに。見たことのない料理。
ララ殿。お主の料理はこのラルから馳走になって私は復活を果たしたのだ。
改めて礼を申す。」
目が点のララに詳しい事情を説明して俺も礼を言う。
「は、初めましてララと言います。ラルのご飯係をしています。
料理が役に立って良かったです。」
ララはヤーンに行儀正しく挨拶した。
まあ、神さまだしな。
それから俺を見て難しい顔で言う。
「ラル。カレーはまだよ。これは本当に難しいから。」
少しガッカリしながらも、ララのご飯をヤーンと食べた。今日は生姜焼き。マジ美味い。
「美味い…」ヤーンの呟き。
ヤーンめ。なんかちっとも神さまらしくないなぁ。
それに本当は俺よりララのご飯でこっちにきたような気がするし。
取り敢えず冒険は、ちょっとお休みかな。
アガタ達は、どうしているだろう。
ーヤーン視点ー
見るもの全てに驚きを感じる。
進んだ街の様子のあちらこちらにラルの魔力を感じる。
まあ奴の魔力は特殊なもの。ゼン殿が繰り返し言っていた。
「本来ならお主とこの国は消えゆく運命。更に言えば我とて無事では済まない。
あの者は…まあ良い。ヤーンよ。
うむ。その目…決意が硬いか。
この世界を越えてかの者の行く末を見守るつもりだな。
では、ひとつお守りをやろう。」
ゼン殿のお守りを使う事なく済むと良いが。
あのラルだ。
どうにも自分の事に理解が悪い。
しかし草原とやらで何をするつもりなのか?
「付いてきてくれてありがとうな。
エドにも内緒だから一人で来るつもりだったんだけど。まあ心強いかな。じゃあ今からちょっと仕事するから見ててくれ。」
『創造』『建設』
あっという間だった。
小さな街が出来上がる。家々に宿屋。商店に街を守る塀まで。しかも防御魔法付きとは。
この街に住まう者は幸せ者よ。
「いや開発しただけ。街道を通すにはこんな街がある方が楽だから。」
??
住まう者の予定のないとは。
だが、驚きはその後だったのだ。
街が幾つも幾つも作られる。
やがて隣の国が見えてきて、出迎えが見える。
「ラル殿。皆様が心配されてます。このくらいにして下さい。」
確かドルーと言ったか。
先頭でこちらに頭を下げる。
「でもさ、工事が楽じゃん。ね!」
なるほど。
これではエドとやらの気苦労も知れるもの。
その時、ラルがふらっとして倒れこんできた。
魔力の使い過ぎだ。
抱きとめた私は、そのままドルーの元へ。
ん?
なぜか目が点だの。
「ヤーン様。まさかの人型が取れるとは。」
面妖な。
元はと言え、私も神の端くれ。
当然と言えば当然であろう。
気を失ったラルを抱えてドルーの後を追いながら説明するとドルーが一言。
「ラル殿がきっと叫ぶな。」
??
何を。
その時の疑問はラルの目覚めと共に理解した。
「お前は誰だ!
誰が連れてきたんだよ。このハンサムは俺に対する当てつけなのかーー!!」
しかしラルの考える事を予測するのは難しい。




