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封印…その後

光を収めたゼン様(風の神さま)は、金目に金髪のガタイの良いイケメンだった。

これまでの経緯を詳しく説明してくれた。


『春風の鉾』それは風の神さまの大切な道具。

ただ、大雑把な性格の神さまが道具を出しっぱなしにしていたところ、鳥に姿を変えて行方不明になった。

それを拾ったのは、当時王子であったアガタ。

隣国との戦にその道具を使い勝利を収めた。

取り返そうと尋ねた風の神さまを拒否。

拾った者にこそ権利は有ると主張したらしい。

それによりアガタの国は、つむじ風の罰を受ける有様となった。

困った国民は、王宮の近くの祠の神さまに慌ててお祈りをした。

その神さまこそ、ヤーン様だった。

彼らの為に取りなそうと出掛けたヤーン様に風の神さまは、ご立腹で聞く耳を持たない。

とにかく返せの一点張りに、アガタの元へ行き交渉をするヤーン様。

ところが何の誤解からか、ヤーン様を敵と認識。

封印の術をかけてきたから大変。

端くれとは言え神さまのヤーン様。術は跳ね返り国ごと封印された。

ヤーン様共々。


最後に困ったのは風の神さま。

道具がない為、春が来ないと。



勝手気儘が多数存在とは。そりゃ解決しないわな。

集まった仲間達も呆れ顔で話を聞いている。


「では、これよりどうなさるおつもりですか?」

丁寧語のエド…なんか笑える。


「ふむ。考えてない。」

ゼン様の答えにヤーン様は。


「私はすでに神さまの資格は失った。だが、出来ればアガタ達の封印を解いて貰いたい。

確かに約束して頼みに行ったのだから。」


何だか腹立たしくなる俺をよそに、エドが落ち着いた声で解決策を提示する。


「もし、宜しければ我々にお任せいただけませんか?アガタ達は、我々に近い種族。

更に言えば我々もこの封印を何としても解きたいのです。」


目星がついている様子にゼン様が快諾。

事が動き出す。

あれ?何だよ、俺だけ仲間外れか?


「そうじゃない。アガタ達に最初に接触するなら俺とドルーがいいだろうと思うのだ。」


ライナスとアナベルは、街の視察に。

俺はヤーン様とゼン様と居残り。


二人が出掛けるとヤーン様から意外な発言が。


「封印が解けたら我を神席からお外し願いたい。

このまま、単なる獣として生きていこうと思う。」


ゼン様が難しい顔をして唸る。


「神さまの世界も色々あるんだな。」

俺のセリフにゼン様が突然笑い出す。


「ははは。そうかも知れぬな。

ヤーンよ。お主はあの者達に最早見切りをつけたのだろうが神格までは消えぬぞ。

我らとて定めを持つもの。己の決められた道を外れる事は出来まい。

それに既に力は完全な戻っておるだろ。この者の持つ特殊な力は非常に心地よい。

我も全身に力が漲る。」


いや、それはララのご飯だし。

しかし、ヤーン様が元気になれらて良かった。

あの遠吠えは悲しすぎて。


それから、ゼン様が魔王の封印の話などを聞きたがったので喋り込んだ。




その頃、エドは元の場所に戻っていた。

隠匿の魔法を全開にして、その場に立つと物々しい雰囲気となっていた。


目配せしてドルーとテントへと戻る。

蟻の這い出る隙間なく固めるアガタ一派。


ラルに貰った『煙幕』という道具を使う。

近くに投げると煙が充満してくる。更に幻影があちこちで派手に相手を煽る。


「バーカ。こっちだぞ!」

「間抜けズラしてどうした?」


ちなみにセリフはラル作だ。

二人してちょっとため息が漏れるがこの隙をついて一瞬でテントへ。


「エド、ドルー無事だったか。他のメンバーは?」


さすがラル作だけあり完全防音。しかもスクリーンには街中に仕掛けた装置から敵の動きが逐一入る仕組みだ。


「無事だ。急いでいる事があるので報告はまってくれ。ちなみにアガタは動いたか?」


二人には、彼の動き方を見張る役をたのんでいたのだ。


「動かない。手下がバタバタしてるが接触してくる様子もなくかえってあの辺りの方が静かなんだ。」


ドルーと打ち合わせ通りに動く事にする。

封印を解くにはアガタが最重要だからだ。



その夜、俺はひとりアガタのベットの横に立つ。

奴も予想していたのだろう。起き上がってテーブルで紅茶を飲んでいたから。


「で。どうするつもりだ。」俺のセリフに彼は微かに笑った。


「私にその権限があると?」

「あるさ。でなければここには来ないだろ。」

「もう戻れない。遥か彼方まで来すぎてしまった。ただヤーン様と共に滅びるのみ。」


あー、諦めたタチの悪い奴等の言いそうな事だ。

おっ。さすがドルー。もう持ってきてくれたとは。


「アガタ殿。これですね。」

窓から部屋に入ったドルーは、狼に姿を変えていた。彼が口でくわえたものを床に落とすとこの部屋きて初めてアガタの顔色が変わった。


「なぜ?短期間でどうしてわかったのです?」

震える声に動揺が走る。


「神さまを祀らない国。歴史的にそれは無理があると。よく調べたら小さな祠がたったひとつ。

それで理解しました。神さまから見捨てられた一族である貴方の最後の良心なのだろうと。」


結局『春風の鉾』は、祠に隠されていた。

特別鼻の効くドルーだからこそ見つけられたのだ。


「私の負けです。風の神さまにお返し下さい。

これで本当の神罰が下る。」


項垂れるアガタに質問を投げた。

あの話を聞いた時から不思議に思っていたからだ。


「なぜ、最初に返さなかったのか?後からでも返すチャンスはあったはず。」


しばらく沈黙が続く。

静かに口を開くアガタの答えに解決策を見つけた。


「しばらく待っていてくれ。俺が」


言いかけたその時、窓から突風が吹きこんで部屋をめちゃくちゃに破壊してゆく。

間に合わないか。浅知恵では…



「おー、壊しすぎだよ。ゼン様はだから誤解されるんだよ!!」


ゼン様とヤーン様の後ろからラルがひょこっと顔出した。


「すまぬ。これでも手加減はしておるが。」


ん?ゼン様がラルに謝ってる??


「ほら、早く。

練習したのにグズグズしない!!」


「「すまない」」

ゼン様とヤーン様の声が重なる。



呆気にとられたアガタと俺たちを置き去りにしてラルだけが得意顔だ。


「あのね、封印はもうすぐ解けるよ。

何か力が漲るとか言って治ったみたいでさ。

それに俺のスキルを解放してくれたからいい道具作ったんだよ。これ見てくれよ。」


自慢げに取り出したのは、風の魔石から出来た丸い石。


「『掴む風の』にヒントを貰って『操る風』をね。やってみるもんだね。

だから『春風の鉾』がなくても封印を解けるから。」


やられた。ラルに敵うはずもないかぁ。

ドルーが黙って『春風の鉾』を差し出す。


「おお、よくぞ戻った。今こそ我の力を見せる時。」



バーーン!!と扉という扉が開け放たれた後の記憶は無い。




「しかし、信じられないよ。

アガタ殿達が人族だったなんて。」ラルが呟く。


目覚めた俺たちは、封印の解けたアガタ殿達の王宮にいた。

封印の時、ヤーン様の影響を受けて犬の姿になったようだ。ちなみにヤーン様は元々犬の姿。


俺たちの世界への通り道は、ゼン様がつけてくれるらしい。


「ラル殿そしてそのお仲間の皆様。

この国を代表して深く深く御礼申し上げます。

このご恩は決して忘れません。」

封印が解けてすぐ、アガタ一派の土下座をみた。

ラルは慌てて「やめてくれよ!」と狼狽えていたがそれだけ彼らの悩みは深かったのだろう。



とにかく、ララのご飯がなくなったから早く帰ろうと言うラルの提案で早々にゼン様にお願いしようとしたらヤーン様が突然立ちはだかった。


「俺は、ラル達について行く。これからもラルの側でその恩を返す。」


びっくり顔の一同をよそにゼン様のみ何度も頷く。

「まあ分かるよ。まっ行ってこいよ。俺の分もラルを頼んだぞ。」


頷くヤーン様。


二人だけの会話で解決しているうちにまた突風が吹いてその後は…



「ここは、あの砂漠か?」


見渡せば、薄っすら草の生えた草原が広がっていた。

見れば、出かけたあの街が見える。


戻ってきた。


ひとつだけ違うのは、ラルの横には当たり前のようにヤーン様の姿がある事だろうか。



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