その頃、エルドの街では…
魔人対抗隊は、今まさに正念場を迎えていた。
ある者は『吸収石』の作製を。
ある者は『変換魔石』の増産にと。
『吸収石』を加工部が発明してなければ、かの毒を含んだ煙も魔人の毒風にも対抗出来てはいなかっただろう。
どれほどの住民が命を落としたか分からない。
紙一重の時間差発明だった。
『吸収石』の能力は高く小さな町や村ならひとつの石で2日3日もつ。
魔人対抗隊は、これを各村々へ届ける役割も担う。
また『変換魔石』はその名の通り、毒風を清浄な空気に換える獣人国の発明品。
こちらも情報交換が技術なら発展に貢献。
この魔石の完成となる。
この魔石の威力は武器としても優秀で。硬直して落下する魔人が相次いだ。
情報交換に重きを置くラルの方針で、ドウェイン王や神殿側にも連絡がいく。
今は危機的状況と双方協力をし合う仲だ。
それでも、煙も魔人も増えこそすれ減りはしない。
段々と疲れが見えてきた頃に、ラル行方不明の報が入る。
慌てて廃墟へ人手を割こうとしたところへ次の報告が入る。
「東の空から真っ黒な魔人の群れが近づきつつあります。」
全員が息を飲む。
「ベルンよ。最終段階じゃな。
ラルも不在の今こそ、発動すべき時。」
ルルドの御大の一言にベルンが動く。
「ザィラード。最終段階の発令をお願いします。」
引き締まった顔で頷くザィラード。
他の者はすでに自分の持ち場へと走る。
「備蓄の帝王を解禁せよ。
繰り返す。備蓄の帝王を解禁せよ!!」
ベルンの放送は街中に響きわたる。
冒険者達は、魔木の元へと走る。
国中の木をこの時の為に魔木に変化させてきたのだ。そこへ『特急成長剤』なるラルの新発明を撒く。
それこそ、特急で。
魔木は、その成長を画期的に伸ばし遥か上空までその枝を伸ばす。それこそ、攻撃力も遥かにグレードアップしながら。
地下街では、加工部の天井部分が開き、各種鳥達が飛び立つ。
攻撃鳥の姿は今や、大鷲を凌ぐものへ進化。
その他ジジンゾンの攻撃部隊の数たるや、地面を覆い尽くすほどに。
こちらも進化済み。
毒耐性の強化と羽を新たに生やした姿に。
空も飛べるジジンゾンは、やがて空を黒々と染めながら国中へと広がっていく。
冒険者達は、加工部最新作の防具に身を包みこれらを指揮する。
特に魔木達は、少しなら移動も可能に進化していて身体中から清浄なる空気を放出。
魔人には近づく事すら出来ない濃度となっている。
地下へと移動する人の波に迷いはない。
自分達の命を守る為に為すべきことを。
獣人国も含めて、避難行動は続く。
獣人国では土竜族の協力が不可欠。彼等の助けが避難行動をスムーズにしていた。
対抗するべく万全の体制を整えてたその時!
グラグラグラ。
地面が大きく揺らぎ、空飛ぶ魔人すら落下する者が出るほど突風が吹き荒れた。
誰の目にも見えるほどの大きな山が東の果てに出来ていた。
そう、たった今出来たのだ。
山の大きさもさる事ながら、溶岩の噴き出る様は凄まじい熱気を周辺に撒き散らす。
魔王の復活なのか。
「伝令!
東の方面で待機する魔人対抗隊からラル殿現れたとの事。エド殿始め全ての方々が今上空に浮かんでいる状態との事。」
「次なる伝令!
火の山から魔王らしき姿確認。
確認後撤退を余儀なくされるとの事。
毒の濃度が限界突破。」
始まった。
「緊急指令!
全員退避。
ラルに任せて退避!!」
ここからは、只の人では太刀打ち出来ない。
ラル。
任せたぞ!




