表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/100

猶予は3日ー最後の秘宝への道ー

「チャンスをやろう。

今より3日の間にこの街に隠されているものを探し出せ。それは、最後の秘宝への道を拓くであろう。

3日の後に万が一見つからぬ時は、再び街は眠りにつく。

街の中のものを如何様に使おうとて構わぬ。

では、3日の後の夕暮れにまた。」


それだけ勝手に言い放つとエルバドは去って行った。


ショックから何一つ立ち直らない間に去って行くって。あんまりだよ。

皆んなもかなりの衝撃だったようで一言も発さないまま日が暮れ始めた。


ぐぅーーー。

あっ、そう言えば腹減ってた。

あれ?いい匂いがするような??


ふらふらと街中に入る俺を追いかけて皆んなも付いてきた。

おかしい。

街中に灯りが泊りまるで昼間のような明るさだ。

それにいつの間にか店先には、色々な食べ物が並んでる。

それも、たった今できたばかりのように。

肉まんらしきものからは湯気が立ち、串に刺した焼肉からは肉汁が垂れている。

まるで店員が今にも飛び出してきて売り出しを始めそうな様子に戸惑いを覚える。

いくら廃墟が綺麗になったからって、こんな事ある?ありえねー。

背後では皆んなが油断なく緊張感を出していた。


「おい、あそこを見てみろよ!」

ドルンの指差す方向を見ると更に驚く景色が!

なんと人々の行き交う姿が見える。

ただ、薄ぼんやりした影のように蠢いて見える様子はさながらホラー小説の風景だ。

やめてくれよ。お化けとかあ苦手なんだから!



「ラル殿。この影はたぶん太古の人々の姿。

もしかしたら、だんだんと過去へ街中が移動しているのかも。」


お人形のようだけど、意外に鋭いゼルの助言に皆が頷く。そう思うと俺も少し落ち着いた。


そうこうしている僅かの間に街はまた表情を変える。まるで当たり前の顔をして賑わう普通の街の顔になる。狐につままれたとはこの事だよ。


その時、

「おい、さっきから兄さん達邪魔だよ。往来の真ん中で立ち尽くしてるんじゃないよ。」と街の住人から突然声をかけられて、数センチ飛び上がった。

いやぁ、本気でビビった。

前来た時は、俺達の姿は誰にも見えなかったのに。

今回は違うのか?


「なんだよ。驚かして悪かったな。

俺は冒険者でこの街に今仲間と滞在してるんだよ。どうだい。袖振り合うも何かの縁と言うだろう。俺達の宿は来ないか?」

俺のあまりの驚き具合に悪いと思ったのか頭をかきながら謝る姿は冒険者のようだ。


驚く俺を置いてけぼりにして、リーヴァイ殿が礼を言って付いていく。慌てて全員で追いかける。


だけど、あの冒険者。

どっかで見たような??


彼の案内についていくと、一際賑やかな宿場の立ち並ぶ道に出た。

冒険者らしき者たちが大勢いたが誰も彼も頭を下げる。そう、先頭を行く冒険者にだ。

有名な冒険者なのか?

先頭を行くこの冒険者は面倒くさそうに手を挙げて挨拶を返す。な、慣れてる。

茶色の髪を後ろで一つに結び、大きな片刄の剣を斜めに背負うその男は逞しい身体に似合う冒険者らしい姿だ。名はケルムと言うらしい。


「ここだ。『ロンバ亭』が俺達の定宿なんだよ。飯は美味いしおやっさんはいい人だし言う事無し!」


快活に笑いながら、紹介してくれた宿屋は酒場も兼ねている通常の冒険者御用達の店のようだ。

沢山の冒険者が俺達に気がついて杯を挙げて楽しそうに飲んでいる。

ちなみにケルムは、魔法使いや盾の防御者など計4人で組んでるらしい。

他の仲間は武器屋で整備を頼んでるいてこの後待ち合わせらしい。


賑わう食堂の奥に陣取り、ケルムの注文を聞く。

間違いなく、この街のお金など持たない俺達に注文は無理の為、黙ってままだ。


「心配すんな。もちろん奢るぜ!」

急にケルムの株が急上昇する。

鳴くお腹の虫を宥めながら料理の来るのを待ちながらケルムの話を聞く。


「そうか。しかしお前たちあまりにも常識知らずだな。いったい何処の田舎から来たんだ?

まあいい。実は東の海の方に魔王が出たと冒険者クラブに連絡があって、討伐へ向かうところなんだ。」


気さくなケルムの情報に顔に出るタイプの俺は取り敢えず俯いてやり過ごす。

しかし、びっくり情報だらけで俯いていて本当に良かった。


魔王討伐?

東の海??


あぁ、更に分からない事だらけに。


「ケルム。このお客人らはどうした?」

聞きなれない声に顔を上げると、二人の男性とひとりの美人がやってきた。


「あーー!!!」


美人を見て叫ぶ俺に相手方は落ち着いた様子で


「だから、姫だけが有名なんだって言ったろ。

話は途中から聞いてたよ。

ケルムの話はさっぱりだったのに、姫を見たら一発だろ。

魔王討伐なんて皆んな興味ないのさ。」


と、後から来た仲間に突っ込まれたケルムが頭をかきながら照れていた。

ケルムはいい奴決定だな。


「ユナ姫。さあ、座って下さい。」

ショックから立ち直った俺はようやく一言だけ喋った。


ほかの仲間達も加わり賑やかな宴会となっていく。美味しい夕食もご馳走になりお腹の虫も納得したようだ。

それにしてもバイロンとエドのコミュ力は意外に高い。相手から次々と情報を集めるのを尊敬の眼差しで見る。


聞き出した内容はこうだ。


太古の世界に砂漠は殆ど存在せず、東の砂漠は海で獣人も人族も何も関係なく暮らしていると。

そして、この世界を治める王家の一人娘がユナ姫で冒険者の三人と一緒に魔王討伐へ向かう途中らしい。

意外にも、魔王に対する恐怖心はなく倒せると確信している様子だった。



満腹の俺達は満足して宿の部屋へ。

全員にたらふく奢ってくれたケルムは太っ腹だ。ほんとにいい奴!

次々と入る新情報の嵐に混乱した俺達は、取り敢えず部屋に入ると話合いをしていた。


おかしい。

話し合いしていたはずなのだけど、いつのまにか寝ていたらしい。

差し込む朝日に目覚めた俺は起き上がり何気なく窓から外を眺めて固まる。

何ーー??


「皆んな!起きろ。起きてくれ!!」俺の慌てた声に皆んなが起き出す。


全員で窓から街を眺めてア然となる。

街にはまた無人に戻っていた。

慌てて

宿中探してもケルム達も他の宿泊者もいない。

更に街中へ飛び出てまた驚く。

街はあちこち焼け焦げ傷ついているのだから。

いったい何が…


「皆さま。もしかしたらこの街の時間がまたべつの時間へ流れたのでは?

それにあの人影が現れたのは夜。

日が昇ると影になってしまった過去の人々とは行き遭えないのでは?」


ゼルの言葉に同意するしかない。

街中には、昨夜にはあり得ない看板が見える。

看板にはこう書かれていた。


『魔王倒れるもユナ姫始め冒険者戻らず。

彼等を探し出せた者には褒美を与える。』


無言になる俺達一行は、とにかく街の調査をしなくてはと話し合う。

あと2日、時はない。



「あのユナ姫。俺に耳飾りをくれたデジブルで出会ったあの人じゃあないかなぁ。」

俺の小さな独り言は、誰の耳にも届かないまま。



傷ついた街中を砂交じりの風が通り過ぎて行く。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ