エルドの街に帰還して。
転移魔石の目標地点は街はずれに決めていた。
久しぶりに帰るんだから、街中を見てみたいとアナベルに頼んだ。
けど…
聞いてました。
確かに街中破壊の限りを尽くされ跡形もないと。
魔木達が細々頑張っているだけで、馬達が駆け回る草原すらないなんて。
エド達も唖然としたまま固まっている。
立ち尽くす俺達の元へ、突如数人の冒険者が駆けつけて剣先をこちらへ向ける。
誰?
知らない住人が増えたよとベルンから連絡は貰ってだけど知らない住人から剣先を向けられるなんて思ってもみなかった。
エドが一歩進み出て一言。
「お前達は何者だ。」
流石はエド。怒りも感じない落ち着いた雰囲気がいい。
よし!俺も落ち着いて。
「お前達こそ何者だ!ここら辺りは防御レベルが高い地域だ。侵入者はすぐに把握するシステムだ。それも知らないとは…まさか魔人か!」
おいおい、そりゃないぜ。
ため息と共に肩を落としていると意外に血気盛んなゼノンが怒気を発生。
「お前達。俺達を知らないとはお前らこそ侵入者だ!」
諍いの最中に、次の転移魔石でハロルドやナイゼ達が。
すぐさま、動物達も次々と転移。
おー大混乱が発生。
相手方も混乱してどうしていいか分からないみたいだ。まぁ、大勢で見慣れない転移魔石だからな。エドが収拾しようとしたその時!
「ラル!帰るならご連絡頂きたかったですね。
お前達、下がれ。
このエルドの街の所有者にして俺の上司。
ラルだ。エド。貴方が付いてながらなぜラルのこんなびっくり大作戦をやめさせてくれないのです?」
敬語とは。やばそうな雰囲気。
懐かしそうな様子から、驚き、怒り。最後はエドにジト目まで。
あっという間に次々変わる表情にベルンの衝撃を感じて少し反省する。
いや、びっくり大作戦とかじゃないし。
俺は街並みを見ようと。
どんどん駆けつけて来る仲間の様子と青白い顔が真っ白になりとうとう倒れそうな冒険者の様子に更に反省。
やっぱり『ホウレンソウ』って大切なんだな。
上司にあれほど言われたのに、馬鹿にして悪かった。
なんか混乱は俺の頭の中にも発生しているうちに、ベルンに連れられて地下街へ移動。
「なあ、ベルン。
アイツら怒らないでな。」
憮然とした表情のベルンは
「聞いてなかったのか。
あのなぁ。奴らに罰則は適用しない。何故なら充分な罰は受けたろう。既に気絶して運ばれてたよ。人はあまりに驚くと本当に気を失うんだな。
さあ、とにかく我が家へお帰り。
獣人国での秘宝探しや活躍は聞いていて本当に力づけられたよ。
流石ラルだな。」
最後は笑顔でお帰りと言われ、ここがやっぱり一番落ち着くとホッとする。
でもここどこ?
俺の知ってる地下街はあまりの変化振りに未知なる場所になっていた。
「ゆっくり案内するけど、まずは最大の秘密の場所へ。」
地下街は五層構造。
のはず??
どんどん地下へ降りる階段に驚きが増す。
今は、地下階段から魔石によるエレベーターもどきに乗って更なる地下へ。
エレベーターは地下何階か既に全く分からない程の地下で止まった。
扉が開いて更にびっくり。
地底世界だ。
本で昔読んだやつ。
森に街。そして光もあるこの世界はいったい…
「やはり、無意識でしたか。
ラル。貴方が地下街を作るときに何かしましたよね。思い出して。」
えーと。
そうだ。確か計算に失敗して地下街を、五層構造以上の深さに掘っちゃって。
あんまり深いからゴミ捨て場に。
空間魔法の中身で溢れたものや、要らないものを捨てて。
とにかく掘った土を凝縮して捨ててたような。
あっ。
魔木や万能薬の色んなやつも。
お試しタイプはとにかく捨てた気が…
「やはりラルでしたか。
この地底世界には最初から魔木による森やランパスと魔石クプスの合体によって光石も出来上がり
今の姿に。
大量の道具が揃ったこの状態を見つけた時の我々の驚き。
凄まじいものがありました。
折しも魔人来襲で次々と住人に増えて。
馬達の牧場も完全に破壊され馬達にはようやく寛げる場所となりました。
もちろん住いを失った人々にも安息の地となりました。
まさに神様からの贈り物かと。」
やばい。
ゴミ捨て場とか言えないじゃん。
しかし、人間は少し良く考えて生活しなくちゃな。
マチルダ達動物もキョロキョロして興味津々の様子。
とにかく、びっくり大作戦はベルンの方じゃん。
とツッコミをして、
「元々お作りになったのは誰ですかね。」
と更に敬語で返されて撃沈。
伝言では言えない沢山の話をしなくちゃ。
マチルダ達にも皆んな興味津々だからな。
ーとある病室でー
「あり得ないよ。ラル殿があんなに華奢な青年だなんて誰が考えるんだよ!!」
「マジ終わった。この街の住人でラル殿に剣を突きつけるなんて。
俺。やっと最近パトロール任されるようになったのに。」
「お前らなんかまだマシだ!!
俺なんか。エドさんにも逆らって。
あの人の特訓してもらったギルドメンバーはあの初期メンバーだぞ!!
尊敬する人として常に聞かされてたのに。
俺…エドさんにいつか特訓して貰うのが夢だったんだ。もう、完全なる夢だよ。」
呟きの止まらない冒険者達は翌日ラル達と会って別の意味で驚愕する事になる。




