ピンチ到来か?
「おい、聞いたか?」
「あぁ。15年前だろ。」
「今更だよな。」
「いつもの事だよ。タイムラグは起こるからな。
だが、勇者一行ではないし。」
「だから、何の為に?」
「それを調べるのがお前の役目だろ。
神殿側は、すでに動いてる。遅れを取るなよ!」
「はっ。」
ひとつの影が動いた。
トントン。
「ララ!悪いけど、手が離せないから出てくれ!」
「はーい。」
ララが出ると、ひとりの女性が眼鏡をいじりながら、立っていた。
「ごめんください。こちらは、ページェ料理教室ですか?」
「いいえ。」
「まあ、なんと若い先生ね。私、料理を習いたんです。よろしくお願いします。」
「あの、何かの間違いですよ。
ここは、ページェ料理教室ではありません。」
「先生。私本気なんです。どこへ行っても断られてばかりで、ここが最後の砦なんです。」
「だから、違いますってば。
なんで話が通じないのかしら。」
ララが困っていたので、選手交代だ。
しかし、ページェ料理教室って何だ?
こんな森の中にあるのか?
「お嬢さん。場所間違えてます。」
柔らかな声を心がけて話した。。
なんか、ヤバそうな匂いがするからね。
「まあ、校長先生ですね。は、初めまして。私、プリモナと言います。よろしくお願いします。」
勢いよく、頭を下げた。
はー。
やっぱりだ。ヤバいヤツに決定だ。
もしかして、新手の押売りなのか?
「プリモナさん。帰ってくれ!」仕方ない、強めにと。
「はー。ここもダメなんてどうしたら。
もう私には帰るところがないんです。
両親にも見放されてるし。本当にどうしたら。」
あーー。泣き崩れるとか。マジかよ。
結局、中でお茶飲んでもらってる状態になった。
「おい妖精。どうだこいつは?」
「普通の人間よ。悪い人ではないわ。」
ホワンが肩に乗って囁く。
「そうか。」
「私はこの通り、早とちりで中々上手くいかないんです。料理習ってお店を出してと、夢だけはいっぱいだけど。」
「ところで、あんた。
なんでさっきから眼鏡ばっかいじってるんだ?」
やたらといじるから気になってたんだよ。
「この眼鏡をかけても上手く見えないので、せめてガラスを拭こうと思って。」
「ちょっと眼鏡を寄越せ。」
プリモナが眼鏡を差し出す。
方向が全く違って、誰もいない方にだけどな!
この世界では、眼鏡はかなり遅れてる。
ガラスの製造技術が本当に遅れていて、もちろん眼鏡なんて高価な品物だ。
だからこそ、余計気になった。
手にとって、ため息が出た。
こりゃダメだ。全くの単なるガラスの眼鏡。
なんの効果もない。
ただ、汚れてるだけ悪いくらいだ。
そうだ!
眼鏡を直して、帰って貰おう。
見えないから、勘違いが続くんだよ。
きっとそうだよ。
よし!!
無詠唱で眼鏡を直してっと。
「あの、なんで眼鏡を?」
「あぁ、ちょっと直そうと思ってな。
そら、どうだい。」
眼鏡をかけた格好のまま、固まったな。
えー、名案と思ったんだけどな。ダメか。
「あ、貴方は、な、何者なんです?
こんな事が起こるなんて。こんなに見えるなんて、あり得ないわ。
私のこの眼鏡は、世界にも珍しいもので滅多に製造出来ないものですか。
な、なのになんで。
私、本当は見えてませんでした。
高価な眼鏡を貰ったから掛けてましたけど。。
い、今は。。。
あり得ないーー!!!
世界が、光ってるわ!!!
明るくなって、はっきりしたわ。。
こんな。こんな。。」
あー。やったな俺。
面倒だと思って、うっかりハズレ籤引くヤツだ。
はー。
その後、プリモナを説得したが、上手くいかない。
意外と賢いプリモナは色々な事を知っていて、本当にヤバい事態が発生してるし。
「もしや貴方は異名をお持ちでは?
今、王都では本神殿の巫女様のお告げの話で持ちきりなんですが。、
それは。。
異名持ちが、転生したと。。」
。。。本当にピンチだ。。。