秘宝を求めて砂漠へ。
『今回はありがとう。砂漠に貴方を待っているものがいるわ。見た目に騙されないでね。』
会議室でうたた寝をしていた俺は、何か夢を見ていた気がした。
ハッと目を覚ますとエドのため息とハロルドの鋭い視線に姿勢を正す。
そろそろ、結論が出たみたいだな。
「ラル殿の能力に偏に寄りかかり、物資支援を始め秘宝奪取も。
我々自身の能力を活かす事なく終わっています。
ですから、今こそ地下道捜索に我々の力を結集する時です。
三ヶ国の精鋭のリーダーとしてバイロン殿を推薦します。我が国からドルー。鷹族からはライナス。それぞれが部隊を率いて魔人の狙いを突き止めたい。ラル殿いかがですか?」
三ヶ国の同盟はすんなり決まったみたいだな。
土竜族も案内にライデン殿自ら出るらしいし。
反対意見もなくこのまま決まった。
更に報告は続く。
「デジナブルが一晩で草原に変わった件はやはり秘宝を守る為に大地のエネルギーがかなり使われていたと結論付けました。
また突如現れた大木は、過去視の場所と特定。
現在見張りを立てて警戒中です。」
獅子族の兵士の報告だ。
「我々は、転移魔石の力を借りつつ砂漠の調査に乗り出しました。あのハッキリとジオラマに出来ない場所を中心にあちこちに飛んでは更に詳しいジオラマや地図を作成しています。
とにかく、砂漠は厳しい場所。
もうすぐ、全部部隊が帰着した報告があるかと。」リーヴァイからの報告。
いや、すっかり部下に加わって。
鷹族からも何かあの儀式を頼まれましたよ。
はー。忘れたい名前が何度も。
「それと我が国と親交のある『プラヌス』へ連絡を取っていますが全く返答なく心配しております。我が国同様魔人の来襲を受けてはいまいかと。」
そう、海月族は『タヴィス』のごく近くの高山にいるらしい。
らしいという言うのは、鷹族でさえ連絡はあれど入国は許さないとか。
待ち合わせ場所で会うのみらしい。
「ここで俺から提案がある。どの国に魔人が現れるか分からない現状では避難さえ難しい。まずは各国の住民に、緊急連絡をする方法を探して欲しい。そして、緊急時の対処法について各村や町毎に意見を取りまとめて。
土竜族の地下道や、逆に人族への避難も視野に入れるくらいの大胆な方法がいいと思う。」
「ラル殿。
その事でしたら、既に取り掛かりラル殿の防犯鳥を改良しました。
緊急連絡鳥。名前はセンス無しですがこれを各村や町に設置。魔人の来襲の際に避難する場所を連絡出来ます。
村や町でも、食糧や薬の備蓄に努め避難隊を編成。各部隊もこの組織編成に合わせて展開する訓練を始めています。」
ネイサンの報告。さすが参謀長。
任せて安心だな。
その後、俺たちは砂漠へと出発した。
メンバーは俺・エド・ハロルド・リーヴァイ(鷹族)・コーティ(狼族)・アナベル(獅子族)そしてゴウライ(土竜族)だ。ゴウライは、ライデン殿が是非にと推薦した者だけど無口が凄すぎてまだ音らしきものを聞いた覚えがない。
作戦はとにかく砂漠に数日滞在するのを最大目標とする。
この世界には砂漠を旅するものはない。
だから、俺が前世の浅ーい知識を使ってとにかく拠点作りだ。
それから各所に飛んだ仲間達が活躍する報告を聞きながら、砂漠で過ごした。
拠点作りは大成功で地下の空洞を探してそこに拠点を作った。温度差の激しい砂漠ではこの方法が的中した。
したが、一向に秘宝捜索は進まない。
詳しいジオラマを何度も見ては、靄のかかった場所へと向かう。
だけど見晴らしの良い砂漠が続くばかりで何もない。
リーヴァイに上空から見てもらうとやはり靄かある。
このチグハグな状況を打開する方法もないままで
重大な報告が来た。
「地下道に魔人出現。
ラル殿の秘策を持って対抗中。
ですが魔人の毒が地下道に広がり犠牲者が続出中。」
仲間達に動揺が広がる。
特にゴウライが直ぐにでも駆けつける顔で食い入るように聞いている。
恐れていた事が。
ジェルドからの報告がなければ、打つ手がないところだったが。
「安心してくれ。
エルドの街から、魔人の毒素に対抗する薬の作成に成功したと報告があった。
転移魔石で飛んで届けてくれ。」
直ぐさまハロルドとゴウライを地下道へ。
もちろん、ジェルドから薬を受け取ってからだ。
俺は残った。
今、砂漠を離れれば二度と秘宝への道は開かれない。そんな気がした。
それに気になっている事がある。
あの靄の場所にある岩が、何故だか気になる。
昨日見たら、あの岩…笑ってたような…
微かな声も。
『儂に気づくかな?ボンクラ揃いだが。』と。




