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起きてみたら。

あれから丸一日経って目が覚めた。

とは言え、寝た事すら記憶にないほどの疲労感だった。

体力に差のあるライナスとドルーコンビはすでに動き出していて俺は、起きたての顔のまま会議室へ呼び出される。


「おはよう。いやライナスとドルーは、凄いね。今回はつくづくと獣人の体力の凄さを感じたよ。」

飲み物片手に会議室へそう言いながら入ると、深刻な表情の皆んなが待ってて、俺の発言が痛い雰囲気を醸し出す。



「すみませんお疲れのところ。実はあの「消えない炎」は偽物かもしれないのです。」

と、ドルー。



なんですとーー!

いやあんなに苦労して、マジかよ。


「何を持ってその結論?」固い声色になる。

確かにあの時、ブースター代わりに使った筈。

納得いかない。


「何をしても変化なしで使用出来ないからです。

分析しようにも、魔力には一切の反応はありませんし。我々は間違えたのでしょうか?」

ドルーの耳がへたる。

余程調べたのか、皆んなの中には確実に失敗感が漂う。


躊躇いがちにゼノンが俺に「消えない炎」を差し出す。

受け取って眺めるが、取った時と比べても変化は特になし。

よし、とにかく試しに軽く炎を出してみるか。


イメージは花火っぽくと。手の中の風鈴型のそれを握りしめ手のひらをパッと開く。


ドドーッン。

手のひらから火柱が立ち上り、真上の天井も屋根も丸い穴空きになった。

さ、最上階で良かったよ。

肝が冷えた。


しかし花火の予定だったのに、手加減はどこへ行ったのさ。


「誰かいるか!怪我した人が側にいたら報告してくれ。」一応返事はない。

固まる周りをほっておいて、空間魔法で材料を出して「建築」で修理開始。


「なんで。どんなに頑張っても一つの変化もなかったのに。」騒然とするドルー。


「仮説ですが、この『消えない炎』は使う人を選ぶのでは。」とゼノン。

周りの皆も頷く。


「どうした!何があった?」ドアからバイロンが飛び込んでくる。

当たり前か。ここの責任者だものな。


「ごめん、室内で実験して穴がね。直してるから。」

ちょっとサービスつけといた。魔石混ぜて防犯用の屋根に。


「いや、怪我人がなければいいが。」

その時、耳飾りが音を立てる。

もしかして。


。。

実験終了。

それから外に移動してバイロンも同じ実験をしたら、同じく使えた。(俺のような手加減なしではなかったが…)

この国の代表だからだろう。と結論。

とにかく偽物疑惑は晴れた。


「しかし、使用方法によっては凄い威力で危険だよ。使用者が指定で良かった。万が一盗難にあっても不安はない。

ラル、寝起きにビビらせて悪かったな。

俺たちも何だか焦ったんだよ。

さて、この後二つばかり報告がある。こっちに来てくれ。」エドの一言で別の部屋に。


「これは、ライナス殿がこちらに戻ってからすぐ、制作したものだ。

なんでも、あの絶壁に描かれていた「絵」をジオラマにしたものだとか。」


エドの指差す方を見ると巨大なジオラマがあった。


砂漠だ。


獣人国と人族の国の間に広がる広大な砂漠。

転移魔石が無ければ我々は出会う事もない。

それほど巨大で越えられない砂漠のジオラマ。


「これを見て欲しい。これはライナスの片手落ちではなく、地図が霞んでいたとライナスは言うんだ。どう思う?」

砂漠なだけに目立たないが確かによく見ればおかしい。

「しかしあの切迫した中で絶壁に描かれていた地図をよくぞジオラマ。本当に凄い能力だよ。」


エドの横にいるライナスが嬉しそうに笑う。

鷹族の目の能力は、本当に大変なものだ。


「指摘された場所は、意味深なものに見えるよ。」俺が答えると数人が頷く。

同意見か。

「まさに、これは直線上だろ。」とエド。


三ヶ国のうち、ボロゾアが真ん中で左右にデジブルとダヴィスがある。そして人族に一番近いのがかボロゾアだ。

その直線上に指摘の霞む部分がある。

この場所にオアシスが存在すれば、過去に行き来があったとしても不思議はない。


「それ以外にもまだ発見がある。さあゼノン発見を報告してくれ。」

エドの一言でゼノンが一歩進み出る。


「これはまだ調査段階ですが、この三ヶ国のジオラマを見ていて発見した事があります。

詳細は少し省きますが、どうやら三ヶ国の地下に道が通じてるようなのです。

今、確認のためにイーデン殿が調べに行かれてます。」


お、スッと省いたね。

ゼノンの性格からすると確認後に発表したかったんだな。しかし、地下道とは。

本当に存在するとなれば大発見だが。


「た、大変です。地下道にて戦闘が発生した模様。応援を出していますが、イーデン殿。行方不明。」伝令が飛び込んできた!


発見に喜んでいた皆んなを一瞬で凍りつかせて、伝令は去る。

あれほどの使い手が行方不明とは。

地下道は、魔人の領域なのでは。

苦い思いを胸に現場に出向くための準備を進める。


青い顔色のゼノンがボソッと呟く。


「俺のせいだ。俺が不用意な発見をしたばかりに。」


叱ろうと振り向く前にナイゼが声をかけていた。


「あのイーデン殿が遅れを取ったのだ。それ程の危険がこの街の地下にある。それだけでも発見の意義は大きい。

それでも自分のせいだと思うのは、驕りだ。

イーデン殿とて秘宝特別部隊の一員。ましてやデジブルの重鎮。

発見も調査も同じく重要だ。

あのイーデン殿の事。必ずや無事だ。」


無口なナイゼの長い掛け声に少し驚きながら先を急ぐ。



魔人ならば、今こそ『消えない炎』の威力が発揮される時だと握りしめていざ地下道へ。



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