デジナブルへ到着!
デジブルの一番西側の端に位置するデジナブル。
あっけに取られる程の何にもない荒野かな。
草まであまり生えてないゴツゴツした土地に数十軒の家が立ち並ぶ。
バイロンの案内で、村長さんらしき人の元へ。
「いや、聞きません。」「いや、知りません。」
ロボットか!
いくら聞いてもこれか?
もうこれは聞き込みなんて言うものでない。誰もかれも素っ気ない風な返事ばかりで。
「あの、もしかして早とちりでは。」
。。
ナイゼに言われて振り返ると、付いて来た皆んなの気持ちを弁護したみたいだな。
そんな皆んなを置き去りにして、俺はダッシュで村外れまで来た。
自分の空間魔法で持ってきた様々な物体を出して並べた。
気おくれして、俺をただ眺めるみんなを背にあっという間に一軒家の完成!
「まあ、入ってくれ。」
中に全員を促してテーブルにつく。
「あと三日欲しい。
全員が知らないなんて、ちょっと当てが外れたけどまだ周辺の捜査もしてない。
異変のある場所や物。様子の違う土や砂。
そんな物を探してみてくれ。
因みにこの家は、全員の泊まるキャンプみたいなものだから。」
それだけ言うと、全員を手分けする。
周辺の土地の調査隊。
天文学チームには重なる地点調査隊。
村人に過去の村の歴史を訪ねる調査隊。
俺は、サーチで辺りの調査に赴く。
実は、魔球から降りる前にポツンと建つ家を発見したからそこへと向かう。
エドが勝手に付いてくる。
村から数キロ離れた場所に、確かに一軒家がある。
あるが、かなり昔に人がこの家を出て今は無人のようだ。
すぐにドアに手を掛けたところで、エドが手を掴む。
ん?
何で入っちゃダメな訳?
「罠かもしれん。お前ら先に入れ。」
ガードに声をかける。
そんなの。ガードだって危険は同じじゃん。
文句を言う俺に
「あのな、それがガードだから。それに俺とお前がいて助けられない罠なんてないよ。
心配そうな顔するな。彼等もかなりの実力者だよ。」
ガードが家に入って数分後に
「誰もいませんし、中にはとくに何もありません。」
と言って出てきた。
そんな筈はないよ。
さっきから鈴の音が聞こえるだろう。
え?俺だけなのか?
首を振る皆んなをほっぽって鈴の音を追いかけるように中に入る。
音を頼りに家の中を進むとボロボロの居間に出る。
壁の真ん中に絵が掛けられている。
あ!
この絵の中からだ。
チリン・チリンって音がするし。
そう言って振り返ると全員が青白い顔でしきりに首を横に振る。
「はっきり言うぞ。俺たちには鈴の音も絵も見えない。そこには何もない…」
エドにしては最後の声が小さい。
聞こえないよ。
エド。
えーー!!
振り返ると誰もいない。
いや、居ないだけじゃないよ。
家が新品になってるし!!
「大変だ。
また魔王が現れるみたいだ。」
お?いつの間に男性が?
厳ついその姿は、見慣れないヨロイらしき物を着ていた。
「俺たちの封印を破ってか?
無理だろう。あれほどの封印は。」
な、今度は神官ぽい人が来た。
しかし、封印って?
「封印の鍵は、秘宝に隠したから誰にも知られない。安心しろよ。」
おー、今度は獣人だ。獅子族みたいな?
「ねえ。誰かに伝えなくては。魔王を甘くみてはダメよ。」柔らかな声の主は長い髪の狼族の女性。
誰も俺には気づかない。
まるで見えないように。
新品の家。
見えない俺。
。。
ここはたぶん。
その時、女性がクルリと振り向いて突然俺と眼を合わす。
『ねえ。時を超える者よ。
秘宝『消えない炎』は封印の鍵。
魔王は倒さない。必ず封印するのよ。
取り出し方は、重なる光に向けて等しい力の光魔法と闇魔法をぶつけ合うの。
その時、重なり合う場所に入り口が出来る。
中は鍵が創り出した別の空間。
但し、人は丸一日しかそこに留まれない。
必ず忘れないで。
それから、鷹族を必ず連れて行くのよ。
そこに答えがあるから。
高橋桃次君。
我々の未来の子供達をお願いね。』
振り返って目が合ってから、俺の身体は一歩も動けずにいた。
ただ彼女の瞳を見つめ続けだんだんとボンヤリ霞む景色に声も出せずにいただけ。
パチン!
何かの割れる音がして、身体の自由が戻った事と今までいた空間から飛び出た事を知る。
家の魔法なのか?
太古の魔法なのか?
呆然とするエド達は何もない荒野に立っていた。
「ラル!!
お前は今までどこにいた?
それより、今まであったあの家はどこだ。
俺は今その家の壁を触ってたんだぞ!
なあ、あり得ないだろう。
今触ってた家が搔き消えるなんて。」
見た事もない不安げなエドの肩を叩いて笑顔で答えた。
「な。俺は秘宝のヒントを手に入れたよ。
さあ、急いで皆んなの所へ帰るぞ。」
俺は、ただの荒野になったこの場所に種を取り出して蒔く。勿論あの肥料付きで。
たぶん、マークしなければ二度とこの場所に来られないそんな予感がして。
みんなを促して俺の建てたあの家に戻ろうとしたその時がガードのひとりに声を掛けられた。
「あの。いつの間に耳にピアスを?」
耳を触って驚く。本当だ。
鈴の可愛いらしいピアスだ。チリンと音も聞こえる。
確かあの時…あの人の耳に…
あの女性が笑った声がした気がした。




