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ベルンのケジメ。

王都に向かう道すがら沢山のヒモがついたと気がつく。

そんな余裕はどこにあるのか。

組織は壊滅的打撃を受けたと聞いているのに。

これまで当たり前の事に、疑問が頭に浮かぶ。

これまでの人生で初めての疑問は、ラルとの出会いだったかもしれない。

盾の勇者として生きてきた。

だが、それ以上に本来の姿は。

俺の生きてきた道の先にこんな事があるなんて人生は摩訶不思議だ。



ヒモ達の動きを撒いて、森の中で小さな魔力を解き放つ。

体力強化の魔力は、我々盾のポジションでは必ず必須。それなのに誰もついてこれない。

やはり人手不足。

抱いた予想を確信に変えて先を急ぐ。

叶うならば。


初めて抱いた希望を胸にあの人に今一度会おう。



王宮には、沢山の近衛隊が取り巻いていた。

周りの住人達に刃は向いてはいないが、かなり切迫しているのだろう。


いつもの道へ入る。

罠は・・一応無しか。

歓迎ととるべきか、飛んで火に入る夏の虫なのか。



真っ暗な地下道から上部への階段に足を掛ける。

カチッ。

刀の音をさせるとは、わざとか?

奴がやる気なら今頃首は飛んでるが…


「お帰りベルン。

で、いいのかな?まあ、あの人が会うって言うからな。着いて来い。」


ドアの向こうは、表舞台。

そして俺の上司の。


「陛下。ベルン只今戻りました。」

自然と首を垂れる。その威厳がこの人にはある。


「ふふ。お前に『異名探し』を命じて早数ヶ月。

ずいぶん時間がかかるではないか。」

全てを理解してこの様な言い方をする。

いつものやり方だ。

だが。


「私は、今回の任務に失敗しました。

命で贖う決まりの間者組織ですが、私は離反したいと思います。」


素早い。

アレッサの刀は、もう俺の首元に。


「刀を引け。

この者の身は、既に私の物に非ず。

落ちたな。

それほどの者か?

ラル、いや『備蓄の守護者 ランドルフ』は?」


やはり。

既に全ての手の内はバレている。

この方に最初から隠し事など出来まい。


「私はこの名を捨てたいと思っています。

しかし、これまで忠誠を誓った身の上。

ここまでの命なら諦めます。

しかし…」


この先は、彼等の知らない生き方の世界。

ラルの見せてくれた新しい世界の理解は難しいだろう。

ジリジリと殺気を強めるアレッサ。

覚悟とは別に身体は震える。

帰りたいと。


「やめよ。

この者は、今よりこの世にない者。

ベルンの名を捨てる事だけは許せぬ。

だが、私のもとより離れる事は許そう。

小さき頃より見てきた其方が、これからどう生きていくか見てみたいのでな。」


それきり背を見せると部屋を出て行く。

アレッサの「陛下!」の叫びにも振り向かず。


「私は許せない。共に陛下に忠誠を誓ったお前の決心を。だが陛下のお言葉は絶対。

去れ!

そして二度とその顔を見せるな!」


あり得ない陛下の決断に、強張っていた身体はアレッサの怒声に我に返って動き出す。

絶対に戻れないと、本当は覚悟の上だった。




「陛下!何故です。あの者は陛下の懐刀も同然の者。幼き頃より目をかけられて。」


「アレッサよ。

其方もまだまだだな。あの者はすでに別人よ。

すでにベルンはおらんのだ。

あれはランドルフの元におるのがよい。」


そのまま、アレッサの問いかけには二度と答えなかった。

許したのか。

後で駒として使うのか。




だが、この決断は後に大きく運命を動かしていく事になる。

ドウェイン陛下の運命を。



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