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新しい関係は?

改めてこの世界の事を考え直してる。


獣人の国。

そしてその秘宝。

狙う魔人。

四天王のゼラ。



来る困難に立ち向かうのが今まで。

でもそれではどうしても後手に回る。

今、組織編成をする時だろう。

そして情報の集約がカギとなる。

そこの所は変に前世の会社に似てるな、なんて考えていたらアナベルが呼びに来た。

なんでも、獣人一同より話があるらしい。


長い廊下を無言で歩きながら、そう言えば怪我して以来あまりバイロン達に会ってないと思いつく。

たぶん補充関係の話だろう。

なにせ街の破壊がかなり酷いとベルンから聞いたしな。


この「デジブル」の大会議場に皆んながいるらしい。

大勢の気配に首を傾げる。

な、何?

獣人の大集会なんて俺は部外者なのになぜ?

正直、参加したくない。

(なんか文句言われそうな。)


漫画で見た大広間的長い部屋には、入りきらないほどの獣人が並んで立っていた。

最後尾は見えないよ。


バイロンとドルフが横並びしてる最前列に手招きされた。

無理!

なんであんな前に。皆んなに見えるじゃん。

嫌がる俺をアナベルが無理矢理連れて行く。

す、凄い力だよ。やっぱ獣人にゃ敵わない。


ズルズルと中央に連れられて立たされるとバイロンとドルフが一段下がる。

えっ?


ザッと一同が跪く。

それは現実離れした風景。

獅子族と狼族が一斉に跪く風景とか、冗談みたいに思える。


先頭のバイロンとドルフが話し出す。


「我らの救い主よ。

この度の血と命をかけたラル殿の行い。

ただ、我ら感服あるのみ。

ここに我ら一同は、忠誠を誓うものなり。

獅子族代表バイロン。」

「狼族代表 ドルフ。」


静まり返った広間は呼吸音すら聞こえない。

心からの証なのか、あのイーデンも厳粛な顔で俯く。


こりゃ、どうすれば。

仲間はいないし、困った。


「ラル殿。どうぞ真名をお教え下さい。

我ら一同、その真名に賭けて血の忠誠を誓う者です。」


もう、真名とか。

忘れたいあの名前?血の忠誠を誓うって何?


「獣人族の忠誠は永遠の証。

真名以外は、受け取らない重きもの。

さぁ、ラル。受け取るまで幾日でもこのままらしいぜ。」いつの間にエドいるし。


「エドさんを見届け人とお願いしました。

彼の血もまた我らの大地に染み込んだ。

さあ、覚悟を決めて受けて頂きたい。」

バイロンの声に決意の固さを感じる。


「高橋 桃次。その名に於いて皆様からの誓いを受けます。」

いや、ちょっとヤケ気味です。

忠誠とか。

どうしよう。


「「「「おおーーー!!!!!」」」

広間が割れんばかり大声に包まれる。

揺れているかの様に広間は歓声に包まれ、獣人の喜びが溢れたのを感じた。そう何か繋がったような。


「ラル。獣人の忠誠は受け取られなかったら(獣人達の)死を意味するらしいぜ。

受け取って良かったよ。

ほら、揉みくちゃにされる前に出るぞ!」


優勝の瞬間みたいな興奮にいる獣人に恐れをなして逃げ出す。

仲間達のいる部屋に着いてやっとホッとした。


「聞いてくれよ。獣人がさぁ。」

ここまで言いかけて何か様子がおかしいのに気づく。

「ラルよ。わしらも獣人と同じ事を考えておるのよ。リーダーとは言え、全てはラル任せ。

これでは組織ではないと。

忠誠の誓いの言葉儀式とかは、分からんがキチンとしたチームにする為にも組織編成をせねばな。」

御大の言葉にハッとする。

先程考えてた事だ。


「まずは私から。

元神官でその後冒険者として生きていました。

プリモナ様の育成を任され喜びとしていましたが、すでに巣立ちの後。

もう、若くはない私ですが色々と経験を踏んでいます。

良ければ、このまま財務関係を担当して支えて参りたいと。

ラル殿に仕える事を望みます。」とハロルド。


「続いては私で。

神官親衛隊として、キアラ様為に近づいた間者であるにも関わらずギルドセンターの責任者にして頂きました。

しかし間者だった事実は変わりません。

出来れば、間者組織を編成して一隊員としてエド様の下に就きたいのです。許されれば。」とグレタ。


「次は俺です。

単なる薬草販売の中年男の命を救い、薬草研究所まで。薬草しか取り柄はありません。

このまま薬草と共にお役に立ちたいと。」とジェルド。


「私は余りに力不足です。今回つくづくと実感しました。何か役に立てればいいのだけど。」とララ。


「わしは、あくまで商人。老人の知恵もまあ役に立つだろう。あのエルドの街の商売は任してくれ。人生で唯一の利益の望まない活動をするとしよう。命の恩人にな。」とルルドの御大。


「俺は秘密がある身体だ。

清算をしなきゃ仲間になれない。その後で必ず。

今言えるのはそれだけだ。」とベルン。


「俺は前にも言ったが真っ暗な経歴しかない。

だが、再び得た義足共にラルの横に在りたい。

ただそれだけだ。」とエド。


「この7人を要として組織編成はすべきと勝手に考えた。

さ、わしらの考えは一応押し付けた。

ラルよ。わしらはお前さんに全て従う。

わしらの心も受け取って欲しい。」



7人はそのまま跪いた。御大まで・・

なんで今日はこんな事に。


しかし考えてたばかりの組織編成の話をふられ決心は固まった。

柄じゃないとか、めんどくさいとかは無しだ。

ちゃんとリーダーやらなきゃ。


「では、皆さんに組織の役割分担を命じます。

財務関係 ルルドの御大。

街のお金を全てお願いしたい。


商売関係 グレタ。但し相談役として御大。

間者で鍛えた目を生かしてもらいたい。


間者組織の編成は、ベルン。

出来るよね。経験を生かして欲しい。


そして、ギルドセンターは、ハロルド。

経歴の活かせるポジションと思います。


医療全般は、ジェルド。

研究所はこのひとつ。それだけだは不足しています。複合的に進めて下さい。

下にもっと人材登用することをお勧めします。


備蓄管理はララに。

将来的にはあと3人も戦力として。

俺の備蓄は少し規格外だけどララならきっと。


その他の街の担当リーダーも決めます。

そして皆んなの力を借りて魔人に対抗する力を持ちたい。」


決意のこもった目が返事の様に戻ってくる。

希望とは違うけど、この人事で大丈夫だと思う。


「俺は何を?」と不安そうなエド。


「もちろん、参謀長だよ。片腕頼んだよエド。」


御大が頷く姿が見える。

今一度街に戻って、秘宝集めからスタートだ。

あれこそが魔人の真の目的なのだから。



それから、しばらくして一旦エルドへ戻った。

今、エルドの街にベルンの姿はない。

本当の姿になって戻ってくれるはず・・・



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