ボロ家の改築開始!
廃虚決定!
人がいたなんて、信じられない有様だよ。
道理でバラーエルさんがサッサと、譲渡契約書をくれる訳だ。
これがお礼の品なんだから、急ぐよなそりゃ。
屋根も穴だらけとは。
小さな納屋があるところを見ると、農夫が開拓しようとして、逃げたな。。
さっきから、魔獣の気配が多いなぁ。
まず、農夫では太刀打ち出来なだろう。
探索魔法をかけて様子を見たが、
魔獣のランクは、B〜Cクラスってとこだな。
もし、
ギルドに依頼するとなると、冒険者のランクはBB以上は必要になる。
まずは、経費が掛かり過ぎてこの森は、放置されてた訳か。
笑顔で「エルドの森も、是非!」となる訳だ。
バラーエルさんも商人だね、食えないよ。
○エルドの森。
○そこにある家一軒。
を譲渡して、売買契約書も解消してくれた。
帰りには、速攻で逃げてった。
いい物を貰った。
俺のチートがようやく存分に使えるな。
さーてと、
この廃虚を変身させるか!
いよいよ貰ったチートの本領発揮だな。
俺のチート。その名も!
「創造!」
いやー、聞こえはいいんだけどね。
厄介な条件付きだった。
まずは実行あるのみ!
廃虚から取り掛かるぞ。
まずは室内から、イメージを大切にして。
掃除用品。
塗装。腐食防止加工道具。
新木材と、その他諸々と。
よし!行けー。
『創造!』
一気に床の上にペンキなど大量のDIY道具が積み上がった。
そう…俺のスキルの条件は、
「だいたい。」だってさ。
最初は、何これって感じ。
全くの意味不明だったから、何度も試してようやく理解出来た。
ま、よーするに、
材料は幾らでも「創造」で作り出せるけど、
作業は自分でどうぞと、言う事らしい。
薬剤や、食料だって出てくるのは、
「種!!」の状態とは。
正直、ドン引き仕掛けた。
育てるのは、自分でだってさ
これ。。チートかぁ?
まぁ、ゲームのスキルを転生した時に引き継いだから何とかするけどね。
と、言うわけで。。
生産職のスキルの登場だよ。
「建設!」
うーん。
生産職のスキルを育てて良かったよ。
しっかし、ゲームでは一瞬で何でも出来て当然って思ってたけど、現実になって自分が体験すると本当にびっくりだったよ。
出来上がりまで、はい!一瞬。
生産職 バンザイ!!
室内は新品に完全交換して、見事な展示場の部屋の完成かな?
新しい木材と古い木材のコラボレーションが、見事な味を出して、床は暖かな木材を使用。
これなら、裸足でOKだな。
なんせ元日本人だし。やっぱこれでしょ!
最後に見たイメージが、高級マンションの展示場だったんだな、確か。
テーブルは一枚板で、しかも何かツルツルする素材だね。
百日紅とかに似てる。
あれ…めっちゃ触り心地いいんだ。
憧れてたから、テンションが上がるな。
良い椅子だけど8脚とかちょっと多過ぎだな。
展示場用の数だよ、これ。
台所が大成功してるよ。
おー、大理石いいね。
しかも、まさかの冷えないタイプだし。
この世界なら色んな石があるしな。
水道の蛇口はあるけど、水は出ない。
まずは、下水道工事しなけりゃだな。
台所と居間の境は、無しか。
元廃虚なんだから、この程度から始めるんで満足ってとこだな。
さて、空間魔法でしまっておいた食料で昼ご飯にしなくちゃ。
午後は外観の修理からだな。
まずは、屋根だろ。穴あきじゃ雨降りでアウトだからな。
俺は、農家の両親の目を盗んで溜めた森から集めた食料でホットケーキを作った。
シロップまではまだないけど、好きなんだよね。。
あぁ甘いいい匂い〜。
食器戸棚も高級マンション風イメージで今風に作ったけど、中身はまだ木の皿のみ。
「いただきまーす!」
旨い!!
んー。最高の昼メシ。
「おーい。そろそろ出てこいよ。
隠れても無駄だ!」
知らぬ振りも、もう限界だ。
この廃虚には、どうやら先住民がいるのは分かってたから。
何たって、気配がダダ漏れだから。
「に、人間のクセに、どうして分かったの?
私達、妖精が見えたりする人間なんて…知らないわ!」
手のひらサイズの妖精だ。
あー、家の精かあ。
こんな廃虚で、よくぞ保ったな。
この手の精は、家が潰れると消滅が決まりなんだけどな。
「ちょっと!何か言いなさいよ!」
何かって?
ぐぅーー。
「お、お腹の音とかじゃないから。
私は、妖精なんだから、お腹とか空かないし。
ち、違うから!」
バタバタしてるけど、ホットケーキを妖精に向かって差し出したら、ホットケーキに飛びついた。
おー、妖精らしさ0%だね。
もう、何なら馬乗りで食べまくりますって感じか?
あっという間に完食で、こっち見た?
「あのー。」
「あのーー!!」
「はい。なに?」
「け、け、契約。」
「間に合ってます。」
「だって、この家の住人なら。。必要なのに。。」
身体中ホットケーキだらけで、落ち込まれてもな。
妖精との契約は、沢山のメリットがあり普通なら喜ぶし、家の妖精なら住人に守護を授ける事も出来る。
だが、俺のチートとゲームスキルでだいたいは、解決だしな、正直めんどくさい。
あ!泣き落としか?
はーー。しょうがない。
「では、名前を教えて下さい。
俺も、教えます。
た・だ・し!!
絶対に!!人に俺の名前を言わない事!!
俺の名は。。」
「わ、分かったわ。
では、家の妖精 『ホワン』の名において契約を結ぶ。この家と『高橋 桃次』を守護するものとする。」
あー、
久しぶりに聞いた自分の名前。。
いやね、今世の両親のくれた名前がないのよ。
驚いたね。
三男って呼んだから。。
ものすごーく不本意だけど、前世の名前が自分の名前らしい。。
はー。やっとこの名前から逃れたはずなのに。
ホワンがあまりに汚いので、水の確保が先となる。
抗議の声は無視して、ゲームのスキル「サーチ」をかける。
北東方向に川と、南東方向に水脈を発見した。
さて、どちらが向いてるか。
結局、北東方向は魔獣の巣があって面倒なので、水脈を掘って井戸に。
生産職のスキル
「下水道工事!」
いや〜役に立つとか考えないまま、いろんなスキル持ってて良かった。
50メートル位下の水脈から井戸を作る。
その井戸を地中の管に流して我が家へ。
管用の石は、「採石」「加工」のスキルで完成した。
台所の蛇口から水が出た時は、感動したよ。
やっぱ、水は大事だしね。
家の周りに、魔石を埋めて今日のところは終了。
警戒は、魔獣のみ。
人間対策は、取り敢えず後でするとして、
とにかく、寝床の確保で今日は、満足。
おやすみなさい。
「変な人間。。
でももし桃次が来なかったら、今日中に消滅してたわ。
契約も中々してくれないケチなのに。
妖精に、ご飯くれるなんてホント変わった人間ね。
あぁ、
ホットケーキ大好きになりそう。」
寝ている桃次の横で妖精は、呟く。
千切れかけてたピンクの羽も、今は元通り。。