プリモナの事情と、獣人代表との出会い
「では、お話を伺いましょう。」
ハロルドは、怒ってるのね。
幼い頃から聞き慣れた声の強さに思わずため息が漏れる。
こんな事、正直望んでないのに。
あの頃なら、違ったかもしれないけど。。
「いえ、特に申し上げる事はございません。」
キアラに仕える確か。。
「これは異な事を。貴方がキアラさんかな?
違いますよね。」
「お、お名前でお呼びするなど失敬な!」
割って入る気持ちは理解出来る。
出来るけど、ハロルドには絶対逆効果だと。
「ほう、単なる逃亡者集団が何を。神殿でも全く相手にされず、ちゃんと人々を守る予言も出来ず。
ラルさんがいなければ、間違いなく命すら危うかった輩が何を。」
やっぱり、心をへし折る怒り爆発中だわ。
何かフォローを。
「やめて、ハロルド。キアラ達でなくても今回の魔人襲来の事は防げなかったと思うの。
ラルさんが今、獣人の国に行ってるのだって予想外でしょ。」
「プリモナ様!!」
「「「えー。じ、獣人?」」」
何か不味いかも。えーと。秘密だったような。
あ、ハロルドのため息なんて久しぶり。
やっちゃったかな?
「はー。プリモナ様が仰ってしまいましたので、仕方ない。お話します。
そう、ただ今彼らは獣人の国に他の魔人を倒すべく出掛けています。
この世界に何か起きてる。
ラルさんは、そう考えているようです。
しかし、この話は別の事。
キアラさんの姉君にあたるプリモナ様は、本来なら巫女姫様となるべきお方でした。
たかが、視力が少し悪いくらいで神殿の隅に追いやり、ましてや追い出すなどと。
許せません。絶対に。」
キアラの息を呑む音が響いた。
そう、知らなかったのね。
まぁ、皆んなで隠してから。
「ハロルド。私はこの生き方が好き。
貴方と出会い、冒険者になり今この街にいる。
ねぇ。いい加減もう終わりにしましょう。
キアラ。貴方も学ばなくてはね。
新しい世界と生き方を。」
二人は部屋を出た。
静まり返った部屋には、三人が残された。
「姉上様。」とキアラが目を輝かせる。
「巫女姫様。貴方様はあの方とは違います。
本物です。」と御付きは苦々しく言う。
「え?本当の姉上でしょ。」とキアラが畳み掛ける。
「は、はい。」
「じゃ、姉上様で決定よ、フラン。
もう神殿の役目は終わったの。
私のこの「未る目」には、きっと別の役割があるわ。
。。
きっとね。」
その頃、獅子族の代表との話し合い中のラル。
俺の目の前には、獅子らしい風格の男性達がいた。お互いに一礼して椅子に座る。
「ようこそ。遠いところを。」と代表の言葉。
「いえ。そちらの用意して頂いた遠距離用魔石で一瞬でしたよ。
あ、初めてまして。ラルと言います。」
と答えた途端。
「はん。人間如きに。
今さらだが、このままお帰り願って。」
代表の横に座っていた年嵩の獣人が嫌そうにこちらも見ずに言い放つ。
「やめなさい。何度も話し合った事。」と代表が止めに入る。
仲間たちも怒気が充満し出し、不味い雰囲気だ、内輪揉めだよな。
まあ、こうなるかなぁと俺は予想してたから。
うーん。アナベルさんが困ってるし。
今こそ、あれの出番だよな!
「はい。皆さまこちらを見てください。
役立ちそうな物をお持ちしました。いかがですか?」
俺は張り切って空間魔法で仕舞ってた物をだす。意外に大変だな。
さてと、持ってきたのは。。
薬草類(ジェルドが大量に用意)
もちろん、万能薬は多めに。
食糧と植物の種や苗の数々。
(万能肥料付き)
魔石(俺が貯めたり作ったりしたもの)多数。
特に火の魔石系を多めに。
いやぁ、まだまだ家具とか布団とかの日常品。
武器類や防具の素材もあるし。
「もう、やめてやれ。
これ以上は、向こうさんがやばい。
いや、こっちも中々なダメージがな。
いや、一体いつこんなに持って来たんだか。」
エドの止めが入った。
取り敢えずやめる。
皆んな静まり返ったから。
「まだあるよ。」
って言ったけど、誰も返事をくれないな。
まだ、肝心な物を出してないけどな。




