表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/100

あれから…

この話で完結となります。

拙いこの話を最後までお付き合い下さいました皆さまに深く感謝します。

また、ブックマークなど読みにきてくださった皆さま。大変励みとなりました。改めて感謝申し上げます。


「ここが有名な遺跡の街『エルバド』かぁ。」

昨日の夜眠れなかった俺は目を擦りながら見上げた。


一列に並んだ子供達が見上げる先には、西の中央都市『ユナ』にある遺跡『エルバド』の大門が聳え立つ。


今日は念願の社会科見学の日だった。

遺跡が発掘されてから数十年。

遺跡保護とか言って入れる人を制限してるって先生が言ってた。

ようやく俺達の番なんだ!



「これは太古の昔、魔王がまだ存在していた頃の街が遺跡として残った場所。

大変貴重なもので、既にこの時代のものはここにしかありません。

ですから勝手に触れたり道を外れたりしてはいけません。」


何回聞いた話だ?


全く先生はいつも同じ話を繰り返すよ。

俺達だって、エルバドの遺跡の話くらい知ってるって言うの!


この都市の名前にもなった獣人のお姫様とケルムや神官達の冒険のお話。

小さい頃から絵本で何回も読んで貰ったし!

あっ!

ヤンテが手招きしてる。

よーし!!



ヤンテの後をついて一足先にこっそりと中へと向かう。

街は、古い石畳みがボコボコしていて歩きにくい。

けどそこが良いじゃん!

やっぱ古代に迷いこんだ感じがする!

宿屋や武器屋など昔のままの状態で保存されて扉とかみんな木の両扉とかだ。

おー、スッゲー。

飲み屋なんかもあるらしいが、子供達は見学出来ない。


「なあ、これ見てくれよ!看板が木で出来てるって凄くないか?

あー、紙とか無かったって先生言ってたし!」


内容は掠れて見えにくいけど先生の言ってたのは本当だった!

二人で改めてじっと見つめた。


武器屋で本物の武器を見て


「あんな物で魔物とか倒せるのかな?」と二人で首を傾げ


宿屋では、食事体験をして


「なんか薄味で美味くないね。」

と肩を落としたりした。


中央部には石の石碑があるけど、誰が何の為に作ったか未だに不明らしい。


その時!突然警報が鳴り出す!


「不味いぞ。この辺りはまだ未知な魔獣が出るから先生が気をつけろって。」


西の大都市周辺ではギルドの冒険者が見回りをしているが稀に遺跡にも魔獣が入り込むらしい。

血の気の引いた俺は、ヤンテの手を引いて走り出した。


ドスン!!

何かにぶつかってひっくり返る。

冒険者だ!


その先には魔獣が二体もいる。


「ん?何と子供達じゃないか。

おい、不味いぞ。社会科見学の子達が紛れ込んでるよ。」


「分かった。ザィラードセンター長に連絡するわ。」


二人の冒険者のゆっくりとした話し方にちょっとホッとする。


「君たち、ここでじっとしてるんだ。絶対動くなよ。」


何遍も何遍も頷く。

二人で手を取り合っていたが身体は小刻みに震えた。



一匹の魔獣の牙からは明らかに毒と思われる液が滴り、地面を焦がしていた。

もう一匹から上空へと飛び立つと激しく急降下して冒険者を狙う。

紙一重に見える躱し方にビビるのは俺達のみで冒険者の二人は余裕の笑みを浮かべてた。


やがて勝敗は着いた。

一人が鋭い細い剣で毒の魔獣の目をひと突きして倒すと、もう一人が見た事もない大きな剣で空から襲う瞬間に真っ二つにする。


ヒラリと躱した二人には魔獣の血すら服には付いていない。

俺達はただ唖然とするのみ。


あっ!

ウゥゥーー唸り声に振り返ると、なんと毒の魔獣がまだ息がある!

すると俺の方へ毒の牙を飛ばしてきた。


避けなきゃ。

分かっていてもピクリとも動かない。


「ま、不味い!!」

冒険者の叫び声を聞きながら怖くて怖くて、ただギュッと目を閉じた。



バサ!


「おいおい、まだ脇が甘いなぁ。

ヤーン。間に合ったよ。」


目を開けるとひとりの青年が魔獣の首を落としていた。牙もその横に転がっている。


「ラル様。ど、どうしてここへ?」


「いや、ザィラードが忙しそうだったからだよ。

あっ!決して横取りしてないからな!じゃ!」


言い捨てると大きな犬に跨りあっという間に空へと駆けて行った。


「あ、あの今のって…」


「お前達ラッキーだな。

そうだよ。あれがラル様だよ。」


「「えーー!!奇跡の救世主のあのラル様??」」



それから俺達は沢山叱られた。

そりゃ一生分だったと思う。


でも、あの瞬間を思えばこれ程ラッキーな事はないのだろうと二人で反省した。


「なあ、あの助けてくれた冒険者の人って、有名なSSランクタッドさんとSランクのシャノンさんだよ。めっちゃラッキーだな。」

「でも秘密だって言われたよ。

俺さ、将来なりたいものが出来たよ!」

「俺だって!」


「「冒険者!!」」







石碑にはこう書かれていた。


『薬屋に捧ぐ』と。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ