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Physical Graffiti  作者: 浮浪
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THE BEGINNING

始まってしまった大学生活、本間の運命やいかに。

これが僕のクラスメートなのか。


本間は感慨深く周囲を眺めた。


クラスと言っても、高校などとは違い、あくまで学校側が管理する為のものなのだが、一年時にはクラス対抗球技大会や親睦会などが催される。


それらを説明するためのオリエンレーションの為に、本間を擁する1−Fはある一室に集められていた。


みんなオシャレでスタイリッシュな格好をしている。本間もファッション誌に載っていた通販で上から下まで買い揃えたのだが、なにかが他のクラスメートとは違った。


形は一見同じなのだ。細身のジーンズにダークカラーのタイトなシャツ。インナーにはタンクトップ。


しかしよく見ると、本間が着ている洋服はおかしな点が多々あった。例えばジーパンの尻ポケット部分に施されたチューリップのアップリケ。シャツの胸部分についた用途不明な大きいボタンや斜めに入ったチャック。タンクトップに描かれた風船ガムを膨らませた子供。とにかく不必要なものが多く、とにかくダサかった。


本間は周りと自分を見比べて、初めてそのことに気づいた。


なんなんだ、この風船ガムを膨らませたアメリカナイズされた子供は。


本間は開いてきたシャツのボタンを全部閉めた。しかし今度はシャツが気になる。


なんでこんな所にボタンが!?こんなところにチャックまでついてる。


本間はすぐさまシャツを脱ぎ捨てた。しかしそうすると、再び風船ガムを膨らませた子供が出てくることになる。


このくそガキが。本間はパニックに陥った。どうしようどうしよう。


本間はとっさにタンクトップを裏返しにした。幸運なことに厚手の生地だったので、風船ガムを膨らませた子供はまったく見えなくなった。


ふう。助かった。本間は大きく息をついた、瞬間、不穏な気配を感じた。


うっ。この感じは!!


本間は周囲を見回した。すると、派手な女学生二人が本間を見て笑っている。


それは本間が長年慣れ親しんできた蔑みの眼差しだった。


彼女たちは自分の一連の行動を見ていたのだろうか?


見ていたに違いない。じゃなければなぜ僕を見て笑うのだ。

 

本間はお腹を押さえた。お腹が痛いわけじゃない。あくまで演技だ。


あー、お腹痛い。いててててぇ。


そう言って、本間は教室を出て行った。


教室では女たちの笑い声が響いていた。


「あのチューリップのアップリケうちの母親とおそろなんだけど、チョー受ける」

「まじで、それやばくない」

ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ。


本間はトイレの個室でうなっていた。あくまで演技である。


女たちが男に頼んで偵察させているかもしれないからだ。


本間がうんうんと声に出して唸った。そうしたら間違って本当に肛門に力が入ってしまって、便がポロリと出てしまった。


ズボンは履いたままである。


本間はズボンとパンツを同時に脱ぎ、中を確かめた。


零れ落ちた便は不幸なことに粘り気があり、パンツにびっちょりと付着していた。


本間は詰まらないようにと願いながらパンツごとトイレに流した。


問題はズボンだった。


ズボンも残念ながら便に犯されていた。チューリップも侵食され、鮮やかな赤色が茶色く濁て、腐った落ち葉にしか見えなくなっていた。


それを見て本間の心は折れた。


もう、帰ろう。


本間の大学生活は前途多難なようだ。




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