人生案内人
淫らな服装を着た女性が男性とゆっくりと路地裏へ消えていく。女性の手には封筒が握られている。
彼らの行く先の人生に興味はないが、少し先の未来を見たいというのが人間の心情なのか?
何本目かのふけったタバコを吸い、人生案内人のように彼らの足跡を辿る。軽やかにその道を行く者もいれば、陰鬱な表情で行く者もいる。
「たとえあの世へ来ても、人間の本質と行動は変わらんのか」
閻魔は少しがっかりした表情で、死人へ通行手形を渡す。次は良い人生を送るために生まれ変わるんだと信じて、意欲満々で死んだ者も、結局は元来た人生を辿るのだ。
いつからか自分の事よりも他人の人生を気にし始めた。
「閻魔降りようかな」
そうしてまた同じ人生が繰り返される。