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284 それから

「魔剣鍛冶師になりたくて!」書籍巻第一巻が発売中です! よろしくお願いします!

 世界に何が起こったか、すべての人類種が速やかに知ることとなった。


 神みずからが伝えて聞かせたからである。


 世界全体に神の声が響き渡った。


『私の愛する子どもたちよ……』


 と。


『私は女神メドゥーサ。人間族を生み出せし真の女神……』


 聞き慣れぬ女神の名に、人類は皆いずれも戸惑ったが、唐突としてモンスターが消え去った事実の前では、どんな突飛な主張だろうと信じざるをえなかった。


 真の神が語った世界の真実。


 異界より襲来せしアテナが他の神を封じ、乗っ取られた世界は彼女の勝手気ままに弄ばれてきた。

 それを倒したのが人間族の英雄エイジ、人間族の覇勇者セルン、世界一のドワーフ鍛冶師ギャリコ。


 この三人の働きにより悪神アテナは滅び、本来の神々は解放され、世界はあるべき姿に戻った。


 もはや人類は抑圧されることはない。


 それを聞かされた時、人々は例外なく歓喜に沸き上がった。


 やはりその日は、人類にとっての記念日だった。


    *    *    *


 そしてその日から、人類すべては新しい方針で進んでいかなければならなくなった。


 モンスターは消えた。

 最大の脅威にして問題が消えた。


 無論それは人々に安心と喜びをもたらしたが、それだけでは済まない。


 たとえ悪い意味でも、モンスターはこの世界の何割をも占める重要な構成素だった。

 そのモンスターが唐突にいなくなって混乱しないわけがない。


 その混乱を乗り越え、新しい世界の形を創り出すこと。

 それが真に独立した人類が最初に取り組むべき試練だった。


 その足掛かりとして重要な役割を担ったのが皮肉にも、各種族の聖なる武器を管理していた組織だった。

 聖剣院、聖鎚院、聖槍院、聖弓院……。

 モンスターがいなくなると同時に、唯一の対抗手段である聖なる武器も役目を果たし消え去った。


 だからこそ聖剣院を始めとする各組織も存在意義をなくしたことになるが、折よく『新しい秩序の構築』という新事業を見つけて、波に乗った。


 もっとも上手くやったのはやはりドワーフの聖鎚院で、モンスターがいなくなって安全になった商路にどんどん製品を流通させ、巨万の富を築き上げた。


 聖弓院は実質的に解散し、他のエルフと共に森と親しみ静かに暮らす生活へ。

 竜人たちは平和になってなお戦いを忘れらせず、聖槍院の指導の下、幾人もの若者が腕試しの旅へと進んでいった。


 ゴブリン族も変わらない。

 モンスターの邪魔がなくなって、より精力的に農地を広げ、他種族との縄張りトラブルが続出するようになったという。


 天人、オニ族といった、それまで他種族との交流を断ってきた種族も、少しずつ交流を持つようになってきた。

 その橋渡しとなったのが、世界中に流通網を整える人間族だった。


 今や人間族だけでなく人類種すべてにとっての英雄であるエイジが、人間族とオニ族のハーフであることも知れ渡り、それで余計に人間族とオニ族の繋がりも取り沙汰され、融和は進んだ。


 そうした事業に率先して関わるのも、旧聖剣院や聖鎚院などの組織が率先していた。


 新しいステージに立った世界には、新しいなりの問題も多々現れる。


 しかしそれでも、人々は外から襲い来る災厄に悩まされるのではなくやっと自分自身の問題に取り組めるようになった。


 それらを一つずつ乗り越えながら人類は進んでいく。

 歴史という、留まることのない道を。


 ただし、それは人類全体の行く末についてである。

 続いては、より視点を小さく絞って、個人的な結末を見ていこう。


 異界より生還し、英雄の名を不動のものとした彼らのその後……。

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