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 自室に籠った岩田波留は、ベッドに横になって、小倉明美の顔を思い浮かべた。

「小倉明美。普通な女子高生という印象だったな。本当に二重人格なのか?」

 分からないことが多過ぎると波留は思う。突然拉致されて、仮想空間に体ごと送り込まれた時から、彼の頭を様々な疑問が飛び交う。

 本当にここは仮想空間なのか? 

現実世界と酷似した架空の世界でゲームを行う理由は?

 なぜこれまでのプレイヤーは、1か月以内に全員ゲームオーバーになったのか?

 考えれば考えるほど疑問が生まれ、目の前にあるゲームに集中できなくなる。

丁度その時、学習机の上に置かれたスマートフォンが震えた。慌ててベッドから起き上がり、スマートフォンを握ると、画面には通知の文字が表示されていることが分かる。

『通知。一分後にドキドキ生放送が始まります』

「生放送」

 小声で呟く波留は、指示に従いドキドキ動画というアプリをタッチする。その後に表示された生放送という文字をタッチすると、

面上にラブの姿が映った。背景は今朝と同じ白い壁に覆われた空間。

『皆様。学習能力が高いですね。尊敬します。現在の閲覧者数は40名です。ちゃんと不正は行われていないようですし、全員合格ですね。まあ今回の生放送は、別に見なくてもいいんですよ。また動画はアップするから。まずは皆様。仮想空間内での学園生活1日目はいかがだったでしょうか? 死亡フラグケージギリギリの人もいるみたいだけど、よくこの時間まで生き残ることができましたね。今回のプレイヤーたちは優秀ですよ。ここまでの段階で10人くらい脱落してもおかしくないのに』

ラブが腕を組み、説明を続ける。

『1日目終了を目前にして、プレイヤーの皆様から幾つかの疑問が出て来たようですので、この場を借りてお答えします。メールアドレスを交換できずに困っている方もいらっしゃることでしょう。ゲームが進むとメールアドレス交換用のアプリも解禁されるので、我慢してくださいね』

それからラブは3回手を叩き、カメラ目線でプレイヤーたちに伝えた。

『午後8時よりメインヒロインアンサーが開始されます。シニガミヒロインってアプリをタッチしたら、自動的に画面が切り替わりますよ。仲間で1か所に集まってゲームをプレイしたいって考えている人もいるみたいだけど、それはレベルを上げるまでお預けです。忘れているかもしれないけど、プレイヤー間で話し合って選択肢を選ぶことは禁止だからね。他にも色々とレベルを上げるごとに解禁される要素もあるので、お楽しみに。最後に桐谷様。今朝の交渉は認めましたが、今後は止めてくださいね。ゲームマスターとの交渉は、ある手続きととってからにしていただきたい。ということで生放送を終了します。それでは皆様。生き残ってくださいね』

「波留。ご飯よ」

 まるで生放送終了とタイミングを合わせたように都合よく、自室のドアの向こうから、母親の声が聞こえてきた。波留は両手で頬を強く叩く。

「大丈夫。ゲームを進めれば、謎は解けるはず」

 自分に言い聞かせた少年は、自室から立ち去り、リビングへと向かう。

 夕食も終わり、再び自室に籠ること2時間。1分後に最初のメインヒロインアンサーが始まる。気合いを入れるために、岩田波留はスマートフォンを握りしめていた。

 現実世界では何度もやってきたゲームだから、ノーミスで行けるという自信が彼の中で浸透し、高まる緊張を深呼吸で整える。それと同じタイミングで、シニガミヒロインというアプリをタッチした。


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