ギルド<侠刃>の日常。
試験的短編その2。色々試行錯誤したり何時も以上にパロディ詰めたりと暗中模索な1編です。※結構やらかしてます。グーグルDOCからギルド<キングダム>をお借りしております、もし問題がありましたらご一報下さい、その際は修正致します。
それはまだ“MMORPG”<エルダー・テイル>が、『ただ』のネットゲームだった頃のお話。
日本サーバー5大都市の1つナカスの生産系ギルド街の一角、とあるギルドの所有するゾーンでの日常的1コマ。
「手前ぇ!こっちは客やぞ?武器は売れんとはどういうこっちゃ!?俺はミナミの<キングダム>のメンバーやぞ?商売人からしたら“お客様は神様”ちゃうんか!?ゴルァ~!」
只ならぬ剣呑アトモスフィア漂わせ、『品性の欠片も無い』ダミ声で恫喝する<キングダム>のギルドタグを付けた狼牙族<暗殺者>のアバター、『怖い!』一般の善良な日本サーバーのプレイヤーであれば失禁するかもしれない。(がなり立てているアバターのプレイヤーが893だったら本当に失禁するかもしれない。)
しかし、恫喝されている生産系ギルド<侠刃>ギルドマスター、サブ職<刀匠>メイン職<武士>種族ドワーフの厳ついがボロ布のような装備のアバター“KY=ミツ”は無表情で(アバターなので無表情は当たり前)淡々と言い返す。
「若僧…“お客様は神様です。”って言葉は誰の言葉か知ってるかい?そいつはぁ有名な演歌歌手様のお言葉でよう、あくまで芸事、エンターテイメントを金払って観に来てくださる方を指して云ってるんだぜ?判るか?俺達は生産系ギルドでしかも、“職人”だぁ。若僧、『言葉の意味』…『言葉の本質』を知らないヤツが当たり前のようにその言葉使ってたら、育ちが悪いド低脳だって自慢して回ってるようなもんだ。<侠刃>は客は選ぶ主義でな。メインが<武士>か<神祇官>意外は余程の例外が無い限り、相手もしねぇんだよ。<キン○マ>だか<急に黙る>だか知らんがギルド名チラつかせて粋がる馬鹿はお断りだ!さっさとミナミに帰ってギルマスにでも慰めてもらいな!あと、コレMMOPRG…ゲームだぞ?若造??」
KY=ミツに対して反論するだけの知能がないのか、『品性の欠片も無い』恫喝をした<暗殺者>は呆然とその場に立ち尽くした。(プレイヤーが呆気の取られて思考停止しているようだ。)暫くその場に立ち尽くしブツブツと何かを呟いているが、KY=ミツには聞き取れないし、聞こえた所で、どうという事もないので無視を決めこんだ。
<暗殺者>はまたも『品性の欠片も無い』ダミ声で咆哮する。
「ザッケンナ、コラァー!テメッコラー!スッゾコラァーッ!」
もう云ってる事が判らない、ネオサ○タマ辺りの893スラングのような言葉とも呼べない雄叫びを上げる<暗殺者>…『怖い!』『怖い!』しかし、KY=ミツは動じない。(ただアバターを動かしてないだけ、××を相手にしたくないから黙っているだけ。)
「テメッ!ナカス辺りのチンケな生産系ギルドが<キングダム>に喧嘩売ってんのかゴルァ~!買ってやるから本拠地から出ろゴルァ~!<キングダム>敵に回して日本サーバーでプレイ出来ると思うなよゴルァ~!」
KY=ミツのプレイヤーはモニター前で聞こえみよがしな大きな大きな溜め息をつく。彼の人生経験上、日常でもゲームでも他人の名前や団体名を出してそれがあたかも『自分自身』の“力”(権力だったり暴力だったり経済力だったり)だと勘違いしている輩にロクな人間は居ない。
ハッキリと言葉にするので在れば、そういう輩は『塵溜めの屑』『酔っ払いの吐瀉物』だと彼は認識している、相手にするのも面倒臭くなったのでログインしてゾーン内に居るで在ろうギルメンを呼びつける。
「坊、戦闘班はお前と後、誰がログインしてやがる?」
その言葉に反応して2体のアバターが奥から現れる。1人(1体)は黒ずくめの和装にゴーグルを装着した人間の<神祇官>、もう1人(1体)は白虎のような容姿に少林寺拳法の道着のような装備の猫人族の<武闘家>。
「オジキ!坊はいい加減止めようぜ?ちゃんと“バンドウ”って呼んでくれよう、あと戦闘班は俺と道仁がログインしてらぁ。」
「オイ!坊、幾らテメーが隊長だからって年上を呼び捨ては止めろ!“さん”を付けろよデコ助!」
坊と呼ばれる声に幼さが残る<神祇官>のバンドウが<侠刃>戦闘班の隊長だ、そして“ミット”こと道仁が戦闘班No.2にして<侠刃>サブギルマスである、彼ら戦闘班は良く云って個性派、悪く云えば偏屈者の集まりの生産班とは別の意味で個性的で偏屈?否!偏執狂?!の集まりだ。
「坊って呼ばれたく無けりゃ、もっと腕磨きな、<黒剣>の義坊やサツキの嬢さんに勝てないようじゃ何時まで経っても坊だよ。」
「義盛兄貴にサツキの姉御は別格だろ?オジキィ、一対一の勝負であの2人に勝てるんなら、朝ちゃんより先に2つ名持ちになってらぁ。」
「キッキッキッ…そうだな、テメーの目標は義盛の兄ちゃんに勝つ事だったな。今だにあっちは勝負の時に障壁も回復も使わねーんだから、何時になる事やら…。」
『品性の欠片も無い』<暗殺者>など、この場に居ないかのように会話を楽しむ?3人のプレイヤー、彼らに取って所詮その程度の!『塵芥』のような取るに足らない存在!それが<キングダム>のギルドタグを“錦の御旗”と勘違いしている『品性の欠片も無い』ダミ声の<暗殺者>!
!
彼の<暗殺者>は怒った!彼らのやり取りは自分を、所属ギルド<キングダム>をアウト・オブ・眼中にしている!ギルマスから末端に至るまで精鋭中の最精鋭で構成された真のエリート戦闘系ギルド<キングダム>を愚弄している、コレを怒らずには居られない。(Fuck!Fuck!Fuck!Fuck!Fuck!Fuck!Fuck!Fuck!Fuck!Fuck!Fuck!Fuck!Fuck!Fuck!Fuck!Fuck!Fuck!Fuck!Fuck!)口穢い言葉でプレイヤーの思考は埋め尽くされる。
「ザッケンナゴルァ~!<キングダム>ナメてただで済むと思うなよ!本拠地の外に出さらせ!高々、ナカス辺りの生産系がミナミの最精鋭エリート戦闘系ギルドに逆らったらどうなるか!テメーらまとめて大神殿送りだ!」
「っとに馬鹿な若僧だ…坊、サンドバック代わりにもなんねーだろうが、お情けで相手してやれ。」
KY=ミツの投げやりな物言いは何時もの事だ、坊こと、バンドウは別に拒否するでもなく無言で『品性の欠片も無い』ダミ声の<暗殺者>と共に本拠地ナカスの外に出て最初のゾーンで戦闘態勢を取る。
「やれやれ、最近は戦闘班ってーより塵処理係だなぉ、オイ。」
実に気怠気な物言いでプレイヤーも心底、やる気が無いのだろう、座っているチェアの上で胡座をかきクルクル回っている、そんな態度を取っているのは『品性の欠片も無い』<暗殺者>には観えないのは当たり前だが、見下されいるのだけは理解出来ているようだ。
「ッゾ!コラァ!テ…」
『品性の欠片も無い』<暗殺者>が893スラングを言い終わる前に長脇差2刀流のバンドウが仕掛ける!<雲雀の凶祓い><討伐の加護><デッドリーダンス>を矢継ぎ早に発動…?<神祇官>が<デッドリーダンス>?ワッザ?ナゼ<デッドリーダンス>??そして<神祇官>では出せないようなダメージ値を叩き出している、リキャストタイムも全く無視に近い。
偉そうに『最精鋭エリート』戦闘系ギルドのメンバーだと吹き上がっていたがPVPは不慣れなのか、バンドウの一連の攻撃に面食らったのか為す術も無くHPを削られる『品性の欠片も無い』<暗殺者>、本来回復職の<神祇官>が武器攻撃職である<暗殺者>の特技が使える訳がない!だが、コレが<サブ職>に寄る物で在れば話は別だ、そういう細かい事は数在る攻略サイトや攻略本を読めば判る!民明○房から刊行されている書物にもそう書かれてある!!
「アハハハハハ!バカだ!!ねェ見て見て注目だよ!!バカだよ!!最精鋭?エリート?だからどうしたよ?ヒャハッ!対した実力も無えクセに相手ナメて噛み付くから負けるの?判るか?塵屑?ギャヒャヒャヒャ~!」
『品性の欠片も無い』<暗殺者>は対した反撃も出来ず、僅かな金貨とアイテムを残してその場で爆発四散!周囲でこのPVP?PK?を観ていたプレイヤーは『何時もの事』とでも云わんばかりに無関心、偶然通り掛かった低レベルプレイヤーを呼び止めるバンドウ。低レベルプレイヤーは訳が分からずバンドウを怖れた。『怖い!』
「そこな、坊ちゃん、嬢ちゃん、そこに落ちてる金貨とアイテム拾って何かの『足し』にしなぁ~!あぁ~気にするな、気にするな、醜豚鬼のドロップしたもんだ、君らが貰っても罰は当たらないよ~。」
嘘だ!誰が聞いても嘘だとバレる、しかし周りの反応など、どこ吹く風~奇声とも鬨ともとれぬ叫びを上げながら本拠地へと去って行くバンドウ。
その頃、<侠刃>のギルマスとサブギルマスは常連客と楽しく歓談をしていた、『品性の欠片も無い』<暗殺者>と戦闘班隊長バンドウの事などスッカリ忘れ去っている…可哀相な『品性の欠片もない』<暗殺者>と戦闘班隊長バンドウ。
「あれ?ミツさんミットさん、今日は坊居ないの?何時もだったら真っ先に出て来て『俺と勝負だ!カマ野郎』って喧嘩売って来るのに?」
常連客は、何時も喧嘩を売って来ては返り討ちにされ其れでも諦めずにエルダー・テイル共通掲示板に『果たし状』めいた書き込みをしては幾度と無く挑戦して来るメイン職が自分と同じく<神祇官>の…今は引退した自分が所属するギルドの先輩で恩師?でもある女<武士>と同じサブ職<剣狂>を取得しているバンドウの事を訪ねる。
「あ~、坊は平常運転だぜ、義坊。」
「あ~、平常運転ですか、相変わらずミツさんはお客さん選んで…坊は後始末と…。」
「キッキッキッまぁ、そういう事だ、義盛の兄ちゃん。」
本拠地ナカスの生産系ギルド街の片隅の知る人ぞ知る偏屈者の集まり<侠刃>の何時もと変わらぬ日常の1コマ。
「あぁ~!義も…じゃねえー!このカマ野郎!今日こそは勝たせて貰うぞ!この野郎!」
ーキャラクター 紹介ー 1
バンドウ LV90 メイン職<神祇官>サブ職<剣狂>人間/男性
ナカスに本拠を置く生産系中小ギルド<侠刃>の戦闘班隊長。長脇差二刀流の戦禰宜、イケイケドンドンの戦闘狂通称『坊』。DQNな話し方はロールプレイで、プレイヤーは大人しいそこらに居るゲーマーでオタクの高校生、戦闘時などで喋り方のDQN度が上がるのは仕様。DQNロールの所為でボッチプレイヤーだったがミツに拾われて<侠刃>に加入。戦闘班の主なお仕事は素材集めやレシピ集め。その為、臨時で戦闘系ギルドの大規模戦闘に参加したりもするので一部特技が秘伝だったりする。『お客ではない客』を排除するのも戦闘班のお仕事の1つ。
ーキャラクター 紹介ー2
道仁 LV90メイン職<武闘家>サブ職<竜殺し>猫人族/男性
<侠刃>のサブギルドマスターにして戦闘班NO.2通称『ミット』。白虎のような容姿の厳つい猫人族、プレイヤーは日拳の段持ちでボクサー崩れ(とある事情で拳を傷めた為)のボクシングジムトレイナー。持論として『漢の武器は己の拳2つ!』という無駄な拘りの為、攻撃力上昇のアイテムは装備しても武器は一切装備しない徹底さ。「キッキッキッキッ」と変な笑い方をするのは癖。
ーキャラクター 紹介ー3
KY=ミツ LV90 メイン職<武士>サブ職<刀匠>ドワーフ/男性
<侠刃>のギルドマスター、日本サーバーでも数少ないサブ職<刀匠>元々は大手生産系ギルドに所属していたがある事を切欠に離脱。ゲーム内で世捨て人のようなプレイをしていたが、『類は友を呼ぶ』というヤツで、彼を慕って生産系サブ職持ちの癖のあるプレイヤーが集まり<侠刃>を結成。プレイヤーの本職も刀匠で、実年齢は結構高め。