机上の空論。ミナミVSナカス
前回とは違う角度で見た＜Plant hwyaden＞によるナカス侵攻。※ゾーンの名称などは捏造です。
ナインテイル自治領ヒコットアイランド山間部頂上付近（現実世界での山口県下関市彦島）
数人の冒険者が望遠鏡で『ビックブリッジ』での＜Plant hwyaden＞ｖｓナカス連合軍の戦闘の一部始終を観ていた。彼らは2年前に結成されたナカスに拠点を置く新興戦闘ギルド＜八つ墓ヴィレッジ＞の面々＜エルダー・テイル＞11番目の拡張パック〈錬金術師の孤独〉の大規模戦闘コンテンツ『人造天使計画』や海外サーバーの高難易度コンテンツなどを攻略した結構な実力を擁するギルドなのだが、やはりほぼ同時期位に結成されたアキバの＜西風の旅団＞や＜シルバーソード＞などと比べると遥かに知名度は劣る。そんな彼らも＜エルダー・テイル＞12番目の拡張パック＜ノウアスフィアの開墾＞導入時に起こった『大災害』にギルマスを含むギルドメンバーの1/3が巻き込まれていた。
「ほら、観ろ！俺の予想通りだぞ？＜Plant hwyaden＞の圧勝じゃないか！」
勝ち誇ったように他のメンバーに云っているのが＜八つ墓ヴィレッジ＞ギルドマスターのスケキヨ。名前の如く『犬神家○一族』に出てくるスケ○ヨと同じラバーマスクに紋付袴という完全にアレなカンジの人間の＜武士＞だ。（この出で立ちのお陰で戦闘系ギルドのギルドマスターというより残念な人としてナカスの一部プレイヤーからは有名人）
「威張るほどの事でも無いでしょう・・・事前に情報収集してれば誰の目からも結果は一目瞭然！賭けをしたって一方的過ぎて賭けが成立しませんよ。」
こうぼやくのがサブギルドマスターの猫人族＜神祇官＞コースケ☆金田1、こちらも某横溝作品の名探偵まんまの出で立ちのこれたま残念さを垂れ流した容姿のナイスガイだ。
「コレが予想出来たから我々は今回の戦闘には参戦しなかった・・・って事ですか？スケキヨさん？コースケさん？」
質問したのは同ギルドメンバー＜召喚術師＞のYo蔵だ。
「・・・残念ながらそうではない！我々はイロモノ扱いされてナカスからのお呼びも＜Plant hwyaden＞からの勧誘もなかったのだよ！諸君！」
思いっきり胸を張り豪快に言い放つスケキヨ。
（（（（あぁ～やっぱり・・・。））））
スケキヨを除くメンバーには予想の範疇内過ぎてあからさまに表情やリアクションに出てしまうガッカリ感。
「で！？ギルマス、あんたがナカスのトップなり参謀だったりした場合は戦局は変わってたの？自称“百識”のスケキヨさん？」
同ギルドメンバー＜施療神官＞の病院坂さんが質問する。
「よくぞ聞いてくれた病院坂さんさん！まぁ、もう終わっちゃった事だし、云うだけ無料だから云っちゃうよ？皆、正座して俺様ちゃんの大作戦を聞いてくれたまえ！」
鼻息を荒げてラバーマスクの穴という穴から湯気を立ち上らせるスケキヨ、残りのメンバーは各々、明後日の方向見て胡座をかいたり雑談したり・・・全く纏まりというものがないが、それすらお構いなしに『ドキッ☆ミナミからの侵攻軍をやっつけちゃうぞ☆大作戦』の概要を説明しだすスケキヨさん。
「先ず、我々が大災害当日に発見した新規実装されたゾーン！アノ！『アナト海峡トンネル』（現実世界の小倉駅～新下関駅間のトンネル）を利用する！」
・・・このギルド、他の冒険者が混乱の渦に巻き込まれパニック状態の中、無謀にも大災害当日に新規実装ゾーン及び新規クエスト発見の散策を考え無しにやっていたのだ。ハッキリ云って阿呆の集団である。
「あ～ハイハイ続きをどうぞ！ギルマス殿。」
片手をヒラヒラさせて続きをテキトーに促すYo蔵。
「そうアノ『トンネル』は我々＜八つ墓ヴィレッジ＞しか知り得ないゾーン！その証拠に今回、＜Plant hwyaden＞側もナカス側もアノ場所を利用していない！そう！戦略的に彼処を使わない手はないのだよ諸君！」
更にヒートアップし完全に自分の言葉に酔っ払っているスケキヨ、それをながら聞きしながら『あっち向いてホイ』を始める他のメンバー。
「先ず！＜Plant hwyaden＞が橋の奥まで侵入した時点で門司側からフルレイド＜妖術師＞部隊の一斉範囲魔法攻撃で橋を破壊！橋を渡れず混乱している所をトンネルを使って新下関側に待機させた部隊により挟み撃ちにして包囲殲滅！まさか我々が伏兵を忍ばせてるとは思わない＜Plant hwyaden＞はこれで一網打尽！なんてパーフェクトな俺様ちゃんの作戦！さぁ！皆の衆！我を崇め敬え～！」
完全に悪い酒呑んで悪酔いしているバブル期の酔っ払い親父の演説である。聴いてるメンバーは誰も居ない、呑気に昼寝しているメンバーすらいる。
「流石！“百識”のスケキヨさん！着眼点は良いが穴だらけの作戦ありがとう！あんたがそんなだから＜八つ墓ヴィレッジ＞はどこにも相手されないの！判る？あんたの云ってる事は『机上の空論』なの！判ったら今晩の夕飯になりそうな素材アイテムでも取ってらっしゃい！シルバヘブン街（現実世界の北九州市小倉北区魚町銀天街付近）で待機してるメンバーがお腹空かせて待ってるよ！」
病院坂さんからの辛辣な一言。
「穴だらけってそんな～・・・。」
一気に現実に引き戻され落ち込むスケキヨ、そんな憐れなギルマスに追い討ちを掛けるコースケ。
「うちのギルドが未だに解散しないで維持出来てるのは一重に病院坂さんさんの冷静な判断と有能な指揮のお陰ですからね～。」
戦闘ギルド＜八つ墓ヴィレッジ＞の明日はどっちだ！？
突発的にアホな話が書きたくて書いてみました。もしかしたらまた息抜きに＜八つ墓ヴィレッジ＞ネタはやるかもです。
