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外伝~剣姫の涙~

残念職と呼ばないで(仮)外伝、八姐さんの昔ばなし。

思いつきでざっと書いた作品。

※初投稿2014/04/07

※2014/12/03ログ・ホライズン2次創作短編集に移動

なんでこんな事になったのか・・・私はPCのディスプレイから目を逸らし、煙草をフカしながら考える。

 最初は自分と趣味の合う仲間達と結成したギルドだった、戦闘系だとか生産系だとか、そんなカテゴリーにハマらないただ『同好の志』の集まりだった筈だ。


なのに何時からだろ?何かが狂い始めた。最初は些細な事だった筈だ。ギルドの方向性を決めようと誰かが云ったのが始まりだったか・・・。

「拙者は新撰組が好きなので戦闘系ギルドとしてやって行きたいで御座る。」

「え~別にそんな事に拘る事ないじゃん?僕は奇兵隊好きだけど、別に戦闘系ギルドじゃなくても良いと思うんだ♪」

「つか、別にギルマスが幕末好きだからって幕末の方向に無理に持って行かなくてもよくない?あたしら全員が幕末好きじゃないんだし。」

「なんちゃって戦国被れは黙りなさいよ。」

「は~?こちらは源平なんですが?源平無視ですか?そうですか?」


・・・みんな好き勝手を云う。そして最期に皆、口を揃えて私に聞くのだ。

『ギルマスの伊庭八さんはどうしたいんですか?』


その度、私の答えは『時代や思想とか戦闘系とか生産系とか拘らず、みんなで楽しく私はやって行きたい。ギルドって形は取ってるけど、方向性は決めなくていいじゃない?』

この私の考え方が悪かった・・・っと今になって思う。ギルマスの私が明確なビジョンを持たずにいたのが失敗の元ではなかろうかと・・・。


私が趣味の合う仲間と作ったギルド<遊撃隊>は何時の間にか『歴女のみで結成された』ギルドと化した。そして気が付けばギルド内に派閥が乱立して内部紛争の絶えないヘンテコなギルドになった。ギルドホールで角突き合わせての罵り合いは日常茶飯事。クエスト中の仲間同志のPKやMPKが毎日のように起こり、多数派による少数派の排除。最終的に戦闘禁止区域であるホームタウン“アキバ”での乱闘事件にまで発展。完全に私の手から離れて暴走を続けるギルドに嫌気が差したある日、私は私自身の手で私の居場所だった筈のギルドを解散した。誰も何も云わなかった・・・寧ろコレ幸いと新たにギルドを立ち上げたグループも居た。




私は1人になった・・・ギルド設立当時の仲間は早々と見切りを付けてギルドどころか<エルダー・テイル>すら辞めていた。別にギルド外にも親しいプレイヤーは居たが、彼ら彼女らをギルドの揉め事に巻き込みたくなくて遠ざけていた。否、人間不信に陥った私が遠ざかっていたのだ・・・。



悲しくて悲しくて死にたくなった・・・。否!自分が作り上げたキャラクターを殺したくて仕方なかった。以降、私はソロで高レベル帯の狩場に赴き、サブ職<剣狂>のスキルをフルに使って何度も何度も『伊庭八郎』という自分の分身を殺し続けた。ただの八つ当たりだ・・・分かってはいたが私には止められなかった。


何時だったか・・・何時ものようにそんな捨て鉢なプレイをしていたら、見知らぬ一団が私に加勢して来た。余計な世話だった、煩わしかった。私のサブ職を知らずわざわざ回復魔法を掛けてくれるが無駄である。サブ職の特技全解放状態の私の分身には回復魔法は効かない。

リーダー格の赤髪の<守護戦士>が私に声を掛ける。

「なぁ、ネーチャンなんであんたはモンスターの攻撃を一切受けてないのに毎回勝手に死ぬんだ?」

「五月蝿い!馬鹿!誰も助けてなんて云ってないのになんで加勢するのさ?あと、自分で調べろ鶏頭!」


八つ当たりだ・・・相手は親切心で加勢してくれているのに私はそれを拒み突き放した。


「連れねーなぁ。彼氏にでも振られて八つ当たりか?」


「五月蝿い!私の邪魔をするな!」

云ったが早いか私のHPが切れ大神殿送りになった。


いつもの狩場に行くとまた、あの連中に出会すが私は無視して何時ものように『伊庭八郎の自殺』を始める。<武士の挑戦>でモンスターを惹きつけただ倒す。攻撃を喰らわずともモンスターを倒せば勝手にHPが減り勝手に死ぬ。こんなバカげた事を繰り返しても何も変わらない。いっそ他の連中のように<エルダー・テイル>を辞めてしまえばよいのに・・・何故だか<エルダー・テイル>を辞めようとは思わない。何故なのかは私自身分からない。


「アンカーハウル!!」


私の周りに殺到していたモンスターが一斉にあの赤髪の<守護戦士>に殺到する。

「なんで邪魔するのさ!」

何だかよく分からないが涙声になっている私。

群がるモンスターを仲間達と連携して倒す赤髪の<守護戦士>


「お前こそ、なんで泣きながらそんな下らねープレイしてやがるんだよ?」


「五月蝿い!五月蝿い!お前達に私の何が分かる!」


もう言っている事が滅茶苦茶だ、私はPCの前で泣きながら煙草のフィルターを噛み千切る。私の邪魔をするな!私の邪魔をするな!


「あぁ~?俺に分かるのはあんたが凄腕のプレイヤーの癖にそれを生かす術も知らずに暴れてるって事だけだよ!」

?私が凄腕?今までそんな事を云われた事も無ければ思った事もない。否、一度だけ昔云われた事があるような・・・そんな事はどうでもいい!私の『自殺』の邪魔をするな!

「五月蝿い!私は私自身がこのゲームが『キライ』なんだ!私の邪魔をするな!」


マイクもスピーカーも壊れよとばかりに絶叫する。


「『嫌い』ならなんで<エルダー・テイル>自体辞めねーんだよ?好きだから続けてるんじゃねーのか?理由なんか知らねーけど、嫌な事があっても辞められねーのは、あんたが<エルダー・テイル>が好きだからじゃねーのか?」




・・・・<エルダー・テイル>が好き。その言葉を聞いて頭の中が真っ白になった・・・。私はその場でログアウトしてPCの前で大泣きした。知らないヤツに然も理由も理屈も分からないヤツに見透かされたようで悔しくて悲しくて泣いた。


私は暫く<エルダー・テイル>にログインせず、数日間普段通りの日常を続けた。何だか・・かが欠けたような日常。何の不満も不足もない、無駄な争いもないごくありふれた日常。欠けているのはナニ?大好きな『願わくば花のもとに』や『幕末遊撃隊』を読んでもモヤモヤは晴れない。煙草を吸う本数が無駄に増えた、多分捨て鉢になって『八郎の自殺』を繰り返していた時期よりもだ。


ある日、久し振りにログインして例の狩場に行った、矢張り赤髪の<守護戦士>率いる一団が狩りをしていた。

「よう!ネーチャン久し振りだな?機嫌は直ったか?」

相変わらず無遠慮に声を掛けてくる。デリカシーってヤツが無いのかこの鶏頭は?

「さぁね・・・何となくログインして此処に居るだけよ・・・」

素っ気ない返事しか出来ない。

「なぁネーチャン!久し振り序でになんだがよ、俺達 大規模戦闘レイドコンテンツやるギルド作るんだけど、一緒にやらねーか?みんなで強いモンスターぶちのめして、スカッとしねーか?」



・・・唐突に何を云ってるんだコイツ?馬鹿なの?新手のナンパ?多分、今までの言動からして深くモノを考えてからモノを云うタイプには思えないし本気で勧誘してるんだろうな・・・。そう思いながら私の口から出た言葉は自分でも意外だった。


大規模戦闘レイドやったことないよ?私でいいの?」

「良いも悪いもあるかよ?誘ってるのは俺だぜ?それに俺達だって大規模戦闘レイドの経験なんてねーよ!」


何とも間抜けな会話だ、下手すると告白された女の子が相手の男の子に相手が自分で良いのか再確認しているようで恥ずかしいやり取りだ。


PCの前で年甲斐もなく真っ赤になって慌てて煙草を吸う、くそぅ恥ずかしいなぁ、何か悔しいなぁ。


「分かった一緒にやる!あんたの作るギルドに私も入れてよ!」


「おお!マジか!?宜しくな!<剣狂>のネーチャン!」

ん?コイツ、私のサブ職調べたのか?意外とマメな奴なのかな?

「自己紹介はお互いまだだったね?私は伊庭八郎ハーフアルヴの<武士>」

「『いばはちろう』って読むのか、俺はアイザック!人間の<守護戦士>だ!あとはその他大勢だ!宜しくな!」


「「「「誰がその他大勢だ!バカザック!!」」」」


私は大笑いした。本当に下らない。でも可笑しくて可笑しくて仕方なくて涙が出るくらい笑った。何時以来だろう?こんな下らないやり取りで大笑いしたのは・・・そして何故、こいつらとギルドを作る事を快諾したのか?全く分からない。たった数度、言葉を交わしただけの間柄で相手の素姓すら知らない。だけど何故か心惹かれる・・・異性として?否多分違う、何だか分からないけど、何故かこのバカの癖に本能的なナニかで人の心を鷲掴みにする<守護戦士>アイザックに惹かれているのだ。こいつとならば面白い景色が観れそうだという、何だかよく分からない私独特の勘なのかな・・・?

内容が暗いっすね。なんとなく八姐さんのキャラクター紹介から派生した突発ネタです。若干実体験?じみた話でもありますw


これだけ浮いていたのでログ・ホライズン2次創作短編集に移動しました。

加筆修正しようか悩みましたが、当時のまま移動しております。


今、読み返すと今よりも下手ですね文章…(汗)

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