大災害直後のとあるデザイナーさん
っという訳でシドさん回です。さて、何人の人がヴィシャスの小ネタ全部回収出来るか・・・。
冒頭のやり取りは色々参考にしながらの妄想ですので悪しからず。
2016/04/21ヴィシャスの召喚呪文を若干訂正。
「で?作家さんと挿絵のイラストレーターさんは俺のデザインで良いって云ってんのか?」
『そうですねぇ~○○先生はOK出してくれてますが、イラストレーターの○○先生の方がもう少しこう、グロさを抑えて欲しいとの要望が…。』
「判った、そっちで先生方の意見の摺り合わせ頼むわ…双方の意見が合致したなら連絡くれ、それに併せてデザイン切り直す。」
『すいません、御手数掛けます。では失礼します。』
「あいよ~、じゃあ頼むわ。」
俺は特注の煙管にカンピーをねじ込み、マッチで火を着けてからスマホの通話を切ると紫煙を肺まで吸い込み、阿呆面晒して紫煙を吐き出す。
“自称”と云っても差し支えのない、知名度もさほど無い、“クリーチャーデザイナー”が俺の肩書きだ、ガキの頃から特撮番組が好きで…特に怪人や怪獣なんかが好きで一生懸命、怪人や怪獣の絵を描いたり、“ごっこ遊び”で進んで怪人役や怪獣役をやってる他人から観ると風変わりなガキだったと思う。(喜び勇んで魔○提督やメ○ール将軍やったり、アリ○マンドやジ○ファイターもやってたな…)
絵を描く、特に伝説上の怪物や民間伝承の妖怪の類や動物、その中でも猛獣と云われる類のモノを描くのが好きで兎に角、暇さえ有ればその手の絵ばっかり描いてるガキだった。
中学に上がった頃だったか?美術の先生さまが『もし、何かしら絵を描く職業に就く気なら得意な物だけで無く不得意な物も描けるようになりなさい。』と云われたのが最後の後押しだったのか、俺ゃ死に物狂いで今まで苦手としていた人物画や風景画なんかを描き出した先生さまに見せては常に品評して頂いたりした…。
いかん、いかん、何を急に思い出に浸ってるんだ?虫の知らせか何かか?まぁいい、取り敢えず俺は作業部屋兼自室に3台あるPCのゲーム用の方にチェアの向きを変えPCを立ち上げてログインする事にした…、今日?正しくは深夜0時、明日だわな…っと云ってもあと1時間もないか…俺がβ版の頃からやってる20年の歴史を誇る老舗MMORPGエルダー・テイルの12番目の拡張パック<ノウスアフィアの開墾>が導入される。
また大工達は新規の大規模戦闘コンテンツ探し回って余所さまと先陣争いか…アイツら準備はするが(ってもそれすらレザに任せっきり)考え無しに突っ込んで死に戻りの繰り返し…レザの野郎が毎回苦労するんだよなぁ…。
まぁ、時間までシンジュク御苑の森辺りで狩りでも…、誰かログインしてっかな?ん?ん?何でフレンドリストのお嬢の名前が白く光ってる?
2年振りに復帰したか?取り敢えず『念話』でもしてみるか?
『よう!お嬢、旦那と喧嘩でもして出戻りか?それともショ○カーよろしく、再生怪人の如く復活か?』
『珍しいぃ~、ヴィシャス!あんたが地声なんて、何か心境の変化でもあった?…って誰が離婚したって!?失礼な!それとその分かり辛い例えは何よ?義妹から頼まれて仕方なく期間限定で復帰しただけよ!っとに口の悪さと訳の判らない所は相変わらずだね。』
苦笑しか出ねぇくれぇー変わらねーお嬢さんだ。
『カッカッカ、“チープスリルジャンキー”が義妹ちゃんのお守りかよ?丸くなったぁ~、で?期間限定って何時までだ?』
『取り敢えずはこの連休中だけのつもりだけど、義妹次第だね…。』
何でぇ、あと数日じゃねえか、つまらん!実につまらん!ってイカン!音声合成ソフト起動させてなかった…ってまぁいいか。
ふと、時計に目をやると壁掛けの電波時計に『23:57』と表示されていた。あと3分か…。
『所でお嬢?現在地はどこだ?』
『今、義妹と一緒に装備を新しくしようと思ってね~、何かナカスにお勧めの生産系ギルドが在るとかでナカスに居るよ~。』
装備刷新の為にナカス?あれか?義m…
■
??ん?どうなってやがる?真っ暗じゃねーか?停電か?
…いや、目の前には俺のアバター『ヴィシャス』のステータス画面だけが表示されている?
◇◇◇◇
ヴィシャス
種族:人間
メイン職:召還術師LV90
サブ職:死霊使いLV90
HP:ーーーー
MP:ーーーー
所属ギルド:黒剣騎士団
◇◇◇◇
他にも装備品や特技なんかの表示もあるがそれ以外の画面が映らない…どうなってやがる!
ん?なんでぇ!?何か叫び声やら…なんか嫌な感じのモノが聞こえてくるが、一体どうなってやがる?まさか直下型地震で頭に機材でもぶつけて気絶してたか俺??
いや?それにしても妙だ…『指』は確実に動いてる感覚は在る、チェアが在るのか無いのか解らんが『座った』体勢は…何故かとれてる…だがどこを観回しても…。
「真っ暗でステータス画面しか観えねぇどうなってやがる。」
ブツくさ云っても始まらんが、全く現状を知る術がない、そして気のせいか息苦しい…ん?そう言えば口に咥えていた煙管は何処に行った?色々考えを巡らせていると不意に俺を呼ぶ声が聞こえた。
「ヴィーやん!なんばしょっとな?」
間違い無い、この酷い九州訛りに俺を『シド』と呼ばない奴は<黒剣騎士団>のエンクルマだ。
「ん?その声はエンクか?俺のPCがオカシイのか、イキナリ拡張パックに不具合があるのか?画面が真っ暗で自分のステータス画面しか表示されねーんだよ?お前はどうよ?ん?なんか音声がクリアっつーか、生々しいな?新しい仕様か?」
そう、先程から気にはなっていたのだが、『アキバの街のBGM』は一切聞こえて来ないのに人の声らしきモノや今のエンクの声はヘッドホン越しの筈なのに嫌に生々しく聴こえる…『円』とはオフ会で何度となく顔を会わせているし、偶に奴の美容室で髪を扱って貰ったりするので生の声もヘッドホン越しの声も聴いた事がある、そして今、聞こえて来る声は明らかに前者だ…。
っで、エンクはさっきから『はーへーほー』だの『ホーヘーハー』だの何をそんなに感心してやがる!?ん?何かこう、身体が?浮いてる…のか?
「ヴィーやん!ボケるにゃ、まだ5年ばかり早いばい!その変チクリンな面ば外しない!儂らエルダー・テイルン中に閉じ込められちょる!我がん目ェで確認しない!」
「?何んだ?どうなってる?お前何を云ってるうぅぁアイエエエエェ~!」
唐突に身体が無重力状態?になる、だが全く世間?が観えない所為か、俺には状況が呑み込めず某サイバーパンクニンジャ活劇のような情けない悲鳴を上げちまった…。
「お゛お゛お゛~エンク!どうなってんだ!?地震か?地震なのか?!」
と、兎に角状況が掴めん!これじゃどうしたものやら見当もつかない、そして気持ち悪い所為か自分自身、訳の解らん事を口走る…すると急に揺れだか、空中回転だか解らん状態から解放され、両肩を痛いくらいに掴まれた?掴まれたってどういう事だ?
「ヴィーやん!ビックリしなんなよ、どげんやったらこげんなるか解らんばってん、儂ら拡張パックが実装された時ン、ログインした人間は皆エルダー・テイル、要はゲームの世界に閉じ込められたごとある。」
・・・・?!
?は?!何云ってんだ?この残念カリスマ美容師は?馬鹿だ阿呆だとは思ってたが、とうとう空が自由に飛べるお薬にでも手を出したか?取り敢えず、黄色い出来の良い妹の猫型ロボから元気になる未来の道具でも出して貰え!ん?なんか光が差して来た?ん?
「その面、穴開いてないちゃろ?外して我がの眼で確かめない!」
あ゛~待て!この野郎、どうも云ってる事は本当のようだが仮面に触れるな!貴様は完璧超人か?悪魔超人ですらマスクに手を出すのは卑怯だとか何だかとアシ○ラ○ンが云ってたぞ!しかし、ゲームに閉じ込められた?アレか?某宇宙刑事のマ○ー空間とかフ○ギ時空みたいなもんか?それともアレか?異世界に飛ばされてエルフのお姉ちゃん剥いて旅して回るアレか?それとも打ち切りになった『孔○王』の作者のゲームやPCの中入ってあれやこれやする『ア○ゴ』か?それともファミコンにドットチェンジする『ファ○コン風○児』か?それとも、放映されるのが10年早過ぎたと云われる特撮の名作兼迷作『グリッ○マン』か?時空を越えて悪に立ち向かうって奴なら『暴れ○っちゃく』が主役やってた『電脳警察サ○バーコ○プ』?!あ゛~クソ止めろ仮面を外そうとするな!この阿呆エンク!(これだけ考えるのに掛かった時間は0,05秒だ!蒸着出来るだけの時間で此処まで考えを巡らせたぞ!)っとそうだ!ゲームならコレが出来る筈だ!
「UT MYAO KIM-KO HollyUG BirdMtAkirA PePePePe PePePePe!我は求め訴えたり!出よ!我が分身<死神>!!」
「っ!※◇※▼※~!」
お~、エンクが声にならん絶叫をして仮面から手を離した処を察するに成功か!ならばコレも可能か、やってみるか<幻獣憑依>
一瞬にして世界が反転、闇の世界から光の国?いやいや此処はM78○雲じゃねぇよ!っとセルフツッコミを入れつつ、普通ならこんな極端に視界が変わると空に浮ぶ城の分家の末裔みたいに『目が~!!目が~!!』ってなるんだろうけどそうならないか…、それはそれで良しとして!!!
カッカッカ!やっと視界がクリアになったな!お~大鎌ちゃんと持ってるし腕や手は骨だ!薄汚いローブもリアルだ!そして!お~頭蓋骨は首の骨から着脱可能か!おお~!なんと素晴らしい!っで後ろに倒れてるのは俺『山本大介』のアバター『ヴィシャス』か…なるほど、なるほど…此処は?どっかの廃墟?昔、行った長崎の“軍艦島”よりもスゲー有り様だな…。
さて、目の前で怯えてるドレッドにケモ耳がエンクか?あ~姿形はエンクルマで顔の作りがゲームアバターのソレと云うより六車円の顔?と云うべきか?現実の面影があるな…カッカッカ、怯えてやがる!
「エンク!お前、正座!その苔むした床に正座!返事は?」
「はい!!」
この後、暫く鎌の柄でエンクを小突きならが数分説教してやった!エンクの野郎、俺が言葉を発する度に顎をカタカタいわすのが怖いのか俺と眼を会さねぇ、あ!今の俺<死神>だから会わせる眼球、持ち合わせて無いわ!こりゃ傑作だ!俺の仮面に手を出した時点で万死に値するのは昔、骨身に染みたろうに懲りん奴だ…って…カッカッカ!今は俺の方が正に『骨身』……云っててなんだが、俺は何処ぞの海賊王目指してる麦わら帽子坊主の処に居る音楽家か?…イヤイヤ、それでも、我が身が『骨』の有る身…『骨』しか無い身になれば、彼の音楽家のような台詞の1つも云いたくなるわな。
さてと…。
「イマイチ、お前の説明じゃ状況を把握出来んが、改めて視界がハッキリすると云わんとしてる事は理解出来た…取り敢えず、レザと連絡取って、大工達と合流するか。」
俺でこの有り様だ、義盛の嬢ちゃんや朝坊はまだ、酷い有り様だな…ヘルメス嬢ちゃんが近くに居りゃ…まぁ、なんとかしてくれそうだが…サツキ嬢は読めんな…。
レザに念話して集合地点決めたら、次は誰に連絡入れるべきか…。
「エンク!何時まで正座してやがる!お前も、手当たり次第、ログインしてるギルメン中心に連絡入れろ!」
次回もぶっちぎる勢いで小ネタだらけです。ヴィシャスはこういう人です。
後で『2次タネ』の方に追記しますが、シドは、エルダー・テイルの変なアイテムや、微妙なアイテム収集家でもあります。一応何処かに出てくる伏線です。




