第一話
メインの登場人物の初期設定です。
おっさん: 下山 太一郎
関東北部に住む、事務系サラリーマン。
機械知識やパソコン知識はそれなり。
若いころはブイブイ(こじんまり)いわせていたが、最近は意気消沈。
若いころの勢いを取り戻したくて、当時発売されたばかりのVRMMOを始める。
リアルプレイヤースキルを多く求められるゲームだったが、過去の思い出が美化されているため、わりと脳みその運動要求が高く、その実現性の高さから自分自身でも感動している。
少女1 : 時田 楓
リアル中学生。家族構成:姉(海外留学中)+両親+犬
小学生の時に不登校になり、いろいろと両親に迷惑をかけたのを苦にして、中学校デビューを狙うが、私立にでもいかない限り同じメンバーになる中学校。半ば不登校、保健室通学でどうにか出席日数を稼ぐ生活。
保健室で自習していることから、保健室の番人として有名。
市販薬の薬効や選択を相談されることもしばしば。
ともあれ、リアルコミュスキル不足は頭の痛いところで、友人二人に進められるままにVRMMOをはじめる。
合言葉は、VRで友達百人。実に頭の悪い目標だった。
少女2 : 神奈川 秀美
楓の友人1。
小学校のころの不登校の原因をよく知っているが、それを防げなかったことに責任を感じている友人。
成績は普通、家も普通、家族は両親+兄(隠れオタク)。
コミュ不足は、実体験が足りない性だと踏んで、VRMMOで訓練を薦める。
本人は隠しているつもりのオタ趣味はすでに妹把握済みで軽蔑中。男性全体への不信までには至っていない。
少女3 : 生方 譲汝
楓の友人2.
不登校仲間。彼女自身は、名前があまりにもキラキラなため、心底引きこもって親に迷惑をかけてやろうと思ったものの、趣味で始めたネットトレーディングで大当たりしてしまい、両親ともに引きこもりにクラスチェンジ。とりあえず、両親を養う使命を背負ってしまった不幸な不登校女子。
家族構成 両親(引きこもり)
太一郎、ネット内では「タイチ」が、日課になっているボスアタックを開始していた。
彼は、最強装備とか懇親の装備を自分のハウスに格納して、ログアウト時間までの制限で最弱装備ソロアタックするのが日課になっていた。
上手くいけば、そのままレベルの足しになるし、上手くいかなくて死に戻っても装備の損失は最小だし、死に戻りの「デスペナルティーインターバル」もログアウト中に消化できるというわけだ。
仲間内は博打と笑うが、彼とて博打ほどの勝算ではないと自負している。
軽い装備ゆえの動きやすさと、レベルに裏打ちされた素早さ。
そしてスキルに頼らない実際の自分をイメージして起こす攻撃。
このゲームがスキルゲームではないことを感じさせる瞬間だけに、彼は大いに気に入っていた。
あのころのように動くからだ。
あの頃の様に躍動する体。
あの頃の様に・・・
「だっしゃーーー!!!」
店売りの鉄の剣を踏み台にして、ボス、ゴブリンロードにドロップキックをかますと、クリティカル補正による大ダメージが入った。
7割程度だったロードのHPメーターが、一気に赤になる。
ここでスキル攻撃の場合は、待ち時間が入ってしまうのだが、彼はそのまま流れるように動く。
ドロップキックから、背後に回り・・・
「どりゃ!!!」
バックドロップは、へそで投げる!!
とばかりに、無理やり背後から彼がゴブリンロードを投げ飛ばすと、脳天から落ちたロードはそのまま光となって消えた。
残ったのはレアを示すアイコンのアイテムコンテナ。
どうやら今回の彼はついていた模様だ。
「さーて、ログアウト前にチェック~」
さっと回収して確認してみると、それはゴブリンロードから回収されるアイテムとしては確かにレアなものだった。
「んー、この『ロードバッジ』ってなに?」
思わず小首をかしげた彼だったが、そろそろ本格的にログアウトしないと明日に響く時間になっていることに気づく。
「やべやべ、ハウスに戻って整理してる時間無いじゃん」
彼の予定としては、さっさとログアウトして風呂は言って寝る予定だったのだが。
「んー、ま、仕方ないか。一度町に戻ってログアウトだな」
苦笑いとともに、彼はゴブリンロードのボスエリアを抜け出すのだった。
「い、今の見た?」
「すげー、グラップラー、はじめてみた」
「え、ええ? そんな職業あったっけ?」
三人の少女が、ボス待ちをしていた。
「あー、ソロだったもんで、遅くなって申し訳ない。リポップはあと20分ぐらいですので」
少女の一人が「グラップラー」と称した男性アバターが、ぺこぺこと頭を下げる。
「い、いいえー、私たちだとレベルが足りないんで、今回はいろんな人が倒している姿を予習で見にきたんですぅー」
「・・・まさか、グラップラーを生で見られるとは思わなかった」
「・・・・」
思わず微笑む、そんな感じの二人に対して、もう一人の少女は二人に隠れるようにしてた。
彼もその姿を見ればどういうものなのかぐらいに察することができる程には大人だ。
だからちょっと目で会釈して言葉を返す。
「あー、そのグラップラーはやめてくれませんか?」
「え? PvPで剣士なのに武器も使わず、プロレス技だけで勝ち進んで、相手のプライドと精神をぼっきり折り続けたと伝説のプレイヤーさんですよね?」
「あ、それ、私も見てた! プロレス技なんて、絶対にやらせだって思ってたのに、本当に強かったんだーって感心して、お父さんに聞いちゃったもん」
「そりゃ、お父さんもうれしそうに語ったんでしょうねぇ・・・」
思わず苦笑いの彼であったが、本格的に時間が無いことに気づく。
いかにVRとはいえ、可愛い女の子から声をかけて貰うのはうれしいけど、リアルをかけるほどではない、と割り切る彼であった。
「あー、そろそろ俺時間なんで、おちますね?」
「えー、もうちょっと話しません?」
「伝説のプレイヤーとの会話。貴重」
「・・・」
ともあれ、三人少女のコンタクトアドレスを手に入れた彼は、本格的にログアウトをしたのだった。
翌日、彼の仕事は順調で、得意先との飲み会も無く、実に早々と帰り着いたので、家事と食事を早々に行い、VRMMOの世界に旅立つことにした。
ログインして早々にメールがものすごい数で来ていたので、思わずたじろいだものの、発信時間から「学生」であることが判断できたので、まとめてメールを返した。
自分が社会人であることとログイン時間は夜に偏っていること、そしてメールの返信が送れたことを謝るメール。
携帯メールの早さだろうか、三人から「理解」したメールが帰ってきて、これから会えませんカーという誘いが入る。
内心、彼も「援助交際」という単語がチラチラしたのだが、VRだしOKと割り切って会う事にした。
待ち合わせ場所まで着てみれば、柄の悪そうなおっさんたちに囲まれる少女、というテンプレ状況に思わず頭痛。
ここで颯爽と助ければ、それなりの好感度を期待できるのだが、ここはゲームといってもVR。そういうパラメーターは無い。
そんなわけで、彼は、周囲にいるおっさんを順番に殴ることにした。
「いて!!」
町の中でもダメージ判定があるので、それなりに減ったHPだが、最弱装備のままなのでダメージのとおりが少し悪い。
「タイチ! てめーなにしやがる!!」
「おめーらこそ、いたいけな少女をナンパしてんじゃねー」
「ばっかいうなって! こんなところで待ち合わせ、それも長時間待ちぼうけ、ナンパ待ちだろうが!!」
「俺待ちだって」
「「「「「なんだってーーーーー!!!」」」」」
広場周辺にいたプレイヤー、それも露天を構えているやつや、PvPを仕掛けようって構えている奴らまでコッチをみて叫んでやがる。
「て、て、ちぇめーーーー・・・・まじか?」
「まじだよ。この子達と待ち合わせしてるのは、俺だ」
そう胸を張ると、ものすごい勢いでメッセージが流れた。
内容は全て・・・
『@@さんからタイチさんへ、PvPの申し込みがあります。受諾しますか?』
と、真っ赤なメッセージだった。
とりあえず全て「No」と答えて、少女たちに向き直る彼。
少女たちも事の成り行きを、目を白黒させてみていた。
「悪い悪い。知り合いが悪ふざけしていたみたいで、迷惑かけたね?」
「・・・い、いいえ、その、ナンパとか初めてだったんで、びっくりして・・・」
「・・・私らナンパって、犯罪? 児童回春法でひっかかるわよ?」
「(ガタガタブルブル)」
とまぁ、小さなトラブルはあったけど、彼のホームにご案内となった。
もちろん周囲から「Yes.ロリータ、Youタイチ!」と嬉しくないメッセージが溢れた訳だが。
実際、ホームというものは簡単に持てる。
ワンルームマンション程度のホームだったら、プレイ一ヶ月間ぐらいの収入か課金で手にれられる。
ただ、本当にその広さだけの箱なので、中には何も無いし防犯性も悪い。
そんな訳で、盗賊スキルがカンストでも進入できず、それでいて居住性がいいホームとなると結構高くなる。
逆に、それだけのホームを持っていれば、外で話すよりもホームに行ったほうが安全な事になる。
そんなわけで、彼が招いたのは、彼のホーム。
見た目でいえば、二階建てのログハウス、そんな感じのホームだった。
「うっわー、素敵なホームですねぇ・・・」
「どれだけ課金したの?」
「・・・(キラキラキラ)」
どうやら少女たちの受けはいいようだった。
「課金はして無いよ。これはレアクエストの報奨アイテムが基礎になってるんだ」
レアクエストとは、一定の条件や資格によって発生する、サーバー全体でも一つか二つしか発生しないクエスト。
この辺の情報はレアすぎて、こなした本人も条件がわからないことが多く、ネットでも情報が少ない。
「うわぁー、やっぱり先にやってる人たちって有利なんですねぇ・・・」
「そうでもないさ、先にやってるからこそ、この世界の常識にとらわれて、気づきにくいレアクエストもあるって話もあるしね」
まぁ、いらっしゃい、と招待コールの彼の誘いを受けて三人の少女が入り口をくぐると、再び感嘆の声が上がる。
「「「うわぁ・・・・・」」」
彼自身、仕事の関係でインテリアには煩いほうで、さまざまなアイテムを集めたり、生産者に渡りをつけてアイテムを作ってもらったり、協賛企業に提案してVR内アイテムを作ってもらってみたりと動いた結果がそこにあった。
まぁ、あれだ。
劇的◎フォーアフター
ああ、なんということでしょう、というやつだった。
少女たちはソファーに座ったり、リビングを歩き回ったり、いろいろと部屋を見て歩いたりと大忙しで、一時間あまり歩き回ったあとでため息とともに今に戻ってきてソファーに座った。
「・・・すごいですね、こんなリアルなんだ、このゲーム」
「信じられない、信じ切れない。あの会社の試供品がここにあるなんて・・・」
「・・・す、す、すごくきれいな部屋でした」
初めて声を聞く娘もいたけど、それをさておく彼。
「で、話って何?」
「「「・・・・あ」」」
どうやら本題が吹っ飛んだようだった。
思わず真っ赤になる三人だったが、一人、ちょっと勝気な女の子が身を乗り出す。
「あ、あの、タイチさん」
「ん、なに?」
「お、お、お願いがあります!」
スーハー、と深呼吸したあとで彼女は言う。
「・・・私たちと、お友達になってもらえませんか!?」
ずこっと、思わず崩れる彼。
何しろ、自分は軽く友達気分だったのだ。
「あー、それはかまわないけど、お友達って、もう友達のつもりだったんだけど?」
「い、い、いえ、その、そういうことではなくて! もうちょっと親身な感じで!!」
んー、っと首をかしげたあとで、なんとなく理解の彼。
「・・・もしかして、あれかな? パーティ組んだりする、そういう関係?」
「「「はい!!」」」
なるほど、と思う彼。
彼女たちリアル学生が放課後を使って過ごす関係だ。
それはこの三人組の中に入るとも言える行為であり、この三人組の一体感を崩さない濃度で付き合う必要があるということでもある。
つまり・・・
「うん、Yes。俺からもお願いしたいぐらいかな? お友達になってくれる?」
「「「はい!!」」」
にこやかな笑みの少女三人。
やべ、おれ、ロリじゃ無いのにときめいてるわ、と彼であった。
話をよく聞くと、実は重い話だった。
内気ちゃんと尊大ちゃんは不登校。
そのトレーニングのために美人ちゃんがVRを提案。
そして三人で先日始めた、という話であった。
中でも内気ちゃんがコミュレベルマイナスで、かなり困っているという。
「じゃ、このホームでリハビリしたら?」
「え?」
美人ちゃんが驚いた顔。
「俺たちでギルド結成して、このホームをギルドホームにするんだ。部屋はまだ余ってるし、空き部屋を好きに使っていいからさ」
「で、でも!! タイチさんに迷惑じゃぁ?」
「元々、このホームって、ギルドハウス用なんだよ。だから回りのやつらから狙われててさ」
「・・・ね、狙われてるんですか?」
不安げに見る内気ちゃん。
「ああ、襲撃とかじゃなくてね。俺を中心にギルドを仕立てて、自分たちも利用させろってやつだよ。まぁ、それも悪くないんだけど、おっさんばかりがこのホームにいても、見栄えが悪いから断ってたんだ」
にこやかに毒を吐く彼を見て、三人は笑った。
「・・・迷惑じゃなければ、お願いしたい」
尊大ちゃんが下手に出て頭を下げる。
「んじゃ、決定!」
こうして、ギルド「ノルン」が開業したのだった。
構成員は、GMタイチ・カエ・ヒミ・ジョー。
システム登録が告知されて、タイチのロリ犯罪者疑惑は、某大型掲示板で大いに盛り上がったのだった。
そして、ノルン加入希望者が雲霞の様に押し寄せたわけだが、GM以外の反対でまったく加入出来ない状態がしばらく続いたのだった。
「ど、どうですか、タイチさん」
多少どもりはすれども、最近になってタイチと自然に会話できるようになったカエ。
しかし、未だ通常のマップでは失語症寸前だった。
対人恐怖症は、いわば外敵に対するものだというヒミの見解は正しいらしく、絶対守護のホーム内となると徐々に慣れてきたようだった。
たとえVRでも、認識できる内側にいないと彼女は安心できない、そんなところまで追い詰められている様子に彼は思えた。
「うん、おいしいなぁ。こんな料理が毎日食べられたら、VRなんかしてる時間なんてないだろうなぁ」
「・・・あ、あ、あ、あ、あの、う、う、うれしい、でゅ」
真っ赤になって台所に飛び込むカエに替わって、目の前に現れたのはヒミ。
「なーに、ナチュラルにくどいてんのよ、このロリ」
「んー? 本音だぞ?」
「だーかーら、それが口説いてるって言ってるのよ」
小首をかしげる彼に対し、大きなため息のヒミ。
小娘の理論ではあるが女の理論だ。
大人になろうとも、中年に達しようとも、男には理解できない論理の話だった。
「・・・GM、今日も加入希望が満載」
「とりあえず、一通り目を通すけど・・・」
「・・・私は新規加入は反対」
酷く冷たく言い放つジョーだったが、「イヤ」とは言わない。
すごく解りにくいが、判断をGMに任せつつ、自分の要望を前面に押し出しているジョーだった。
「私も、ここで新しいのは、ちょっと困るかな? カエがやっと緊張しなくなったのに・・・」
「私は、タイチロリハーレムの崩壊を危惧する」
「俺はハーレムなんて築いちゃいません!」
「なるほど、ロリは否定しない、と」
「俺ぐらいの年齢になっちゃうと、若い子はみんなロリ対象だから反論しないだけですぅ」
そんな会話をしつつ、要請リストを見ていた彼が、眉をひそめた。
視線の先にあるのは、ギルド参加希望要請リストの一枚。
ただし、見た目がカエに近似していた。
次のは「ジョー」。
次のは「ヒミ」。
ざーっと流すだけでも三桁に上るそっくりさん。
「つまり、タイチの好みのタイプって事で照準されたのかしら、わたしら」
「・・・くっ、つくりが甘い」
現実の話、このVRにおける外見は酷く空ろだ。
実際の自分にそっくりにすることもできるし、まったくの別人になることもできる。
ただ、このギルドにおいては、顔の修正はほとんどしていない、というかそれをルールにしようということになっている。
三少女は、ほぼリアルで紙の色が違う程度らしく、彼もしわを伸ばした程度。
白髪は修正しているが、それでもほぼ修正していないといえる。
しかし、手元の似非三少女は、どう見てもアバターの性別まで変更しているのは間違いなく、恐ろしく手間のかかったものだった。
「あのさ、なんでここまで手間をかけてアバター作ってまで入りたいんだよ・・・」
思わず、手元のリストに語りかける彼。
苦笑いのヒミ。
そして、いやらしい笑いのジョー。
「あ、あ、あ、あの!! タイチサン!!」
「ん、ん? なに?」
「わ、私は、その、新しい人が来ても、その、大丈夫になります!! だから!!」
一生懸命、何かを伝えようとするカエの頭をなでる彼。
「ゆっくりでいいんだよ、ゆっくりで」
そのシーンだけで見れば良い光景だった。
「げ・・・ナデポだと、恐ろしいスキルもってるじゃない」
「さすが行動派ロリ。VRならOKとか、その行動力が並じゃない」
外野さえいなければ。
しばらく、ちゃんと文章を書いていなかったので、リハビリで書いたらこんな感じになってしまいました。
文章的に妙なのは仕様ですw




