表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/25

二章  アルジェンとの出会い。 4

 ようやくして、部屋の中が落ち着いた空気となる。

 その頃合いを見計らった様に、ライルが真剣な表情で話をする。

 「まず自己紹介し直すよ。僕の名前はライル、またの名を怪盗アルジェン。…ヴィシュ-様の命令で、ある目的を遂行する為に、怪盗をしているんだ。」

 「…ある目的?」

 「そして今から言う事は、信じられないかもしれないが全て嘘偽りない話です。」

 「…え、えぇ。…」

 と私は返事した。

 いつの間にか話に聞き入っていく。

 「僕は、ある物を盗む為に十日後の舞踏会で参加者に成り済まし、犯行に及びました。…けど実際には不測の事態に巻き込まれて、失敗してしまうんです。」

 とライルも静かに続ける。

 「…その際に僕の魔法の力が発動して、舞踏会の10日前に戻ってきているのですよ。…そのうえ今回は、近くにいた君をも巻き込んだままなんだ。」

 「…ま、魔法?…過去から戻ってきた?」

 「…覚えてませんか?…あの時に僕は、スカーレット伯爵から、君を庇って死にました。」

 「…!?…じゃあ、やっぱり。あれは本当の事なのね。」

 「…そして知っていると思うけど、僕は舞踏会でナンリー姫を拐った。…しかし彼女を、害するのが目的じゃない。

 「え?」

 「…真の目的は、舞踏会の参加者の中から魔法を使う者を見つけ出す。…そして、そいつから魔法を盗みだすことなんだ。」

 「…何、それ?…どういう事なのよ。…訳が分からないわ。」

 と、私は聞き返して、問いただす。

 「…例えそれが事実だとして、…どうして、あんな事に?」

 「…実は、…その舞踏会には、人の思考を乗っ取って操る魔法を使う賊が潜んでいるんだ。」

 するとライルは俯くと、小さな声で答える。

 「…そいつはナンリー様を操り、ダンスの時に、婚約者のシヤリー様を殺そうとしている。」

 「はぁ!?…シヤリーが殺されるですって!!?」

 「……それで僕はナンリー様が、シヤリー様を殺さない様に、彼女を舞踏会の参加者から遠ざけたんだ。」

 「……。」

 それを私は聞いたら、呆然としてしまった。

 ライルも話を、一旦区切った。

 そして暗い表情で俯いてしまう。

 部屋の中には、重苦しい雰囲気となる。


 「そうだ!…ナンリーだ!…」

 しかし、今度はヴィシュー殿下が声を荒げだした。椅子から立ち上がると、捲し立てる様に喋りだした。

 「この世界で一番に可愛い、可愛い。…俺のナンリーが何処の誰かも分からない奴らの陰謀で、汚されるだと!…そんなこと、我慢できるか!」

 まるで子供が癇癪を起こして、八つ当たりをしているようだ。

 一国の皇太子らしからぬ振る舞いである。

 私は、少し呆れていた。

 その後もヴィシュー殿下の怒りは、治まらない。

 「この!…ドジ、間抜け!!…役立たず!…お前達のせいだ!!」

 ずっと大声で罵声が飛んでくる。

 「…もし俺のナンリーに何かあったら、お前達なんか死刑にしてやるからな!!嫌なら、命をかけて守れ!!」

 「は、はい。」

 とライルは怯えながら、弱々しく返事をしている。

 「…何があっても、他の奴らが怪我しようがどうなってもいいから、ナンリーだけは守りきれ!!」

 それを私は聞いて、思わず聞き返していた。

 「…あの、ヴィシュー殿下?…失礼ながら少し発言させて頂きます。」

 「あぁ!?…何だ?」

 「…他がどうなってもいい、と言っていますけど、まさかシヤリーも含まれていませんよね?…貴方の婚約者ですよ。」

 「…はぁ?…知らんな。あんな女が怪我しようとも、死んでも、どうなろうと知った事ではない。」

 するとヴィシュー殿下は、途端に冷めた表情となり、淡々と言葉を告げてきた。

 とても信じられない言葉である。

 「何ですって!?」

 「…もともと好きでもなんでもない。…父上と、向こうの家族が勝手に決めた事だけだ。…なのに、あの女は付きまとってきて。…居なくなってくれるなら、清々する。」

良ければ、ブックマーク、高評価など、宜しくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ