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二章  アルジェンとの出会い。 2

 そのまま二人で移動し、城の正門を潜って中へと入って行った。

 父は前を向き、歩きながら話しかけてくる。

 「この後に私は、城の者達と会議室で、舞踏会の警備の打ち合わせをする。…お前も参加しろ。」

 「はぁ。…でも私は、今回は。」

 と私も曖昧に返事をしながら、話に入っていく。

 「あぁ、わかっている。…お前はシヤリー令嬢の客人として出席するのだろう。…だが何かあった時の為に、警備の配置は頭に叩き込んでおけ。」

 「…えぇ、はい。」

 「…いつも言っているが。…剣の訓練や警備の会議も、…お前の将来的にも必要になる事だ。…近衛騎士団の団長の娘の肩書きがある以上、自衛方法や、兵士としての知識は身につけておくのだ。」

 「あぁ、うん。…」

 「…実際、家庭教師にでも頼んで、女らしい稽古をさせるのが普通の親だろう。…だが家は代々が近衛騎士の家系だ。…私は妻に先立たれて、お前しか子供はいない。…もしも私に何かあれば、お前に残してやれるのは、金と近衛騎士としての事だけだろう。」

 「………うん。」

 「…お前も成人になる間近なんだ。なんなら良い男が居ないなら、騎士団から紹介してやれる。……我が家が繁栄するかどうかは、お前次第だ。」

 「わかってるって!!」

 「………そうか。…なら、良い。」

 そう言って父は最後に呟くと、話を終わりにしてしまう。殆ど最近は何かにつけて今と同じ話ばかりしてくる。

 対して私はうんざりしながら、深く溜め息を吐いた。

 二人して黙ったまま、階段を登っていく。

 やがて城の三階にある王族の居住区域にまで差し掛かった。


 「…すいません、…スカーレット卿ですか?」

 すると、背後から誰かが呼び掛けてくる声が聞こえてきた。女の様な高い声である。

 私は振り返ると、揃って目を見開く程に驚いてしまう。

 隣からも父が息を飲む音がしてきた。

 「…いきなり話しかけて、申し訳ありません。」

 そこには、一人の年若い執事がいた。此方に向かって、ゆっくりと歩いて側に寄ってきた。

 彼は十代半ば。目を引く程に美しい容姿をしていた。銀色の短い髪と赤色の両目が特徴的で、肌も白い。執事服は身体全体の線に沿い、まるで女の様に腰や手足が華奢である。

 相手の瞳が此方を見てくると、私の背筋にヒヤリとする感覚がしてきた。

 「あ、あぁ。…私がスカーレットだ。…えっと何かな?…それに君は誰だい?」

 と父が真っ先に我に返ると、即座に返事をしていた。

 「…初めまして、私はライルと申します。…ヴィシュー殿下の執事見習いをしております。御嬢様に御用がありまして、ヴィシュー殿下からシヤリー嬢の事を聞きたいと言われております。」

 対して若い執事、ーーライルは此方の様子を気にも止めずに、淡々と要件を喋り続けている。最後には視線を向けてきていた。

 私は目が合うと、「えぇ、わかったわ。」と、なんとか返事をして、平静を装う様に努める。

 「…伝えてくれて、ありがとう。…なら急がねば、ならないな。」

 その後に父も御礼を伝えながら、踵を返して早足で颯爽と動き出す。

 ライルも同じ速度で歩きだし、前に出ていくと、先導する様に先を進んでいく。

 私も急いで後を追いかけだしていき、無心で足を動かし続けたのだった。

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