3章 ライルの謎 3
良ければ、読んでください。
しかし、ライルは表情を曇らせ、俯きながら小さな声で答える。
「…それでも、私がやるしかないんです。」
私は焦りながらも、顔を覗き込んで様子を伺う。全く表情は読み取れず、真意は分からない。
悪い事を聞いたのかもしれないと、少し後悔していた。
「えっと?」
次第に私達は足を止めて立ち止まると、黙ったまま佇む。
二人の間には、気まずい空気が漂いだす。
「…あぁ、もう!……でも私は意地でも、今回の件に関わらせてもらうから。」
だが私は意を決すると、自分の意見を率直に告げる。
「はい?!」
「私、悪い事があって見て見ぬ振りなんて出来ないから。…親友が酷い目に合うかもしれないし、皇太子の態度も気に入らない。一回でも、ギャフンと言う目に合わせないと、気が済まない。」
「…え、えぇ~。」
するとライルは、顔を上げて驚いた表情をした。
腰が引けながら、一歩だけ後退し、不安げに首を横に振っていた。どうやら止める様に諭してきているようだ。
しかし、私も負けじと鋭い目付きを向け、無言のまま相手を見据える。
「…わ、わかりました。」
最終的にライルは、渋々ながら頷きながら了承していた。ただ最後に、
「でも、この事は誰にも言わないでください。…私の正体を知っているのは、貴女を含めても片手で数える程度しかいません。後、今回の事件の中心にいる、…ナンリー様とシヤリー様には内密に。」
と、言葉を絞り出す様に伝えてくる。
「…確かに。…自分の命が狙われるわ、誰かのせいで加害者になるなんて、知ってしまったら良い気分じゃないし。……分かったわ。嘘は苦手だけど出来る限りは言わない様にする。」
それを私は聞いて、頷きながら了承した。だが頭の片隅で、何かが引っ掛かる。
「どうしました?」
と、ライルも心配そうに声をかけてきた。
やがて私は、ハッと思い出し、脳裏に過った事を口走る。
「あれ、…今、結婚式の十日前だから。…明後日には、ナンリー様とシヤリーとの、お茶会があるじゃない!!?」
「あっ!!…確かに。」
次の瞬間には、ライルは驚いた表情となり、両目を見開いて固まった様に動かなくなる。事実を聞いて、頭で理解するのが追い付かないようだ。
「…えっと、どうしよう。」
私も、恐る恐る声をかけた。今度は此方が助けを求める様な雰囲気となる。
しかし、ライルからの返事はない。
そのまま私達は、互いの方を向いたまま、沈黙して視線を彷徨わせてしまう。
辺りには静寂が漂いだす。
吹き抜ける風の音と、木々の枝が揺れてざわめく音だけが微かにしていただけだった。
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