新たな世界
俺は、なんだかんだあって新たな世界に転生したのだ。
ーーー1年後ーーー
俺が転生して赤ん坊として生まれてから、おそらく一年が経過した。
一年も経つと、歩けるようになった。そして、時間が経つにつれて、いくつかのことが分かった。
まず一つ目。この世界は異世界であり、魔法が存在しているということだ。
正直、最初に魔法を見たときは驚いた。それと同時に、俺の胸は高鳴っていた。
高校時代はガリ勉だった俺だが、中学の頃はアニメや漫画が大好きなオタクだった。
だからこそ、魔法の存在は元オタクとしてテンションが上がらずにはいられなかった。
初めて魔法を見たのは、母が使ったときだ。
母は、料理を自在に動かして食卓へと運んでいた。
「魔法って便利だな……」
そう思わずにはいられなかった。
次に分かった事は、自分の事と、母と父のことだ。
母の名前は、ニクス・サフィロス。
ニクスは、青と白の混じった美しい髪に、サファイアのように輝く瞳を持つ、綺麗な女性だ。
いつも笑顔で、包容力があって明るい。まさに理想の母親、という感じ。
そしてニクスは、おそらく魔法使いの冒険者だ。
毎朝カッコいいマントに着替えて出かけ、夕方にはマントを泥で汚して帰ってくる。
父の名前は、ジーニア・サフィロス。
黒髪に、ルビーのように輝く赤い瞳。そして四角いメガネをかけている。
見た目はクールだが、実はちょっとドジなところがある。でも、頭はすごく良さそうだ。
父は魔法の研究をしているらしい。
彼の部屋は魔法関係の本や見慣れない道具、魔法陣が描かれた紙でいっぱいだ。
そして、俺の名前は ライト・サフィリスと言うらしい。
黒髪に、白い髪の束が一本混ざっている。そして瞳は父と同じ、ルビーのような赤だ。
どうやら俺には、ジーニアの遺伝子が強く出ているらしい。
俺が生まれたとき、ジーニアは自分に似たからなのか嬉しそうに俺を見つめ、ニクスはそれを見てちょっとムッとした顔をしていた。
……めちゃくちゃ可愛いと思った。
気づけば、俺はこの世界の生活にすっかり慣れていた。
小さな町に建っている大きくもなく小さくもない普通の家に住み。
朝は、ニクスが作ってくれる美味しい朝食を家族で食べる。
その後、ニクスを見送ると、ジーニアは図書館のような場所へ向かう。
俺はというと、ジーニアの背中にしがみついて、図書館についていく。
この世界は、異世界でありがちな中世ヨーロッパを思わせる建物が建っているのだった。
図書館では、ジーニアが本に没頭している間、俺はそこで働く金髪の可愛いお姉さんに読み聞かせをしてもらっている。
そのおかげで、この世界の言葉も少しずつ理解できるようになってきた。
最初、図書館に来たときは、受験勉強で通っていた元の世界の図書館を思い出して、ちょっと吐き気がした。
でも今は、元の世界のことはあまり考えないようにしている。
この世界で、俺は恋をして、仲間を作って――
仲間と笑いあって、楽しい異世界ライフを送りたいと思っている。
もちろん、苦しいこともあるだろう。
それでも俺は、この世界で一生懸命、生きていこうと思う――。