始まり
ーーーピピピ…ピピピ…ピピピ……ーーー
電子時計のアラームが部屋中に鳴り響く。
カーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。俺はベッドから体を起こす。
俺は、ごく普通の高校三年生だ。学校に友達はおらず、ひたすら勉強に打ち込んでいた。いわゆる“ガリ勉”というやつである。
そして今日は、そんな俺が青春を捨てて挑んだ大学受験の、合否発表の日だ。
俺は颯爽と身支度を済ませ、胸の高鳴りを抑えながら、受験した大学へと向かった。
大学にはすでに多くの人が集まっていた。
合格して歓喜の声を上げる者、落ちて地面に崩れ落ちる者――喜びと絶望が入り混じった空間だった。
俺は、掲示板に貼り出された合格者の受験番号に目を向けた。
「……う、嘘だろ……」
何度見ても、俺の番号はどこにもなかった。
その場で硬直し、しばらく動けなかったが、やがて足を引きずるように歩き出した。
歩いているうちに、悔しさ、悲しさ、焦り、怒り……様々な感情が次々と込み上げてきた。
気がつけば、俺は帰り道にある階段をのぼっていた。
視界はぼやけ、足取りはふらついていた。
そして――
案の定、俺は足を滑らせてしまった。
全身を階段に打ちつけながら、一番下まで転げ落ちた。
視界に映ったのは、赤黒く滲む液体。
意識が薄れていく中、俺はそっと目を閉じた――。
「……う、ぅ……」
意識が戻り、俺はゆっくりと目を開けた。
光がまぶしく、なかなか目を開けられない。だが、徐々に視界がはっきりしてくる。
目の前にいたのは――青と白の髪の美しい女性だった。
看護師……?こんな美人がいるなんて……
「******」
女性は何か話しかけてきていたが、言葉がうまく聞き取れない。
起き上がろうとしたが、体が動かない。
なんとか体を動かそうともがいているとその様子に気づいたのか、彼女は俺を覗き込んだ。
次の瞬間、俺は彼女の澄んだ青い瞳に映った自分の姿を見た。
そこに映っていたのは――小さな赤ん坊の姿だった。
俺はすべてを理解した。
……あぁ、俺は……転生したのか……