私と・・・
久しぶりの更新に加えて、とても短くなってしまいました
続きが気になっていた人にはとても申し訳なく思います
まあ楽しめたら、楽しんで下さいね!
目が覚めた
また雨の中
こんな日もこのはこにわは飾らない
「くそっ、あの女、なんだってんだ
麗音を屋敷に縛りつけて、何が面白いってんだ
この世に生まれて青空も見たことがないなんて
そんなの・・・そんなの・・・哀しすぎるだろ」
俺は叫んだ
「絶対に、絶対に青空を見せてやるからな。麗音・・・待っててくれ」
それは決心だった
力のない者が自らの力のなさを噛みしめた上での・・・
ただ1つ、それが一方的なものだと知らないでいた事を除けば・・・
そうして俺は強くなろう、そう決めた
「あの女に勝てるくらいになれば、助けに戻るから」
そっと呟いた
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寒い・・・
秋吉は毎日、来ると言っていたのに、今日も来なかった
寒い・・・
今日もこのはこにわは雨が降る。まるで寒い私をさらに凍えさせるように
寒い・・・
今日も秋吉は来なかった。もう一人は嫌なのに
寒い・・・
もうヒトリはイヤ。ダレカタスケテ
寒い・・・
アキヨシ?ソレはナンナノダロウ?オモイダセナイ。タダ・・・アッタカイヒビキ
寒い・・・
モウナニモオモイダセナイ。デモ・・・ソッチノホウガラク
サムイ・・・トテモ・・・
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俺が強くなるための訓練を始めて2週間くらい過ぎたある日のこと
ちょうど昼飯としてその辺でとったカエルの丸焼きを食べていた時
俺は我が目を疑った
というのも、俺の目の前にあの女、麗音の屋敷の召使の女、不意打ちで攻撃することでしか俺に勝てないあの女(異論は認めない)がいたからだ
しかも俺の方へ歩いてくる
かと思うと俺の目の前で立ち止まった
不意に頬に鈍い痛み
どうやら頬を殴られたらしい
もうすぐで手に持ったカエルを落とすところだった・・・
「貴方はここで何をしているんですか?」
女は言った。怒りに震えながら
「麗音様と毎日遊びにくると約束されたのではないのですか」
女の意図が全くといっていいほど掴めなかった
俺はたまらず言った
「あんたが俺に来ないように言ったんだろ。あんたのしたい事が全くわからないし、頬を殴られる理由もわからない」
女は震える声で言った
「私は貴方に来ないように言ったのではありません。ただ・・・青空の見える所に連れて行かないよう言っただけです。貴方は麗音様との約束を破りました。私のあの程度の脅しで」
女は泣きそうな顔でほぼ涙声になりながらも、続けた
「本当は貴方なんかに・・・簡単に約束を破る貴方なんかに・・・頼みたくはないのですが・・・私なんかじゃダメ・・・なんです。私じゃ麗音様を・・・私なんかじゃ・・・」
女は感情を抑えきれずにとうとう泣きだしてしまった
「麗音に・・・なにかあったのか?」
女の尋常でない様子から麗音になにかあったのでは・・・と感じた俺はそう尋ねた
女は涙を拭いて、声を絞り出すように言った
「麗音様は・・・貴方がいなくなって少したったあと、心が無くなったかのように何の反応も示さなくなってしまった。だから・・・だから・・・」
「俺の所に来たってことか・・・俺は・・・俺は・・・何をしていたんだろうな」
俺の呟きに答える声はなかった
食べていたカエルは風をうけてもう冷たくなっていた・・・