夜空に種を撒きましょう
声を大きく叫びたい。場をわきまえろ!と。
だけど、私は理性ある大人だから堪える。
社員食堂中の人達の会話と食事が止まり、みんなの視線が私達を凝視している。
営業のスターと総務の女子(その他A)が、なんか揉めているな。面白いぞ。と、いう…視線だ。
凄く…気まずい…。
いったい、いつから見ていた…?
そんな事考えただけで、あぁ…頭痛い。
隣にいる永遠は何も考えていない風にニコニコしているから、無性にに腹が立った。
腹が立ったから、(あえて)ブチ切れた作り声を出して聞いてみた。
「もう、休憩終わるので、用があるなら早く言って下さい」
永遠は、私の言葉に納得したみたいで手を離してくれた。そして、真顔でイスの背をポンポン叩いた。
多分、座れという事なんだって、解釈した。なんたって、私の女の勘は良く当たるからね。
だから、素直にドスンと座った。
私は素直に座ったのに、今度は肝心の永遠の視線がモジモジと、右を見たり左を見ている。
(…おい!)
「用がないなら…」って、座った腰を浮かせて立ち上がりかける。
これで、2度目だよ…。
「待って」余裕のない声が永遠から漏れる。
声だけじゃない…顔の表情が…、目の奥の光りで…私は、一瞬だけ金縛る。
「えっ?」
うわずった声が吐息になった。
男に、特にこういうシチュエーションに、まったく免疫ないから、頬が…顔が、大輪の花火みたいに、パッと真っ赤に染まるの。
微笑む永遠。
無駄に顔だけは良いね。
「用があるから来たの。帰りに待っているから、ご飯に行こう…ね」
いや、面倒臭い。
家に帰ってストッキング脱ぎたい。
「私…いそが…」
言い終わらないうちに永遠が言葉を被せてきた。
「行くよね?」
みんなが、ずーっと見ている。
「あ、…はい…」
NOと言えない日本人な私。




