夜空に種を撒きましょう
今…「任せて」って言ったな…?
「任せてって、どういう事ですか?」
なんか…イラつくんですけど?
永遠がニコリと微笑んで言ってのけた。
「俺が払うよ。朝陽ちゃんの飲み会代とバイト代。だから安心して行こうね?」
「あ"ぁっ!?」
思わず、両足に力が入って、自分でも驚くような声がのどから吹き出た。
私のトンチキな声に、永遠の心も一瞬だけ月まで飛んで行ったような目をしたので、逆に私は北極の大地のように冷静になった。
「それって、立て替えるって事なんですか?」
「違う、違う。朝陽ちゃんは1円も出さなくていいよ。俺が払うから」
「えっ?奢りって事ですか?」
「もちろん。だから、行こう」
これは絶対に裏がある。
私の世界が終わるような裏がある。
「お、お断りします」
ちょっと怒り気味に(怒気?をはらんだ声)で、ハッキリ断わった。
普通に怖いわ。
「えっ?どうして?」
「どうしてって、当たり前じゃないですか?身内じゃない(ほぼ知り合いの人)にお金出してもらうなんて…あり得ないです。怖いですよ」
永遠は相変わらずの力で、私の手を摑んでいて、もしも、もしも永遠がよからぬ魂胆でこの話をしているなら…、手はブチ離した方がいい。
だけど、振りほどこうとしても永遠が離さない。
月明かりに照らされた公園。
あれから私と永遠は、懐中電灯の灯りに照らされながら、2人の若い警官に職質されていた。
「大人の男女2人がブランコの前で、手を引いたり戻したりして揉めている。と通報があったので、お話しいいでしょうか?」
全部、永遠のせいだ。
その永遠は、緊張感も何もなく、警官と話していて、もしや…警察慣れしているのか?と疑いたくなった。
「揉めてなんていませんよ。我々は付き合っているんです。スキンシップが少しだけ度が過ぎて見えたのかもしれません。反省します。ね、朝陽?」
こっちを見ながら、握った手に力入れてくるな。だけど、嘘です。付き合ってません、他人です。とか言うと、相手は警察だ面倒臭くなる。
悔しいけど、永遠の視線に促された。
「はい、彼氏です。お騒がせしてすみません」
って言って、軽く頭を下げて自分の靴を見た。
理不尽!だけど、この場を否定したら話が面倒臭くなる。余裕かましている永遠と繋がっている右手が熱い。




