夜空に種を撒きましょう
私と永遠は、街灯が照らす公園のブランコに座っていた。空には丸い月が煌々と輝き、何もかもを明るく照らし出している。
まるで、舞台のデカくて丸くて黄色い月だわ。
正直、サッサと帰りたかったけれど、永遠が可哀想な気がして…、置き去りにした事の贖罪の意味も含めて、永遠が買ったお菓子を食べている。
コンビニ限定の新発売のチョコ、美味しいよ。
永遠ありがと〜だわ。
その永遠は、月の明かりの中で、私がお菓子を食べているのを見たり、自分が飲んでいるコーヒーのボトルを見たりと、なんかソワソワしていて…早い話が、落ち着きがない。
こんな人だったかな?
いや、仕事中は落ち着き払っていると噂だ。
「眠いんですか?」
永遠の動きが止まり、どこかを彷徨っていた瞳が私にロックオンした。
…我に返った。と、いう事か?
「さっき聞いた事…、どうして行かないの?」
(しつこいなぁ)と、思った。
そんな事、どうでもいいでしょう。…と。
(はぁー)ため息。
「母の具合いが良くなくて…」
永遠の瞳孔が大きく開いた。
「…あれ?お母さんが泊まりに来るんじゃなかったの…?」
(…ん?あれ?)
「そうそう、具合い悪いから通院で泊まりに…、だから付き添いで翌日は朝早いし、だから…」
私がアワアワと慌てて言い訳しているのを、永遠はニヤニヤしながら聞いていて、多分、もう嘘バレているんだ。嘘でも何でも、行かないものは行かない。
「通院って、朝陽ちゃんの実家から?」
「高名なお医者様なんです」
「何病院の何科の先生なの?」
(わかっているなら聞くな!)
そう思って、思い切り立ち上がった。膝の上のお菓子がバラバラと落ちた。
永遠は驚いて、私を見上げていた。
「もう、帰ります。ご馳走様でした」
言って私が動きだすより早く、永遠が私の手首を掴んで悲しそうな目で(多分、暗くて良く分からないけど)優しく言った。
「ごめん…。怒らないで」
生まれて初めて、泣きそうな男子に謝られた。
これが、子犬男子というやつなのか?
キュン死する…。
「あ、いや…嘘ついてごめんなさい」
「本当は、どうして行きたくないの?」
(凄い、行きたくないのが前提になってる)
どうせ、行きたくないのバレているし。と、大船漕ぎ、堂々と言った。
「お金が勿体ないからです。参加費払わなきゃないし、バイトも出れないから、その分もマイナスになりますからね」
ハッキリ言えて気分最高だわ。これで飲み会不参加決定。もう、何も言えないだろう。
心の中で、ほくそ笑む私。と、私の両手を力強く握る永遠。
「そんな事、心配いらないよ。俺に任せて」
「…?何が?」




