夜空に種を撒きましょう
休憩時間の後から、私を見るみんなの目がおかしい。あきらかに不審者を見る視線に見える。
あれもこれも、全部永遠様のおかげだ。
イライラがノンストップだ。
イライラに身を任せたら、身の破滅だ。
だから、何事もなかったかのように平静を装い自分の仕事をこなした。
時計が5時を指した。
(就業(拘束)時間の終了だ…)
『よし行くぞ』と気合いを入れて、カサカサと⚪キブリが壁を移動するように、素早く机の上を片づけると、昔の泥棒が歩くように足音を消しながらフロアを移動して廊下に出ると、逃げ回るげっ歯類のごとくビル内を走り抜けた。
(いや、ちょっと待って私。『表玄関』は敵がいる可能性があるゾ)
そこで、急遽表通りに面する通称(立派な表玄関)ではなく、非常口(通称裏口)から帰る事にして、大きく方向転換した。
すれ違って、振り向く人達の中には永遠はいなかった。
見つかっていない。
出会っていない。
…私の勝ちだ。
勢いをつけて(裏口?)から、マラソンランナーのゴールした状態で飛び出した。
勝ったんだ。と思っていた。
だけど、飛び出したドアの横に永遠は立っていたんだ。
「朝陽ちゃん、お疲れ様。そんなに急いで来るなんて…そんなに俺に会いたかったの?」
(誰がダヨ…)
「どうして…ここに?」
私は、走り切って息が切れている。
永遠は、冷静に落ち着き払っている。
「ん?なんか、みんな昼休みの話聞いてたみたいで、メールで教えてくれたんだ。裏口、裏口って、みんな優しいよね」
(なんてこった…)




