4話
「そっか、じゃあ一緒に旅をしよう」
どんな反応が返ってくるのかと恐怖混じりの感情で待っていた私にかけられた返答は旅のお誘いだ。未だにどういうことか理解できずどうすることもできない。
「どういうこと…かな?」
やっとのことで金縛りから解けた体を動かす。旅に誘うということは彼女は旅をしていたのか、とか今日会っただけの見ず知らずの私にかける言葉ではない、とか言いたいことはまだまだあるのだが、、
「寂しかったんだよね、記憶がなくなって頼れる人もいなくて辛かったんだよね大丈夫、わたしはあなたのことを忘れないし大切にするよ」
思わず泣きそうになるのを耐える。彼女の発言が私の醜い依存を受け止めてくれるような気がして衝動のままに泣きながら彼女を抱きしめたい。
そんな気持ちはとても強いのだが、あまり表情が変わっている気がしない。
「いきなりで悪いんだけど、私って無表情だったりする?」
「あれ、今更気付いたの?初対面でも分かるレベルで無表情だよ」
少し気になったので彼女に聞いてみればなかなかに酷いことを言われる。初対面で分かるレベルって相当ではないか。
改めて表情筋を意識しながら動かそうとしてみる。
結果としては動かない訳ではないが些細な感情は全く反映されない、といったところだろうか。
ところで、試してる間に少し表情筋が動き微笑んでみた時は何故か少女が恍惚とした表情を浮かべていたのは特に関係のない事だろう。
まあそんな余談はおいといてなかなか明るそうな彼女との旅が始まる!
「言うの遅くなったけどわたし基本的に人から見えないよー」
え??なにそれ???
がんばる